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【帯同中もキャリアを諦めないシリーズ第4弾】短い目標を決めて走る!2つの就労と仲間との出版チャレンジ!
「30分前にオフィスを出て、バイクタクシーに乗ってさっき帰ってきたところです!」
アジアに駐在帯同した経験のある人なら思わず「あ、あのバイクの後ろに乗せてもらうタクシーですね!」と、アジアの街の喧騒を連想させてくれたベトナム帯同4年目の山口由香子さん(以下、きのこさん)。
私たちDual Career AnywhereがXのスペースで開催した『帯同中もキャリアを諦めない駐在帯同家族シリーズ第4弾』のゲストです。
2024年5月に開催したスペースでは、きのこさんが駐在帯同4年間で挑戦してきた3つのチャレンジについてお話を伺いました。今回のホストは、きのこさんの活動を当初から応援している副代表の鎌田と加藤が勤めます。
※本記事はXスペースでの対談の一部を記事にしています。Xスペースはこちらからお聴きいただけます。
https://x.com/i/spaces/1MYGNomZqbbJw/peek
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◾️ベトナム帯同3ヶ月目にリモートでコーチング活動をスタート
加藤:まず1つ目のチャレンジについて教えてください。
きのこさん:ベトナムに来てすぐに自分は何がしたいかを考えた時に、自分のように転勤でキャリアが分断されている人たちの力になりたいと思いました。そこでまず最初に頼ったのは、鎌田さんが運営しているCAREER MARKさん(https://careermark.net)や駐妻キャリアnetさん(https://chuzuma-career.net)のように駐妻のキャリア支援をされているコミュニティや、ベトナムで女性のキャリア支援をされている人でした。お話を聞く中で、コーチングの資格を持ってキャリア支援をされている人が多くいたため、私自身もコーチングスクールに入りました。
そのコーチングスクールに50時間セッションをするという卒業要件があったため、すぐにXを通じてクライアントを募集して、コーチングを始めたのが駐在帯同の3ヶ月目でした。
加藤:Xを通じて出会われたクライアントさんは、ベトナム在住の方ですか?それともその他の国在住の方ですか?
きのこさん:日本語でのコーチング提供ですし、日本在住の方が多かったです。その他の国在住の方も数名いらっしゃいました。
加藤:コーチング活動については、帯同ビザのままで大丈夫でしたか?
きのこさん:はい。大丈夫でした。私の活動は、日本にお住まいの方へリモートでの役務の提供ですので帯同ビザのままで問題ありませんでした。ベトナム人の現地就労の機会を奪っているというわけではないという観点からの判断です。この判断方法はベトナムにある税理士事務所のレポートで知ることができました。その事務所には、駐在妻の方からの問い合わせが本当にたくさんあるとお聞きしています。そのおかげでベトナムでもリモートで就労している方が増えていると感じています。
鎌田:アジアは帯同ビザでは働けないというイメージが強いですが、やはり実際に調べてみることが大切ですね。
※参考レポート
越境リモートワークの注意点〜家族帯同で配偶者がベトナムで仕事を続けるには〜 /I -GLOGAL CO.,LTD.ホーチミン事務所代表 福本直樹
https://www.i-glocal.com/service/write/pdf/igl_tax_2021_6_10.pdf
◾️コミュニティメンバーと出版した『転勤妻サポートBOOK』
加藤:2つ目のチャレンジとして立ち上げられたコミュニティメンバーと今年2月に本を出版されたそうですね。
きのこさん:「みんなで何かやりませんか?」という私のざっくりした声かけに集まってくれた9名のメンバーで『転勤妻サポートBOOK』という本をKindleの電子書籍で出版しました。転勤族の方が悩むことの多い仕事・人間関係・お金や住まいの4つのカテゴリーについて、解決手段や経験談をぎゅっと凝縮した内容になっています。
加藤:この本に書いてあるような悩みは、一人一人事情も違うので、一つの正解を出すのがとても難しいと思います。そんな中でこの本には、経験者の多様な乗り切り方が書かれていて、とても読みやすかったです。
きのこさん:この本は経験者75名の方のアンケート結果も踏まえて作りました。選択肢を広げるきっかけになればという気持ちです。
※『転勤族サポートBOOK』(kinocom著)
https://amzn.asia/d/0d43U8CB
◾️ベトナムで現地雇用にチャレンジ中!
