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不平等条約について考えよう

(5600字)
アメリカ大好きな人は読まないように(笑)

RTの記事より:
米国上院議員トム・コットンが、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する逮捕状を発行した国際刑事裁判所(ICC)を非難し、オランダに拠点を置く同裁判所を脅迫する発言をしました。

彼は、通称「ハーグ侵略法」と呼ばれる米国法、すなわち「アメリカ軍保護法」を引き合いに出しました。この法律は、裁判所の要請で拘束されたアメリカ人または同盟国の人物を解放するために、「必要かつ適切なすべての手段」を使用する権限を米国大統領に与えています。

ICCは木曜日、ガザ紛争に関連した戦争犯罪および人道に対する罪で、ネタニヤフ首相と元イスラエル国防相ヨアブ・ガラントに対する逮捕状を発行しました。
また、ICCの主任検察官カリム・カーン氏は、ハマスの軍事指導者モハメド・デイフにも同様の容疑を発表しました。

これに対し、コットン上院議員は木曜日にX(旧Twitter)に投稿し、ICCを「カンガルー法廷」と非難し、主任検察官カリム・カーン氏を「狂気じみた狂信者」と呼びました。(※カンガルー法廷については、以下にある解説読んでね。)

「これらの違法な逮捕状を執行しようとする者には災いあれ。そのような行動を取る者たちに一言忠告しよう。アメリカのICC(国際刑事裁判所)に関する法律が『ハーグ侵略法』と呼ばれるのには理由がある。その点をよく考えることだ」と、トム・コットン上院議員は警告しました。

**ハーグ侵略法(The Hague Invasion Act)**は、2002年に米議会で可決され、アメリカの軍人や関係者をICCの管轄権から守ることを目的としています。この法律は、ハーグの裁判所によって拘束されたアメリカ人や同盟国の市民を救出するための軍事行動を認めています。市民権団体は、この法律がICC条約を支持する国々を脅迫する意図を持つと批判しています。

アメリカ政府は、イスラエルの主要な同盟国としてICCの決定に反対の立場を取っており、米国の複数の政治家が、ICCがネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント元国防相に逮捕状を発行したことを理由に、ホワイトハウスに対しICCへの制裁を求めています。

一方で、**EU(欧州連合)**は異なる立場を示しています。イタリア、オランダ、スイス、アイルランド、ノルウェーなどは、ICCの要請に応じる意向を示しました。イスラエルはローマ規程(ICCを設立した条約)の締約国ではありませんが、この裁判所の権限を認める124か国のいずれかで、ネタニヤフ首相やガラント元国防相が拘束される可能性があります。

ICCは、ネタニヤフ首相とガラント元国防相を、ガザにおいて飢餓を戦争の手段として使用したことや、食料、水、医薬品などの生活必需品を「明白な軍事的必要性がない」状況で意図的に供給しなかった罪で告発しています。この告発は、ICCが進めている包括的な調査の一環であり、10月7日にハマスがイスラエルに対して行った攻撃に関連する犯罪も含まれています。

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※以下、記事以外の補足説明です。長いので読まなくても構いません。

カンガルー法廷とは、不公正で法的基準を無視し、正当な手続きを欠いた裁判や擬似的な裁判を指す言葉です。この用語は、裁判の結果があらかじめ決まっていることを暗示し、公平性や適正手続き、または正当な権威を欠いている場合に使われます。

通常、この言葉は、偏見や政治的動機に基づいている、または正当性に欠けると見なされる裁判や法的手続きを批判するために使われます。この表現は、裁判が単なる形式に過ぎず、証拠や法律の原則ではなく、恣意的な判断や外部からの圧力に基づいて決定が下されることを示唆しています。

Q1:ハーグ侵略法と日米地位協定は似てるよね?
ハーグ侵略法と日米地位協定は、どちらも国際的な法的枠組みに影響を及ぼすアメリカの政策に関するものですが、その目的と適用範囲には大きな違いがあります。

1. ハーグ侵略法 (The Hague Invasion Act)
• 正式名称: American Service-Members’ Protection Act (ASPA)
• 成立年: 2002年
• 目的: アメリカの軍人や政府関係者が国際刑事裁判所(ICC)の管轄権に従わないことを確保する。アメリカ人や同盟国の人物がICCによって拘束された場合、軍事行動を含むあらゆる手段で解放することを大統領に認める。
• 背景: アメリカは、ICCのような国際裁判機関がアメリカ人を政治的に攻撃するリスクを懸念している。この法律はICCの影響力を弱めるため、加盟国に対するプレッシャーとしても機能している。
• 特徴: 国際刑事裁判所を明確に否定し、アメリカの主権を優先。目的は国際機関への対応であり、特定の国との協定ではない。

