名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿Season犬 第19話

名探偵ポヨンチョポンポンの事件簿 Season犬
第19話『名探偵と、殺人事件がおきるまで出られない部屋』

名探偵ポヨンチョ・ポンポンと、彼の終生のライバルであるサロンゾ・バイバイ教授は睨みあいながらジワジワと互いの距離を詰めていた。
ふたりが『殺人事件がおきるまで出られない部屋』に閉じ込められて、およそ一時間が経過している。最初は部屋のシステムを信じずに様々な脱出方法を試みていたふたりだったが、ポヨンチョ渾身のバリツでも扉はビクともせず、それどころかポヨンチョの利き腕が”にょ”の字になってしまった。

現実を受け入れるしかない。
部屋の中にいる人間はふたりだけ。
ふたりが思いついた解決策は同じだった。
………殺るしかない。

常日頃「色男、ピャスと力はなかりけり」などと嘯いているサロンゾと、バリツによって日々のだいたいのことを乗り越えたり、傷害系の前科を増やしたり、それをやはりバリツでなかったことにしたりしているポヨンチョが、まともに真っ向からやりあえば結果はИを見るより明らかだが、それはポヨンチョが五体満足という前提の話である。
いまのポヨンチョは利き腕が”にょ”の字だ。じきに”にゅ”だ。
そして下半身はおととい面白半分に改造した結果、生まれたての小ジカだ。
そのうえ、サロンゾの護身用ズヌヌプス棒は健在だ。
つまり、この場でのふたりの戦力は拮抗していた。
はからずも、転生七度に渡るふたりの長い長い戦いの終止符が打たれようとしていた。

「「ギャーーーー!!!!」」
部屋の外で待機していたポヨンチョの助手ガルンチョ・ルンルンとサロンゾの秘蔵っ子 ヌッパりヌパろうゾ・イヤ・ヌパらんゾ の耳に断末魔が届いた。と、同時にゆっくりと部屋の扉が開く。
中をのぞくとポヨンチョポンポンとサロンゾバイバイが、凶暴な土佐犬に噛み殺されていた。「部屋の中にいる人間はふたりだけ」とは書いたが、凶暴な土佐犬が一匹がいるかどうかは言及していない。
『Season犬は全話犬オチ』というルールに気づかぬまま斃れたポヨンチョとサロンゾが血文字で書いたダイイングメッセージは、奇しくも同じ「叙述トリック」であった。

                 ちわわ


『次回予告』

「はじめまして!!ヌッパりヌパろうゾ・イヤ・ヌパらんゾ です!やっと『Season犬』を理解したポヨンチョさんは高橋よしひろ先生に「お前の描いてる犬の版権ぜんぶくれ!」と直談判!このままじゃ名探偵ポヨンチョポンポンが昔やってた犬のホームズのアニメと丸かぶり!!サロンゾ先生はハレップ・ヒョイヒョイさんの「広い意味では、けもフレ3期」という甘言に惑わされたまんまだし、いったいどうなっちゃうの~!?
次回、「モンタナ・ジョーンズ」! お楽しみに!!

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