
風前の灯火… Type 1フォントが使えなくなります!
追記:使えなくなりました!
・Illustrator:27.3.1から(2023年2月リリース、実際は3月)
・InDesign:18.2.1(2023年3月リリース)
Illustrator 2022(26.5)がリリースされ、Type 1フォント(PostScript Type 1フォント)を使っているドキュメントを開くと「Type1 フォントは、 2023年1月以降サポートされません。」というアラートが表示されるようになっています。

InDesignでも同様のメッセージが出ていましたが、今回のIllustratorは本気。毎回出ますし、環境設定で消すことができません。
Type 1フォントの見分け方
Illustratorの場合、[文字]パネルでは右側にフォントの種類の記号が表示されます。“1階建ての”「a」がType 1フォントです。
Illustrator 2022(26.5)では、このaに黄色い▲アイコンが付くようになっています。

[書式]メニューの[フォント]では左に表示されます。

拡張子のないフォント
「入稿データを圧縮したら、フォントファイルはあるのに0バイトになってた」という経験を持つ方は少なくないでしょう。
Type 1フォントには拡張子がないため、起こるんです。
Type1フォントは、Macでは「拡張子がないフォントファイルのこと」だと思っていい。
— ものかの (@monokano) January 29, 2021
2023年1月以降にリリースされるAdobeアプリは、拡張子がないフォントファイルを認識しなくなり、使えなくなってしまう。
「OpenType Type 1」??
InDesignの[フォントの検索と置換]ダイアログボックスなどでは「OpenType Type 1」という表記が出てきます。
一方、上部には「Type 1フォント:0」と表示され、混乱します。

Adobe Fonts ライブラリからアクティベートされたフォントは、Creative Cloud ソフトウェアでファイルタイプが「OpenType Type 1」と表示されている場合があります。これは正確には、「OpenType CFF」ファイルタイプと表示されるべきです。

いつまで使える?
アドビのドキュメントに「2023年1月まで」と明記されています。
https://helpx.adobe.com/jp/fonts/kb/postscript-type-1-fonts-end-of-support.html
アドビのドキュメントって、よく消えるのでページ全体をスクショしておきました。

でも、実際は使えるんでしょ?
2023年1月以降のアップデートでType 1フォントは認識されなくなるそうです。
デスクトップオペレーティングシステムに Type 1 フォントがインストールされている場合でも、Adobe アプリケーションは Type 1 フォントの存在を認識しません。
1. フォントメニューに Type 1 フォントは表示されません。
2. 以前にインストールした Type 1 フォントを使用することはできません。
3. ドキュメントで使用されている Type 1 フォントは、「環境にないフォント」と表示されます。
なぜ、使えなくなるの?
アドビのページには、こう書いてあるのですが、ちょっと意味不明です…
ほとんどのブラウザーとモバイル OS は Type 1 フォントをサポートしていません。Adobe と同様、大半のオペレーティングシステムでは、OpenType 形式フォントのより強固な技術的可能性のサポートが進み、Type 1 形式のサポートが終了しつつあります。
IllustratorやInDesignだったらいいじゃん!とも思うのですが、もうちょっと説明が欲しい。