2. 日米地位協定
• 成立年: 1960年(改訂日米安全保障条約と同時に発効)
• 目的: 在日米軍の法的地位を規定し、日本での駐留を円滑にする。在日米軍やその関連施設、関係者の法的保護や活動の免責範囲を定める。
• 背景: 日米安全保障条約の一環として、アメリカ軍が日本国内で円滑に活動できる法的基盤を整備。冷戦時代における日本の防衛と地域の安定を目的としていた。
• 特徴: 日本国内の法律や司法制度とアメリカの軍事活動を調整するための協定。日本で犯罪や事故を起こした米軍関係者に対する法的処遇を定めており、日本側の司法権が制限される場合がある。特定の国(日本)を対象とした二国間協定。

主な違い:右と左の項目を/で区分しています。読みにくくてゴメン。
項目:ハーグ侵略法/日米地位協定
目的:アメリカ人を国際刑事裁判所の管轄から守る/在日米軍の法的地位や活動を定める
対象:国際刑事裁判所(ICC)とその支持国/日本との二国間関係
適用範囲:全世界(ICC加盟国全般に影響)/日本国内に駐留する米軍とその関連者
手段:軍事行動も含む「あらゆる手段」の使用を認める。/米軍関係者への法的免責や特殊な扱いを規定。
国際機関との関係:国際機関を直接否定/特定の国(日本)との協力体制

共通点:アメリカの利益を守ることを目的としている。国際的な法の枠組みに対して特定の条件を課している。
違いの本質:
ハーグ侵略法はアメリカの主権保護を目的に、国際機関への対応を規定しているのに対し、日米地位協定は米軍の駐留管理を目的とした二国間の合意です。それぞれの背景や適用範囲が異なるため、直接の比較対象ではありませんが、いずれもアメリカの対外戦略に基づく法的枠組みとして重要な位置を占めています。

Q2:アメリカ軍人は駐在国で犯罪を犯しても捕まらないの?
アメリカ軍人が駐在国で法律を犯した場合、捕まらないわけではありませんが、通常の法律適用とは異なる扱いを受けることがあります。これは、アメリカが駐留する国々と結んでいる**地位協定(Status of Forces Agreement, SOFA)**によるものです。以下に、その仕組みや例外について説明します。

1. 地位協定 (SOFA) の基本内容
地位協定は、アメリカ軍が外国で活動する際の法的地位を規定する二国間または多国間の協定です。この協定により、駐留国でのアメリカ軍人やその関係者の法律上の扱いが定められています。
• 軍人の法的地位:
• 通常、任務中に発生した事件・事故については、アメリカ側に管轄権がある。
• 任務外での犯罪行為については、駐留国の法律が適用され、駐留国が裁判を行う権利を持つ。
• 駐留国の司法権制限:
• 地位協定には、米軍関係者に対して駐留国の司法権を制限する条項が含まれることが多い。
• 例えば、日本の日米地位協定では、任務中に起こした犯罪について日本側は管轄権を持たない場合があります。
• 法的免責の可能性:
• 軍人が国際法や駐留国の法律に違反しても、アメリカ軍が独自の処分を行うことで、駐留国での処罰を回避することもあります。

2. 実際の運用と問題点
地位協定の運用は国や状況によって異なり、アメリカ軍人が不当に特別扱いを受けることが問題視されるケースもあります。

日本の日米地位協定の例

• 任務中の行為:
• 米軍関係者が任務中に違法行為を行った場合、日本側には基本的に裁判権がありません。
• アメリカ側が軍事法廷で裁くことになります。
• 任務外の行為:
• 駐留国(日本)が管轄権を持ちますが、逮捕や裁判に進むまでにアメリカ側との協議が必要。
• 米軍人が逃亡を防ぐために身柄を米軍が保持する場合、捜査や裁判が遅れることもある。

その他の国での例

• ドイツや韓国などでも、地位協定に基づき米軍人に特別な扱いが与えられていますが、犯罪や違法行為が重大な場合、駐留国の法律に従い裁かれることもあります。

3. 例外と実際の罰則
• アメリカ軍人が重大な犯罪(殺人や暴行など)を犯した場合、駐留国の司法機関が裁くケースがあります。
• 例: 沖縄で発生した米軍関係者による犯罪事件では、日本の司法制度で裁判が行われ、実刑判決が下されています。
• ただし、軽微な犯罪や任務中の行為の場合、アメリカ側で処罰されることが多いです。
• この場合、駐留国では処罰が軽いとみられることがあり、不満を招くこともあります。

