共働き夫婦のための、がんばらない戦略的子育て:自己紹介と目的
初めまして、国内の大学で教員として働いている、ある子育て中の女性研究者です。昨年産後6週間で仕事復帰してから、今年の春で約1年が経ちました。その間夫が半年間の育休を取ったりしていましたが、復帰後のフルタイム共働き子育て状態も、半年が経過しようとしています。
私の仕事は国内外の出張があり、土日、及び平日23時頃まで仕事がある日もあります。データの解析、論文執筆、講義資料の準備等、ある程度まとまった時間と集中力を要する仕事が多いため、子育てとうまく両立させることは死活問題です。夫は私と比べて出張は少ない方ですが、本業の仕事以外のプロジェクトにも関わっていることから、土日に打ち合わせに出かけたりすることも多く、平日も帰宅が遅くなる日があります。お互いの両親は存命ですがそれぞれ片道1時間半以上かかる距離にいるため、イベント時に会うくらいで、普段子どもを預けたりすることはありません。私の場合、育休を取らずに仕事復帰してしまったため、平日の日中に公園に行くこともなく、未だにママ友もいません。このような環境の中、子どもが生まれてからこれまで1年間、夫婦で家事育児を完全に分担し、どちらもワンオペができる状態にして、転職、こどもの入院、保育園からの呼び出し等、様々な局面を何とか乗り切ってきました。
幸い、これまで育児を辛いと思うことがなく、意外と何とかなっていると思えることの理由は、子ども自身が割と丈夫である(肺炎で入院しましたし、熱も何度も出ていますが、毎回命に別条はなく、割と回復が早い)ということに加え、いかに育児家事を「がんばらない」かつ「ポイントを押さえて戦略的に行う」かにエネルギーをかけてきた、ということがあるのではないかと感じています。
もちろん、この生活を可能にしているのは何といっても、子どもが7か月の時から通っている「保育園」のおかげです。いつも明るく元気にうちの子と接してくれる保育士の先生方には、本当に感謝してもしきれません。同時に、24時間こどもと一緒にいる専業主婦(夫)の皆さんは、本当にすごいと思います。子育てと仕事とを天秤に変えると、はっきり言って仕事をしていた方がはるかに楽だからです。「勝手に動き回って、危険なことも自由に何でもやろうとする」かつ「死なせてはいけない」小人の命を守る責任が(ワンオペ時は)自分一人だけに課されており、かつ「休憩を取る」「離職する」ことができないという仕事は、そうそうないと思うからです。
少し大げさかもしれませんが、将来国を背負う「絶対に死なせてはいけない」王子(まだ1歳くらいで、その国に王子は一人しかいない)の警護・身辺のお世話・教育を自分だけが任され、休憩も離職もできないという状況、もし万が一事故でもあったら王家だけでなく国民全員から糾弾される、という仕事があれば、育児というのはそれに近いような状況かもしれません。このような業務で、24時間気を抜くことができないという状況が何か月も何年も続けば、人は誰でも精神的に追い詰められると思います。これを考えると、交代要員をいかに確保するかというのが、子育てにおいて事故が起こる危険性を少なくし、虐待を防止し、親が倒れることを防ぐためには重要だと言えます。
フルタイム共働き家庭では、祖父母の手が借りられなくても、保育士さんという心強いプロ交代要員の方々に恵まれているため、幸いこういった「24時間体制」の業務は課されません。その分、仕事を終えて保育園にお迎え~夕食~遊ぶ~お風呂~寝かしつけ、そして朝は起こして~朝ごはん~着替え~出勤までとにかく時間がなく、丁寧さの代わりに取捨選択の決断力と戦略性が求められます。
現在の日本社会は、共働き家庭が多数派となっており、2018年時点では共働き世帯1,219万世帯、専業主婦世帯606万世帯と、専業主婦世帯の2倍を占めます(令和元年版男女共同参画白書、2019)。特に20~30代の若い世帯は専業主婦の方が少数派です。そのため、専業主婦が当たり前だった世代の育児論や育児方法は、時代にそぐわないものになっています。また、女性のキャリアや社会的地位、生涯賃金を考える上でも、「働き続ける」ことは非常に重要です。
しかしながら、出産後も働き続ける女性にとって、仕事と子育ての両立は未だに難しい問題となっています。男女共同参画白書(令和元年版)で示されている最新情報は第1子の出生が2010~2014年のデータですが、正規職員であっても、なんと3割の人が出産後に退職してしまっていることがわかっています。アルバイトや派遣社員等の非正規雇用者に至っては、75%が退職しているのです。いくつかの条件を満たせば、アルバイトや派遣社員でも育休を取得する権利があるのにもかかわらず、です。
私の知り合いも、1人目の子育て中、仕事と子育ての両立ができなくなり(保育園からの呼び出しが多く仕事を休まざるを得ない等)、退職せざるを得ない状況に追い込まれました。私自身は何としてもその状況を避けたいと思っていたことから、出産前、いや妊娠前からそのための戦略を考えてきました。その経験から、望んで専業主婦(夫)になっている家庭は別として、日本において子育てと仕事を両立させたいのにできない人が一人でも少なくなるよう、共働き家庭のための「がんばらない、戦略的子育て」を共有したいと思い、このnoteを立ち上げた次第です。
わが子はまだ1歳であり、子育てで大変なのはこれからだ、というご意見もあるかと思います。そのためまずは、これから親になるプレママ・プレパパ向け、また子どもが生まれたばかりの家庭向けに、まずはその年代の子育てに参考になる情報を書いていければと思っています。もう少し上の年齢の子育てに関しては、わが子が成長するとともに、アップデートしていきたいと思います。
普段私は研究・教育を生業としており、エビデンス(科学的根拠)にこだわっていますが、子育ては個人差が大きいため、量的なエビデンスだけでは語れない部分もあると思っています。そのため、子育てのマインドセットの部分など、私の持論を展開する可能性が高いことを、予めご了承頂ければと思います。また、医師ではないため、発達問題を含む医学的な相談に応じることはできません。また、育児に関して異なる考え方も、もちろんあるかと思います。ここで書くことは、あくまでも「私はこうしている」「私はこう考えている」という個人の経験であり、参考になる方もいればならない方もいるかと思いますが、子育てと仕事との両立を乗り切ることができる人を一人でも多く増やすために、少しでも貢献できたらと思う所存です。大切なのは、「様々な選択肢を持つこと」だと思っています。「こんな考えの人もいるんだ」という、気楽な感じで読んで頂ければと思います。
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