Aogiri X’mas

「ねぇねぇ、サンタクロースっていると思う?」

ミーティングの空き時間に、夏希がそんなことを言い出した。

「いたらいいよね。そしたら、なにお願いしよっかなー。」

腕を組んで悩み出す魂子。

「いや、魂子先輩。サンタクロースは良い子の所にしか来ないって知ってます?」

「おおん?私が良い子じゃないって言いてぇのか?」

あかりに挑発され、イキリ魂子が顔を出す。

「まぁまぁ、お二人とも落ち着いて。でも、サンタクロースなんてメルヘンな話題出すあたり、なちゅき先輩らしいですけど。いきなりどうしたんですか?」

大代が先輩’sを宥めつつ、夏希に問い返す。

「いや〜、今日クリスマスイブじゃない?サンタさん今頃忙しいんだろうなぁとか考えちゃって。ましろんはサンタクロースって信じる?」

「私ですか?そうですね〜。居たらいいなって思いまちゅ!」

「ところで、先輩たち準備終わってないんですけど!私とねくろちゃんしか、飾りつけやってないんですけどぉ!」

少し離れたところでは、部室を飾るためにこまると音玄が飾りつけをしていた。話すばかりでグダグダしている先輩たちにクレームを入れている。

「おー、頑張れー。私の分も頼む。」

まったりとした空気を出しながら魂子が応える。

「もう、後輩だけに任せちゃダメだよ。一緒にやろ?」

夏希が魂子たちを促して準備を手伝い始める。

「はにゃ~、届かにゃい・・・( ˘ω˘ )」

壁の高い部分に飾りをつけたい音玄が背伸びをしている。しかし、身長が足りず届かないようだ。

「うぉぉ、ねくろち可愛い!届かないの~?魂子が手伝ってあげるよ~?」
「にゃにゃ!何か身の危険を感じるのだが。ちょっと離れてもろて~。あかりんに助けてもらうわ。」

ロリに興奮した魂子に身の危険を感じたようで、音玄はあかりの背後に隠れた。

「あ~、音霊嫌われちまったなぁ。ねくろちは私が貰った!」

あかりがニヤニヤとしながら音玄を抱きしめる。

「ねくろちゃんうらやましい!私もあかり先輩に抱かれたい!でも、百合の間には挟まれない・・・。」

こまるがhshsしている。

場の空気が割とカオスになってきたところで、入口の扉が開く。

「ただいま~。荷物めちゃくちゃ重いんだけど~。」
「おまたせ!食料買ってきたよ!」

りえると蝶美の二人が買い出しから戻ってきた。

「わー、飯だ飯だ~。ガソリンはあるかな~?」

そう言って袋をガサガサとあさりだす大代。

「ましろん・・・。ガソリンは食べ物じゃないよぉ~。」

夏希があきれている。

「さぁさぁ!飾りつけもできたし。食事も来たから、クリスマス会をはじめよっか!」

魂子が音頭を取り、それぞれがテーブルに料理を広げていく。

準備ができたところで、飲み物を手に取る。

「飲み物持ってる?それじゃあ騒いで食うぞー!メリークリスマスイブ!」

「「「「「「メリークリスマスイブ!」」」」」」」

あおぎり高校でメンバー全員とクリスマス会をする。メンバーが増えても、これは変わらない恒例行事だ。

クリスマス会は盛り上がりを見せたが、時間が過ぎることに、一人また一人と眠りに落ちていく。

魂子は一人、窓の外を眺めていた。

「魂子、何見てるの?」

夏希が隣に立つ。

「ん?雪振らないかなって思って。あと数分でクリスマスだしね。どうせならホワイトクリスマスにならないかな。」

「たしかに雪が振ったらロマンチックだよね~。」

「そういえばサンタがいるか聞いてたけど、夏希は何かお願いしたいことでもあるの?」

「そうだね~。それぞれの夢が叶いますように、みんな元気で心はいつまでも一緒にいられますようにってお願いしたいかな~。」

「そっか。」

「でも、卒業した私がこんな風に参加してていいの?」

「何言ってるの。夏希ならいつでも戻ってきていいんだからね。それに今日はクリスマスイブなんだから、たまには奇跡みたいなことがあってもいいじゃん。」

「ふふふ、ありがと。魂子は何かサンタさんにお願いごとは無いの?」

「そうだなー。あおぎり高校のみんなでライブしたいかな。応援してくれてるみんなに会いたいし、私たちの今の姿を届けたいって思ってる。まぁ、思うだけでなかなかできないんだけどね。」

「そうなんだ。いつか叶うといいね。」

ふと、背後でガサリと音がした。他のメンバーが寝たから、電気を消して部屋は暗い。

二人が振り返って見ると、一人の人物のシルエットが浮かぶ。よく見ると男性のように見える。

「校長先生?」

そう魂子が声をかけると、影はビクリと震えた。人差し指を立てて口元に当てた後、扉から外に出て行ってしまった。

夏希が先ほどまで影のいた場所に移動する。

「こんなものが置いてあるよ~」

そう言って一つの包みを魂子のところに持ってくる。

「え?なんだろ?」

そう言って受け取る魂子。

「とりあえず開けてみたら?」
「うん、そうしてみようかな。」

包みを開けると1枚の紙がヒラリと落ちた。包みの中にはマイクが人数分入っていた。

紙を拾い上げて読んでみる。

【2023年2月18日ライブ開催決定!】

紙にはその一文だけ書いてあった。

魂子と夏希は事態が呑み込めず、顔を見合わせる。じわじわと実感が湧いてくると

「「やったー!!!」」

二人で抱き合って大はしゃぎするのだった。

ちなみに人影について、後日校長に確認したところ
この日は午後有給で定時に帰ったそうだ。
いったい、あれは誰だったのか、クリスマスの奇跡はまだまだ続く。

To Be Continue


あとがき

ご無沙汰です。
クリスマスイブはどのように過ごされましたか?
推しの配信でhshsしたボクです。

さて、あおぎりクリスマスSSはお楽しみいただけましたでしょうか?
今回は短くまとめるために、かなり端折りましたが物足りないとか言われないかビクビクしてます。

あおぎり高校のライブも決まり、いよいよ楽しみが増えてきましたね。
キャパ1500は狭き門だよぉ…

さて、こんな感じでクリスマスを過ごすあおぎり高校
宴会の様子やその後の魂子と夏希については皆さんの想像にお任せします。

それではまた次の物語で

2022年12月24日 づにあ

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