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もう脳がパンパンです(徳島宿プロジェクト)
徳島滞在最終日は、不動産屋の社長と契約についての打合せを行った。
あの場所で旅館業ができるかどうか、県土整備局からハッキリとした返答をまだもらえていないこと、現時点で正式契約は難しく、資金繰りや今後の運営を考えると家賃を抑えたいこと、契約するとしても4月からになることなど、包み隠さず正直に話をする。不動産屋の社長は60代半ばのとても自然体の女性、「しゃあないなあ、まあそれでええわ」とまるで顔馴染みの食堂のお母さんのように私の条件を飲んでくれた。何もなしで待ってくれは流石に気が引けたので、契約を待ってもらう代わりに、とりあえず手付けだけを打ってきた。
私が借りようとしてる物件は、もともと地元で生活に困窮していた漁師さんのために不動産屋の社長が作業場建てたるから、わかめの加工業をやれと世話を焼いて建てたものらしい。けれどその漁師さん、結局まともに家賃も払うことなく、仕事も長くは続かなかったらしい。
そんな話を聞いて、家賃をかなり安くしてもらったことが申し訳なくなった。なんて情に厚い方なんだろうか。そんな社長だから、私の情熱を受け止めて渋々ながらも条件を飲んでくれたんだろうな。ほんと、設計士さんといい不動産屋さんといい今回のプロジェクトは、ほんと人に恵まれている気がする。
コロナ禍の2年間、ただただ無駄な時間を過ごしてきたような気持ちに苛まれてきたけど、それは決して無駄な時間ではなく、見た目は何も変わっていないようでも土の中では根が伸びるように、自分が本当にどうありたいかをしっかり見つめ直す時間だったんだなと思えるようになった。人生に無駄なことなんて無いし、無駄の中にこそ、新しい発見が生まれる要素がいっぱい詰まっているのかもしれない。
今週は兵庫の家で、補助金獲得に向け事業計画書と格闘中。PVの企画書を書くことには慣れているので、コンセプトやメリットなどグラフや写真を交えて説得力ある計画書にしようと頑張っている。
タイトルは「ポストコロナ時代の新しい旅のスタイルに対応したリゾート型小規模宿泊施設の開設」
国土交通省の出している観光白書とか、コロナ禍における観光庁の計画などを調べ、お上の考え方に沿う言葉遣いだったり、目指す観光政策にリンクさせるなど、長年企画書を書いてきた知恵をフル活動させて挑んでいる。
大変だけどこうして計画書を書くことで、自分がどんな宿を作りたいのかどんどんフォーカスされてきて、曖昧だった考えがどんどん整理されていくようで、それはそれで計画書を書く意味があると思えてきた。
いつもの生活を忘れるための非日常の旅ではなく、海猫が飛び、潮風が肌を撫でる小さな港町で日常のストレスを洗い流し、そこに暮らす素朴な人々の生活に触れる。そんな日常の中で、本来の「暮らし」のあり方を見つめ直してみる・・・そんな気づきを持ってもらえるような場所になれば最高だな。
映える企画書を書くために、メリットだの、優位性だのといった文言ばかりを書いているうちに、そうした本音も現れて書き直すなど、三歩進んで二歩下がるといったチーター状態(若い人には分からないかな)。この先、私の最も苦手な経営計画といった数字満載の項目が待ち構えているだけに、まだまだ先が見えない。毎日少しづつ進めていくしかないようだ・・・。
しばらくは、この計画書や許可関係の書類作りとか、パソコンに向かってやる作業ばかり、脳の栄養とかいいながら、チョコレートとか甘いものばかりに手が伸びてしまう、ヤバいな。まあそういうことでもしないと、正直こういう作業は気持ちを持続させるのが難しい。
本業も立て込んできたので、一旦は本業に精を出してリフレッシュしよう。しかし仕事でリフレッシュするなんて、生まれて初めての経験。
大人になったものだ・・・笑。