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2拠点生活のススメ|第5回|2拠点とペット。ネコが教えてくれること

我が家のネコ事情

妻と暮らし始めてもう30年近くなるが、その傍らにはいつも家族の一員としてネコがいた。今居るネコは、バンクーバーオリンピックの年にやってきた「クー」、シャムMIXの雑種だ。子どもの頃は、顔や手足の先が真っ黒で目も真っ青、スタイルはちょっと寸胴だったけど、かなりのシャム顔。それが大人になるに従ってトラネコのような縞模様が現れ、黒かった顔もどこへやら・・・、ちょっぴりダマされたような気分にもなる(笑)。保護ネコだったこともあり、かなりの人見知りでビビリ性。未だにインターホンが鳴るとダッシュで逃げる。それでも10年も一緒に暮らしていると、妻にはすっかり心を許し、毎日膝に乗って甘えまくり。一方私に対してはというと、いつも少し距離を置いて何気にその行動を見張っている。妻曰く「あなたはガサツでアクションが大きく、大きな音を立てたりするから恐いのよ」と辛辣な意見。それでも、膝に乗せると少しの間は居てくれるので、一応は気を遣ってくれているようだ。2拠点生活を始めてから、少しは穏やかなオーラが出るようになったのか、以前よりクーとの距離が縮まったような気もするが、私が動くと必ずといっていいほど目が合うので、警戒をすべて解いたわけでは無いらしい。

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ネコにとって2拠点生活は、やはり迷惑なのか?

2拠点生活を始めた頃は、母の介護や互いの仕事もあって、妻と一緒に徳島へ行くことも少なく、家に居るどちらかがクーの世話をすることになっていた。私が家に居ないときは問題無いのだが、妻が家に居ないときは、隣の寝室に籠もってほとんど一日中出てこない、そっと覗くといつもベッドの上で丸まって眠っていた。もちろん、時々は出てきて愛想を振りまいてくれるのだが、それもお腹が空いたとき限定。妻だけの時とは随分様子が違うようで、世の中の子を持つお父さんの気持ちが少し分かるような気もする・・・。クーの本音は知るよしも無いけど、飼い主の2拠点生活は、ネコにとっては不遇な時代の始まりだったのかもしれない。

ある時、一週間ほど夫婦揃って休みが取れることになって、クーにも2拠点生活を体験させようという話になった。車に乗る=病院という図式しか無かったので、移動に関しては心配したが、まあ夫婦2人とも一緒なので何とかなるかという思いもあった。快適で安全な移動のためにメッシュ窓付きの立派なキャリーバックを購入。1週間ほど前から部屋に置いて慣らしたのだが、やはり車中ではずっと神経質な泣き声を出し続け、しまいにはその声が枯れてきてやるせない気持ちになった。徳島の家に着いてからも、押し入れの隅に潜り込んで、丸一日引きこもったまま。ご飯さえも受け付けてくれなかった。結局、猫特有の匂いを確かめる点検作業が始まるまで丸2日。3日目にしてようやく日の当たる窓辺で寝転ぶようになり、新鮮なしらすをガツガツとほおばるようになったのだが、妻に対してもかなりの不信感を持ったようで、いつもの甘えモードは影を潜めてしまっていた。やはりネコの2拠点は、飼い主のエゴなのだろうか?何がクーにとってのベストなのか、明確な答えが出ないまま、課題として持ち帰る結果となった。2拠点生活をされている方々は、皆さんどうしてるんだろう?

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ネコが教えてくれること

2拠点生活を始めてから、ネコを見ていて感じることがある。それは常に自分の感覚だけを頼りに、起こること、感じることにただ正直に反応し、常に「今」を生きているという事。人間のように、固定観念も無いし、常識も無ければ、推測も無いわけで、全く同じように見える日常も、まったく違うものとして、その時々の感覚だけを大切に生きている。今の人間社会で言うと、もっと先のことを考えて行動しろとか、知恵を使えとか言って怒られそうだけど、ネコは「想定外」なんて言い訳はしないし、あるがままを受け入れて純粋に今を生きているだけ。語弊を恐れずに言うならば、これからの人生「いつか」や「誰か」のためでは無く、ネコのように「自分」のために「今」を楽しんで生きる、これこそが一番大切なことだと思う。世の中がどうあれ、これからは一生、クー師匠についていこうと思う(笑)。



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