何が困るの?
ピンと来ない方もいると思います。
このフォント問題の怖さがわかってないんですがやっぱり怖いんでしょうか。。。 https://t.co/aw009SsK3m
— ヤマダイ (@ymrun_jp) August 24, 2022
お仕事内容、クライアントの体質、業態などによって状況は異なります。
紙の仕事はシビアなので深刻ですが、それ以外であれば大丈夫そう。
— DTP Transit (@DTP_Transit) August 24, 2022
具体的に、どうシビアなのか
↓↓↓
・“同じような”フォントでは困る → 「字形が異なる」と詰められる
・フォントを変換したら文字送りや改行位置が変わる → 前の版と同じようにしてと難題を突きつけられる
再版多めの現場は大変ですぞ…(置き換え費用は出ないでしょうし😇
— Tomonori Onaka|SoliGra (@Tomy_O) August 25, 2022
Illustrator CC2021でも表示しておくれよ。
風前の灯火… Type 1フォントが使えなくなります!|DTP Transit 別館 @DTP_Transit #note https://t.co/kIKx3gpohH
InDesignに貼り込んでいるIllustratorファイルは?
InDesignに貼り込んでるIllustrator(Type1が残ってる)とかどうなるんやろか🤔
— Tomonori Onaka|SoliGra (@Tomy_O) August 25, 2022
細かいところをご説明しますと、Illustrator形式のPDF部分にCFFフォーマットでサブセット化したフォントが埋め込まれていますからIllustratorファイルを編集しない限りはそのまま出力可能で、Illustratorファイルを編集しようとした時にType1使えねーって言われます。
— Ten A (@ten_A_cclab) August 25, 2022
じゃ、どうする?
対策A
アプリケーションをアップデートしない。これが可能なら延命できます。
ただし、現実的ではありません。
現行のAdobeCC環境で「アプリを更新しないで運用する」のが長期的に実現できるかって言うと、相当難しい。特に個人版CC運用規模だと、もって一年二年じゃないかしら。。
— モリオ (@moriwaty) August 25, 2022
対策B
OpenType版を用意し、ドキュメントを調整する。
購入費
調整費用
相当なコストが発生しますね…
フォントはどうする?
シナリオA
個別に購入する。
初期費用としては発生しますが、当面、追加費用なしに使えます。
シナリオB
TransType 4などを使ってType 1フォントを変換する。
TransType 4は97ドル → 14,369円
変換できるフォントは限られます。許諾条件を要チェック
Type 1 フォントを変換できるユーティリティhttps://t.co/fYD4UXaXtd
— DTP Transit (@DTP_Transit) April 30, 2022
・1ライセンスでMac/Windows両方で使える
・97ドル(14,369円)
・フォント制作ユーティリティ老舗FontLab
自作フォントなど、ライセンス的に問題がなければ、Type 1 フォントのサポート終了前に変換しておくとよさそう。 pic.twitter.com/kI7srhja1I
シナリオC
Monotypeの新サブスクリプションプランを契約する。Adobe FontsでカバーしていないFutura、Helveticaなどの定番フォントや「たづがね」「Shorai Sans」などのバリアブル版も入っています。
Individual Pro:$199/年
Individual Standard:$99/年
Teams:$2,500/年(5ユーザー)
https://www.monotypefonts.com/a/content/plans-individuals
なお、HelveticaもFuturaもDINも現在、バリアブル化されており、Monotypeの新サブスクリプションプランに入っています。
Helvetica Now(2 fonts):76,175円
Futura® Now Variable(5 fonts):106,702円
FF DIN Paneuropean Variable(2 fonts):138,754円
Shorai™ Sans Variable:138,754円
Tazugane Gothic Variable:138,754円
…と改めて計算すると、Monotypeのサブスクリプション、むっちゃお得です(自分、ほぼすべて購入しているんですけど…)。
ネイティブデータ入稿の場合、添付できないのは…?というツッコミをいただきました。うーん、その視点、抜けていました。
note記事内シナリオCの「Monotypeの新サブスクリプションプランを契約」ですが、InDesignの生データ入稿が必要な場合はサブスクフォントだと入稿用にパッケージしてもフォントデータは収集されませんよね。入稿先印刷所の欧文フォントの対応確認が必要になりますかね…
— ひらめ (@HIRAME3000) January 27, 2023
シナリオD
フォント名にこだわらず、近いフォントに置換する。
まとめ
実質あと3ヶ月です。手すきのタイミングで進めていきましょう!

紙の仕事はシビアなので深刻ですが、それ以外であれば大丈夫そう。
— DTP Transit (@DTP_Transit) August 24, 2022
具体的に、どうシビアなのか
↓↓↓
・“同じような”フォントでは困る → 「字形が異なる」と詰められる
・フォントを変換したら文字送りや改行位置が変わる → 前の版と同じようにしてと難題を突きつけられる
再版多めの現場は大変ですぞ…(置き換え費用は出ないでしょうし😇
— Tomonori Onaka|SoliGra (@Tomy_O) August 25, 2022
Illustrator CC2021でも表示しておくれよ。
風前の灯火… Type 1フォントが使えなくなります!|DTP Transit 別館 @DTP_Transit #note https://t.co/kIKx3gpohH
そこなんですよね… せめて費用が出るとよいのですが、なかなか理解されにくい。
DTPのType1問題って顧客の理解も必要なんだけど、そのときにこの記事がとても役に立った。ニュース記事があることの説得力は想像以上に大きい。https://t.co/88ZIueXh0b
— ものかの (@monokano) August 25, 2022
「Y2K年問題」的な…は説明しやすいかも。
オマケ

https://www.meisho-do.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/mcr_vol60.pdf
余談
DTP Transitには「常に"乗り継ぎ"を強いられるDTPユーザーのために」というキャッチがついていますが、自転車操業的に、どんどん短いサイクルでバージョンアップを繰り返す環境を好ましいものとは思っていません(いわば皮肉です)。
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