加藤:3つ目のチャレンジとして、ベトナムで働き始めて1ヶ月とお聞きしました。
コーチングのお仕事はベトナム人の現地就労の機会を奪っていないということで帯同ビザについて特別な手続きが必要なかったと先ほどお聞きしました。今回、ベトナムの会社に入って現地雇用で仕事をするためには何か手続きは必要でしたか?
きのこさん:一度ベトナムから国外に出て、ベトナム大使館に行って帯同ビザを就労ビザに切り替える手続きが必要でした。それに加えて、大学卒業証明書と無犯罪証明書を手配することも必要でした。犯罪経歴証明書は、ベトナムにある日本大使館で申請することもできますが受け取りまでに1ヶ月以上かかります。日本国内であれば、住所地の警察本部で申請し即日受け取りが可能でした。ただし、警察本部が日本国内滞在地の近くにない場合は少し大変です。大学卒業証明書は、申請から2週間ぐらいで実家など日本国内住所に届けてもらった上で受け取りました。
加藤:旦那さんの会社との現地就職に伴う相談や家族手当についてはどうされましたか?
きのこさん:パートナーの会社には、現地就職を考える前から手当や公的保険についての相談をしていました。その際パートナーの会社側としては、帯同者の就職先の会社が払うべき公的保険や手当などはパートナーの会社からは付与対象外とする。ただし、それ以外の手当などについてはそのまま付与対象とする。という考え方を提示してくださいました。例えば、パートナーの会社が手当してくれている日本への一時帰国費用や住宅費用が対象外となり減額されることはありませんでした。
加藤:手当の全てが付与対象外になるのではなかったのですね!とても合理的な判断をされている会社だと感じます。手当についても、パートナーの会社側と相談することはやはり大切ですね。
きのこさん:私も自分が就職することで、パートナーの会社からの手当が全て付与対象外になると思い込んでいました。そうなると自身の就職は難しいと思い、勝手に現地就職をキャリアの選択肢から外していました。本気で現地就職を考える段階で、きちんと確認して本当によかったです。ただ、このことをもっと早くに知っていたら、現地就職をするという選択肢がもっと早い段階から持てたと思います。
鎌田:パートナーの会社に就職を認めてもらえないと勝手に思い込んで、問い合わせしないという人も沢山いそうですよね。
きのこさん:自分のパートナーの会社には帯同者の就職や手当について認めてもらえないだろうと思い込んでいる人もいらっしゃると思います。ただ、実際に確認してみたら会社によっては認めてもらえたり、新しい事例を作れることもあると思います。
加藤:無理かもと悩むより聞いてみることは大切ですね!今日はきのこさんが行動したことを沢山聞かせていただきました。行動力さえあれば、海外にいてもこれだけ沢山のことをやれるのだと思いました。国内外に住む転勤帯同パートナーの力になるといいなと思います。
鎌田:きのこさんのすごいところって、言ったことを行動に移せることですよね!小さなことでもやってみるうちに、情報や仲間が集まってくるから、どこにいてもやりたいことは出来るのかもしれないですね!
◾️山口由香子さんプロフィール
ベトナム駐在4年目、3度目の転勤帯同中。2度の国内転勤を経て、初の海外駐在帯同へ。
駐在直後にコロナ禍でのロックダウンを経験。あらためて自身の今後を考えた時に、自分のようにキャリアが分断されている人をサポートしたいとリモートでのコーチング活動を開始。コーチングを通じて国内外の転勤族の方のお話に寄り添うことで、新しい土地で孤独さを感じながらライトな繋がりを求めている人たちの存在に気づき転勤族のためのキャリアコミュニティ「kinocom」を立ち上げ運営中。2024年4月からWEBディレクターとしてベトナム現地就職にもチャレンジ中。
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お問い合わせ先
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執筆担当:岡山美和
国立大学や教育系NPOで学校と社会との橋渡し役を担った後、パートナーの国内転勤先で地方自治体のシティプロモーションを経験。
2023年4月よりインドネシア駐在帯同中。現在はライターとして”言葉で残し届ける力”を磨きながら、Dual Career Anywhereに参画。