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2拠点生活のススメ|第13回|サーフィンライフで芽生えた「流木家」という活動

突然、海岸に出現する流木オブジェ

私がサーフィンを楽しんでいるのは、吉野川の河口に位置する小松海岸。市内から車で約10分ほど、朝、太陽を浴びてキラめく吉野川に沿って車を走らせているとだんだん気分が上がってくる。ところが海についても、波がまったく無いということもあるし、風が強くてダメという日もある。そんな時は、誰も居ない海岸を一人で散歩。すると昨日までは無かったはずの風景に出くわすといったことがある。

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それは、誰がつくったか分からない、流木のオブジェのようなもの。ある人にとってはタダのゴミにしか見えないかもしれないが、流木の中に残された命の気配や記憶のようなものを感じて愛おしくなる。小松海岸で、よくこんな光景を目にするのは、きっと誰もがその気配をもっと確かなものへと変えてみたくなるからに違いないと思う。


四国随一の大河・吉野川が生み出す大量の流木

総延長194km、流域面積が四国全体の20%を占める大河「吉野川」。昔より、人やモノ、情報を運ぶ「動脈」としての歴史を持ち、人々に豊かな恵みをもたらしてきた一方、暴れ川としても有名で、多くの流木を生みだす川としても知られています。台風が去ったあとに海に行くと、大きな木が根こそぎ流され打ち上げられていることも・・・。まるで「猿の惑星」のエンディングみたいで、ここどこの惑星?と言いたくなるような光景にでくわすこともある。

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「流木」に救われる

母親の介護度が増し、仕事も立て込んで、唯一の息抜きである徳島にもまったく来れないといった時期がありました。自分ではコントロールできない出来事が、次から次へと襲いかかってきて、自由になるのは細切れの短い時間だけ。そんな時間でさえ、頭の中は出口の無い考え事で埋め尽くされていく・・・そんな気分を変えてくれたのが流木でした。撮りためていた流木写真や、集めていた流木を組み合わせたシンプルなオブジェをインスタグラムにアップ。空いた少しの時間で毎日繰り返している内に、その時間だけは、頭の中を支配する現実が片隅へと追いやられ、様々な妄想が拡がる楽しい時間になっていきました。(インスタページへ)

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Tokushima Driftwood Project 始動

インスタ写真が積み重なっていくうちに、嬉しいことに、様々な反応も届き始め、
Tokushima Driftwood Project と名付けた初展示へと繋がります。流木を組み合わせることで、そこに立ち上がる気配を感じてもらう。これをキッカケに、独自の作品作りへと舵を取ることなっていきました。

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ゆったりとした自然のサイクルの中で個性的で美しい姿を身につける流木。1本の流木から想像の翼を拡げ、豊かな森や美しい海岸線、そして流木が辿った時間、その一つ一つのストーリーにゆっくりと思いを馳せてみたい。そんな思いを伝えられる方法は無いだろうか。海と共にある暮らしが与えてくれる惠みを実感するにつけ、そんな思いが膨らみ始めます。そうして、たくさんの流木を集め、試行錯誤する中でたどり着いたのが、流木のハンティングトロフィー。ある種、標本のような暮らしの中に取り込んで楽しめる流木です。

今でも、波のない日には流木を集め、丁寧に汚れを落として、どうカタチにするかを考え妄想を膨らませています。流木をただの廃棄物にしたくない、Tokushima DriftWood Projectは、イマジネーションを刺激する流木のアップサイクルを目指しています。

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