「A1明朝がウェイト展開されますように…」という願い(への現実的な処方箋)
「何を打っても(=どんな文字を入力しても)いい感じになる」万能感あふれる〈A1明朝〉ですが、残念なのがウェイト展開がないこと。
「A1明朝がウェイト展開されたら…」という声を聞かない日はありません。
線に同じカラーに設定することで少しばかりの“太らせ”は可能ですが、画数の多い文字ではつぶれてしまい、厳しいです。
〈A1明朝〉にウェイトがなければ〈筑紫Aオールド明朝〉を使えばいいじゃない?
フォントワークスLETSをお使いであれば、〈筑紫Aオールド明朝〉を使うという選択肢があります。まったく同じではありませんが、ニュアンスとしては代替できるかと。
比べてみると、〈A1明朝〉は〈筑紫Aオールド明朝〉の「DよりのM」くらいのウェイトです。
“墨だまり”の差
〈A1明朝〉を〈A1明朝〉たらしめている要素のひとつが“墨だまり”。A1明朝の紹介ページには次のように書かれています。
拡大すると、よりハッキリわかります。小さかったらわからないかというと、私たちはニュアンスとして感じるんでしょうね。
“墨だまり”を付加する
少し乱暴かもですが「ないなら付けてしまえ」について。
① プラグインで実現する(XtreamPath2の[スマートラウンド]効果)
② アピアランスで実現する
(1)プラグイン
オススメは「XtreamPath2」というプラグインの[スマートラウンド]効果を使う方法。
効果として適用しますので、グラフィックスタイルとしても管理できます。Illustratorのデフォルトの[角を丸くする]効果に不満を持っている方は要チェックです。
(2)アピアランス
「パスのオフセットの重ねがけ」を使うことで墨だまりを表現できます。
〈A1明朝〉は二度がけでOKなのですが、〈新ゴ〉などの場合には三度がけが必要。汎用的に使い回したい場合には「三度がけバージョン」を用意しておくとよいでしょう。
「しっぽり明朝B1」
FONTDASUさんがリリースされている〈しっぽり明朝B1〉を使う方向性も。墨だまり(〈しっぽり明朝B1〉では「ボケ足」と表現)もデフォルトで再現されていますので、プラグインやアピアランスでがんばる必要がありません。
さらに、ウェイトも揃っています。
比べてみると、〈A1明朝〉の代替というより、完成度の高い〈しっぽり明朝〉を積極的に利用するという切り替えもアリかと。
〈しっぽり明朝〉にはさまざまなバリエーションの感嘆符、疑問符が用意されているなど、逆に使い勝手がよい部分もあります。
おまけ
〈A1明朝〉に関して「もじの美貌録(備忘録)」さんの記事が興味深いので紹介します。
追記
[パスのオフセット]効果の重ねがけを使わず、[角を丸くする]効果を使って墨だまりを作る方法を樋口天帝が開発されました!
[角を丸くする]効果の前に[ラフ]効果を挟みます。
なお、このテクニックは+DESIGNING vol.55にて解説されています。
ほかにも有益なテクニックが満載なので、ぜひ、チェックなさってください!というか支えないと廃刊になってしまうので、余裕のある方は買いましょう!!!
なんと、本家からウエイト展開
2023年10月18日リリースの新書体から、A1明朝が3ウエイト展開になります!やっと!!!
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