【水星の魔女】レディ・プロスペラのささやかな復讐
プロスペラ・マーキュリー。
本名、エルノラ・サマヤ。
エリクト・サマヤの母親にして、スレッタ・マーキュリーの戸籍上の母親です。
そんな彼女が本編上で行ったであろうささやかな復讐について妄想します。
ヴィム・ジェタークへの復讐
18話でジェターク社へのデータ提供が発覚し、ミオリネに「(株式会社ガンダムの子会社になったくせに)あんた何勝手にガンダムの技術を提供してんのよ!」と突っ込まれたことに対し、「まだ買収される前でしたし」としれっと切り返したプロスペラ。
前回の妄想では触れなかったのですが、『ドローン事業を一緒にって熱烈に要望されちゃいまして』とわざとらしく報告してみせたこの部分がヴィムに対する彼女のささやかな復讐と私は見ています。
ヴィムは3話でのグエル&ダリルバルデの敗北を受け、第5世代機の開発をキャンセル(=負けた機体を販売しても顧客は寄り付かないと判断)し、急遽次世代機開発の前倒しを決定した、と私は予想しました。
次世代機に採用すべき新技術としてヴィムはエアリアル&新型ドローンに目を付けたのですが、これについてはプロスペラにのらりくらりと交わされて技術提供をすぐには受けられなかったと見ています。
7話のパーティーでプロスペラに脅しをかけるも失敗し、しかもグループ内部に悪印象を残してしまってにっちもさっちも行かなくなったヴィムが文字通り懇願(=プロスペラが言うところの『熱烈に要望』)してデータ提供を受けた……というのは想像に難くないのですが、プロスペラがヴィムをそこまで振り回した理由はなんなのでしょう?
その発端は、2話のこれではないかと思うのです。
「その風体で信じろとでも?」
この瞬間、プロスペラがピタッと動きを止めています。
仮面の下の素顔は窺い知れませんが、おそらく内心でとてもキレていたのではないでしょうか。
審問会の直前、プロスペラはヴィムと極秘に顔を合わせ「デリング暗殺の件をバラされたくなければ審問会で援護しろ」と脅しをかけているのですが、ヴィムは『水星の採掘屋』に脅されたのがよほど気に入らなかったらしく上記の発言をボロッとこぼしています。
これに関する怒りの発露がヴィムへの義手投げ捨て&データ提供の拒否に繋がったものと私は見ています。
水星の老人達への復讐
ヴァナディース事変でフォールクヴァングから脱出したサマヤ母子が水星に辿り着いたとき、水星の老人達は彼女たちを受け入れるか否かで紛糾し、その後も何かとプロスペラとスレッタに冷たく当たっていたことが小説『ゆりかごの星』で明かされました。
スレッタがエアリアルに乗って船外活動を続けていくことで少しずつ当たりそのものは弱くなっていったのですが、それでもエルゴ・ペルダのように態度を変えない者達もいたということが小説から読み取れます。
そんな水星の老人に対して行った彼女のささやかな復讐が「シン・セー開発公社のCEOの座に着く」ことではないかと推測します。
プロスペラがCEOに任命される以前も
エアリアルの発言より、プロスペラの出世を不満に思うエルゴが、プロスペラの子供であるスレッタに『イジワルをした』と読み取れます。
かつて自分と我が子に辛く当たった老人達を押さえ付け、そして積もりに積もった鬱憤を晴らす目的も兼ねて、彼女は水星におけるトップの座に上り詰めたのでしょう。
水星の老人達に対して生殺与奪の権を握る……それこそがかつて放逐か否かをサマヤ母子に突きつけてきた彼らに対する絶妙な復讐なのかもしれません。
垣間見えるその性格
娘であるスレッタが実は負けず嫌いである、という描写は「ゆりかごの星」や本編中のエピソードの随所に散りばめられていますが、母であるプロスペラ=エルノラも同じ傾向があったのではないかと思われます。
どうもそうなのではないかと思われるシーンがプロローグのこちらです。
敬愛する博士の指示さえも一瞬は無視するものの、強く言われて歯噛みで苛立ちを、「まだ行けるのに!」という意思を瞬間的に見せるエルノラ。
彼女もまた、戦わずして引くことを望まない、負けず嫌いなのでしょう。
そして上に挙げた二つの復讐妄想から、彼女は他人から受けた屈辱に対してかなり根に持つ性格なのではないかと予想します。
本日放映の23話で、その本領を、プロスペラの復讐の集大成を見せつけて来るかもしれないクワイエット・ゼロ。
いやがうえにも緊張が高まります。