酒のさかなは魚がいい
「酒のさかな」。
「さかな」の漢字は「魚」だと、子供の頃は思い込んでいた。「酒の肴」と知ったのは、ずいぶん後のことだ。
でも、なんで「魚」じゃないんだ?
「肴」の語源は、室町時代におかずを「菜(な)」といい、酒と一緒に食べるおかずを「酒菜(さかな)」と呼んだことに由来するそうだ。
中国から伝わってきた「肴」に、同じく「酒を嗜むときに添える料理」という意味があり、この漢字があてられるようになったという。
のちに「酒菜」の表記が「肴」に変わってからも、呼び方は「さかな」のまま残った。
ちなみに「肴」だけで「酒のおかず」を意味するため、「酒の肴」と重複する表現は本来おかしい。
それも今では、「酒の肴」という表現がすっかり定着してしまった。こういう日本語のあいまいさも、個人的にきらいじゃない。
「肴」に近い意味の言葉としては、「つまみ」や「あて」がある。
「肴」というと、一般的には日本酒や焼酎など、我が国で古くから親しまれてきた酒に使われることが多いようだ。
「つまみ」「おつまみ」は、ビールでもウイスキーでもワインでも、どんな酒にも使われる。
「あて」も、日本酒や焼酎を中心に幅広く使われている印象だ。
さて、皆さん。今日のおうちの晩酌は、「肴」にしますか? それとも「つまみ」か「あて」?
なんにしても、「さかな」との相性はやっぱり「魚」がよろしいようで。