中共・習近平の野望-中国共産党・党大会を終えて- 講師村上学先生(兵庫通信)
令和4年11月6日、民族派団体一日会に参加しました。講師は中国の事情に詳しい兵庫通信の村上学先生です。
・習近平が述べたという四つの格言から、彼の支配構想を読み取ることが出来る。
真実に意味は無い
「国家統計局が発表する数字で正しいのは電話番号だけ、人民日報の紙面で正しいのは日付だけ。」とは他ならぬ中国人民自身にそう思われている。そこを逆手に取って当局は自作自演で、「規制された真実」を装ってデマやプロパガンダを流している。
大きいことは強いこと
・習近平は孫子の兵法に倣い、戦わずして敵を屈服させたいと考えている。その為に『大きいことは強いこと』、つまり自軍を大きく見せることに拘っている。
・その真意は、人民解放軍が「張り子の虎」で、実際には弱いから、戦わずに勝つ為に虚勢を張っているのである。
・人民解放軍は最前線の一級部隊以外は装備も士気も練度も低く、更に「一人っ子政策」の影響で甘やかされて育てたれた一人息子は軟弱で、「一人息子を守りたい、死なれたら困る」母親達がモンスターペアレントと化して軍に怒鳴り込んでくる事象が生じている。総じて人民解放軍兵士には「ハングリー精神」が欠けている。
・インド、中国国境の紛争は素手や棍棒、投石を用いた格闘戦だったが、インド軍は中国軍を斥け、外交的にも勝利した。
国家〈党〉という名の人などいない。全ては人が始めるのだ。
・習近平は中華人民共和国という国家や中国共産党という政党を重視していない。
自分が全権力を一手に握る独裁者になりたいと思っている。
習近平の父は毛沢東によって左遷され、習近平自身も塗炭の苦しみを味わった。
その毛沢東を嫌い、憎むからこそ毛沢東を超える「皇帝」になりたいと思っている。
・中国大陸の歴史は易姓革命の連続であり、300年以上続いた王朝が大帝国と畏敬され、100年程度の国は小帝国と扱われる。中共はまもなく100年の小帝国となる。そこで習近平は「中国」という概念の拡大、即ち、アジアから世界を中華化して、中国共産党王朝の中興の祖として「始祖」毛沢東と並んで中国史に刻まれるのが願い。
・鄧小平以降の歴代の中共指導者の性質を分析すると、江沢民=商売(経済発展重視)、胡錦濤=堅実・穏健(国内を引き締め、日米との不必要な対立は避ける)、とすると習近平=拡大妄想(西側世界への挑戦)である。
大木は苗木のうちに、虎は子供のうちに処理することだ。
・即ち、日本や台湾の軍事力が強くなる前に、摘んでおきたいと考えている。
・「太平洋の向こうにご馳走(アメリカ)がある。」その前に「近くの果物(日本、台湾、韓国、ベトナム他)」を食べて力を蓄えたい。(習近平談)
・台湾独立派を抑える為、中国国民党と竹聯幇(ちくれんほう/ジュリェンパン)という暴力団を活用する。
竹聯幇は国民党の影の支持者であり、工作活動にも従事してきた。
・台湾人は元来、商売重視の気質があり、いまいち国家意識、国防意識に欠けている。その点を中共や中国国民党は巧みに突き、現状維持の中華民国体制が利益があると思わせ、台湾独立の意識を削ごうと考えている。
中共の情報戦略と五カ年計画
・ペロシ米下院議長のアジア歴訪に際して、日本・台湾・韓国の親中派に「アメリカは中台戦争を誘発し、日本と韓国を安保条約に従って戦地に送る。」と宣伝させて、世論が混乱する中で台湾総統選挙に突入させ、「現状維持が理想」と信じさせて台湾独立派を牽制している。
・Motion Picture Association of America、MPAA(アメリカ映画協会)は中共の抗議に屈して映画「Red Dawn(赤い夜明け)」の敵役を人民解放軍から朝鮮人民軍に変更させた。
「Red Dawn」は元はソ連によるアメリカ本土上陸を描いた作品で、本作はそのリメイクであった。
これに激怒したトランプは政権時にMPAAにメスを入れ、チャイナマネー追放と組織改革が行われMotion Picture Association, Inc., (MPA)に改称した。
・中共五カ年計画は、五年目を目標に向かって動くため、四年間は内政に重点を置く。その為に共産主義青年団と人民解放軍のガス抜きの為に汚職摘発などを行っている。
毛沢東の「共同富裕」と習近平、鄧小平の「改革開放」と李克強
・資本主義路線では民主化へ繋がってしまうので社会主義路線に戻したい。改革開放路線で小康社会となったが、民主化を防ぐ為に毛沢東の「共同富裕」へ進めて社会主義現代化を実現する。
・経済国師と呼ばれてバブル経済へ進めた劉鶴副首相は退任した。胡錦濤の追放は共産主義青年団への見せしめであった。李克強首相は「安全な引退」を希望して習近平に降伏した。
・李克強派で改革開放路線の支持者とされる胡春華と汪洋も習近平支持に転じた。
・「ゼロコロナ」政策は社会主義の優越性を示すものと考えているので、反発されようとも決して引くことはない。
・「政治安全」を最優先して、世界30カ国に中共公安の拠点を設置している。
中共の世界戦略への対峙
・「中共のウイグル人権侵害」を国連人権理事会(47カ国)が討議しない決定を下した。
・9月28日、尖閣に中共海警船3隻が侵入し居座る→日本政府抗議するが中共は無視した。
明ける9月29日、経団連主催「国交正常化50周年式典」に林外相、二階、福田元総理など800人が出席した。これでは「日本政府の抗議は口先だけ」だと思われてしまう。