名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿6 第11話
名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿6
第11話「名探偵と吾輩は猫である(解決偏)」
****前回のあらすじ****************************
話がおよそ8割出来上がったところで『フリーザの乗り物』というワードを思いついて差し込んでしまった。このため、ポヨンチョのニュアンスをフリーザに寄せるところから始まり、ついにはギニュー特戦隊まで出さざるをえなくなり、話の収拾がつかなくなってしまう。やむなく『フリーザの乗り物』登場直後、早々にツッコミ役に台詞を振り分けることで危機を脱したものの、ただのナメック星編になってしまった本文を直している途中で面倒くさくなり、物語は前後編の分割でアップされることになってしまったのだった。
※前回のをまともに知りたかったら読んでください。そんなに長くもないし。
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複数犯の可能性に名探偵ポヨンチョポンポンが至ったそのとき、
「フハハハハ!!もう茶番はよかろうよ!ポヨンチョ!!」
死んでいた猫、ヌパ井の目がカッと開き、スッと後ろ足で立ち上がった。
「き、貴様はサロンゾバイバイ!!」
「だから、茶番はもういいだろうよ。ポヨンチョ」
猫の着ぐるみのままポヨンチョの永遠のライバル、サロンゾバイバイ教授が重ねて言った。
かつてヌパ井が行方不明になった時、ポヨンチョはヌパ井を見つけ出せていなかったのだ。窮余の策として2002年前後の週刊少年チャンピオン掲載漫画単行本セットプレゼントと暴力でサロンゾを説得して、ヌパ井になりきってもらい見つかったことにしていたのである。
これは余談だが、前話を確認していただきたい。捜索を依頼され『見事に解決』したのであって『見つけた』とは一切書いていない。そう、叙述トリックである。
「あれから3か月…。長かったぞポヨンチョ…」
「…それで、猫として生きるのに嫌気がさして死んだふりをした、というわけかね?」
そう訊ねながら、バリツの構えを取るポヨンチョ。
「嫌なら普通に逃げなよ…」
雇い主である探偵と猫の着ぐるみが対峙する異常事態に、助手のガルンチョが常識を提示した。
それをチラとみたサロンゾが言う。
「ガルンチョよ、誤解だぞ。別に嫌ではなかった。なにせ私は現状に甘んじるのが得意だからな!多少の不自由や屈辱は『フェイスガード虜』を読めば吹き飛んでしまっていたしな!!
ただ、なんか昨晩寝てたら酔っ払った酒乱マンとトテモTheネコギライとにゃんにゃんぶくぶく丸に面白半分に水に沈められて、さっきまで仮死状態だっただけだ!!」
「ビールの残り飲んで酔っ払って勝手に水瓶に落ちたんじゃないんだ!」
夏目漱石の『吾輩は猫である』から上手にパクることも出来ていなかったことにガルンチョは驚きを隠せない。
「やっぱ複数犯!!名推理!!」
自分の推理が当たったことにポヨンチョは喜びを隠さない。
「どうでもええから、早よ本物のヌパ井だせやああぁぁ!!」
あまりのことに固まっていた愛猫家モッモッモッ・ヌパヌパの理解が追いつき、当然怒りが爆発した。
ポヨンチョは胸ぐらをつかまれたが慌てない。
「モッモッモッさん、貴方がヌパ井が死んだと事務所に駆け込んだ時、私には理由をつけて現場に来ないという選択肢もあった。非情に徹すれば今回の依頼を受けないことができたのです。私がそれをしなかった理由を考えてください。…そう、見つかったんですよ。ヌパ井が」
その言葉に合わせて、ポヨンチョからヌパ井捜索の協力を頼まれ今朝早くにその目的を達したばかりのポヨンチョと同じ探偵業の友人、ボルボップソ・J・ペペプソンがヌパ井の入った檻を引きながら現れた。
「ヌパ井~~~!!」
ポヨンチョを突き放し、ボルボップソから檻のカギをぶんどって解錠したモッモッモッは
ヌパ井に食べられた。
もぐもぐしてるヌパ井を眺めながら
「猫って三日で恩を忘れるってホントなんだなぁ」とポヨンチョが感心して言う。
ボルボップソ・J・ペペプソンが付け加える。
「それもあるし、なによりサロンゾが変装して今まで騙し通せたことからわかる通り、コイツ人間の大人とほぼ同サイズだしな。そんなの普通の猫じゃねえよ。化け猫だ、化け猫。よく見るとしっぽが何本も分かれてるし。元来、人間と相いれるわけがない」
サロンゾが疑問をさしはさむ。
「いや元来はどうこうと言っても、実際にモッモッモッとは三か月前まではうまくやっていたし、人を襲ったりしてなかっただろ?」
「70人がかりで捕まえたんだが、そのときに何人か食われてな。それで人間の味を覚えたんだと思う。もうヤミツキだ」
「なるほど。理に適った推理だ」
3バカがそんな考察をしている間に化け猫ヌパ井はモッモッモッを食べ終わり、次の獲物に狙いをつけた。
ヌパ井の視線を外しながらポヨンチョは主張する。
「さ、かつての捜索依頼も真の意味で解決した!
猫の殺害事件はそもそも存在しなかった!
もはやここに事件は存在しない!」
「人が食われてるが?」
ガルンチョの指摘をポヨンチョは無視する!
「事件なき場所に名探偵がいる意味なし!!帰るよ!!」
そう宣言してヘリコプターに変形するポヨンチョ。
離陸したその瞬間、
「ずるいぞ!」
「連れてけ!!」
サロンゾとボルボッブソがポヨンチョに飛びついた。
人間サイズのままに飛行能力を付加したため、ヘリンチョポンポンの積載量は極少だった。辛うじて浮上しているが地上80cmをふらふらしている。そこでヘリンチョは「お前たちは一体誰に尋いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚いた。
その途端だった。ヘリンチョの回転翼がちぎれ飛び、3人は地上に落ちた。一部始終を見ていたガルンチョは悲しそうな顔をしながら現場から遠ざかっていった。
ポヨンチョが叫ぶ。
「おい!『蜘蛛の糸』のお釈迦様気取りか!?実際は回転翼の付け根を今お前が撃ち抜いたろ!?どこに隠し持ってたんだその狙撃銃!?おい!こら!おい!」
ポヨンチョの糾弾が届いているかはわからない。ポヨンチョが乗り捨てていた『フリーザの乗り物』に乗ったガルンチョは高速でどんどん小さくなっていく。逃げ切る手段はなくなった。
「くそっ!どうすりゃいいんだ!!」
あきらめたポヨンチョが振り返るとBBJP( ボルボッブソ・J・ペペプソン )がもうヌパ井に食べられていた。
「展開が速い!」
びっくりしたが、引き換えに名案が閃いた。
「仲間だと思われればいける!!」
ポヨンチョはサロンゾの猫の着ぐるみの予備を着て、元々猫の着ぐるみ姿のサロンゾと一緒に、自分たちは仲間だ猫だと必死に主張。その最中にサロンゾがタイトル回収台詞(名探偵と吾輩は猫である)を言う云々という流れをさっきまで考えていたが、展開が速いので名案が閃いたところでサロンゾともども食べられてまうのだった。
(ふぉふぉぷ)
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以上、本文ここまで。
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