4. 地位協定への批判
地位協定は駐留国で不平等だと批判されることが多いです。
• 駐留国側の視点:
• 「自国の法律が十分適用されない」と感じる。
• 米軍関係者の犯罪が繰り返される場合、不満が高まる(例: 沖縄での抗議運動)。
• アメリカ側の視点:
• 駐留国での不公正な扱いや政治的動機による裁判から軍人を守る必要があると主張。

まとめ

アメリカ軍人が駐在国で違法行為をした場合、地位協定によって駐留国の司法権が制限されることがあるため、「捕まらない」ように見えるケースもあります。ただし、重大な犯罪であれば駐留国で裁かれる場合もあり、完全に免責されるわけではありません。この制度は、駐留国とアメリカ双方の利益を調整するためのものですが、不平等や特別扱いとして批判されることが少なくありません。

Q3:アメリカ軍人はどれくらい日本で犯罪犯しているの?
日本におけるアメリカ軍関係者が関与する事件のうち、任務外と判断された事例の割合についての具体的な統計は公的に明確に公開されているわけではありません。しかし、日米地位協定の運用や報道された事件の傾向から以下の点が推察されます。

1. 任務中か任務外かの判断
• アメリカ軍側の判断: 任務中か任務外かを判断するのは基本的にアメリカ軍側です。この点が駐在国(日本)にとって不平等と批判される理由の1つです。
• 駐留国側の管轄権: 任務外と認定された場合のみ、日本側に司法管轄権が認められます。

2. 具体的な事件と傾向
• 過去の報道や資料によれば、アメリカ軍関係者による事件の大半は任務外の状況で発生しているとされています。これは特に、飲酒運転、暴行、窃盗、性犯罪などのケースで顕著です。
• 沖縄県庁の統計や報告書では、在日米軍関係者による事件の多くが**私的行動中(任務外)**に発生しており、日本側の管轄権が適用される場合もあると指摘されています。
• 例: 2016年に沖縄で起きた元海兵隊員による女性殺害事件は、任務外として日本側で裁判が行われ、実刑判決が下されています。

3. 任務外事件の割合
公式な統計はありませんが、次のような推定が可能です:
• 沖縄県の発表や報道に基づくと、米軍関係者が関与する事件の約70〜80%が任務外の状況で発生している可能性が高いとされています。
• 残りの20〜30%は、任務中またはその判断が曖昧なケースに該当する可能性があります。

4. 問題点
• アメリカ軍の裁量: 任務中か任務外かの判断がアメリカ軍側に委ねられているため、日本側は十分な捜査や司法手続きが行えない場合があります。
• 透明性の欠如: 任務中かどうかの判断プロセスが不透明で、日本側がその判断に異議を申し立てることは難しい。
• 被害者の不満: 任務中とされ日本側で裁かれなかったケースでは、被害者や地域住民が不平等感を強く抱くことが多いです。

まとめ
在日米軍による事件の多くが任務外とみなされると推測されますが、正確な割合は70〜80%程度とされるのが一般的な見解です。しかし、任務中かどうかの判断をアメリカ軍が一方的に行うため、日本側の司法管轄権が制限される点は、不平等条約として長年批判されています。この問題は特に沖縄で深刻であり、日米地位協定の見直しを求める声が継続的に上がっています。

在日米軍やその軍属が関与する犯罪件数についての年別推移は、沖縄県を中心に統計が公開されています。近年、沖縄県内での米軍関連の刑法犯検挙件数は、2021年に38件、2022年には54件と増加傾向にあります。これらには殺人や強盗といった凶悪事件だけでなく、飲酒運転や窃盗などの事件も含まれます。特に2022年の数字は過去10年で最も高いものとなっています  。

こうした統計は、日米地位協定の特権的扱いと、米軍人が基地内に逃げ込むことで捜査が進展しないケースがあるため、日本側の司法機関が犯罪抑止に困難を感じていることを示しています。この問題については沖縄県や日本国内での抗議活動や法改正の要求が続いています  。

トランプ政権になって、日本はどうなるかですね。占領されて80年目であり、準備が足りてない日本は、漂流するのか、今度は隣の国の属国になるか、まともな政治家、首相が居ない国は亡国の道です。(了)

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