たまの旅日記 フェルメールを巡る旅編その3 フェルメールの猫的人生
オランダを代表する画家、ヨハネス・フェルメール。オランダ西部の町、デルフトに生まれ、生涯を過ごしました。彼の人生の行動半径は、町の中心であるマルクト広場を中心に半径500メートル以内に限られています。そう、まるで雌猫のようです。もう一つの猫との共通点は、子沢山だったということです。フェルメール自身11人兄弟の2番目の子供として生まれました。結婚後は妻との間に15人の子供をなし(その内4人は幼くして死亡)、フェルメールの家はいつも喧騒に溢れていただろうと想像すると、フェルメール作品の特徴である、あの静謐さはどこから生まれたのだろうと、思います。
フェルメールはプロテスタントの家庭に生まれ、21歳の時にカソリックの妻と結婚するために自身もカソリックに改宗。裕福な義母のおかげで、次々と有望なパトロンから絵画の注文を受けるようになります。しかし、筆の遅いフェルメールは作品を量産するというよりは、じっくりこだわりながら仕上げるタイプ。今回のフェルメール展でも最先端の技術で絵の解析が行われ、多くの作品で、描いたり塗りつぶしたりした痕跡があることを考えると、時間をかけて作品を仕上げっていったということが科学的にも証明されています。
11人の子供たちと妻、そして、義母を含む大家族を養うのは大変だったのでしょう。43歳という若さで病気のため亡くなり(おそらく心臓発作だったと言われています)、死後は大きな借財が残りました。パン屋へのツケがわりに、フェルメールの作品が数点、パン屋の屋根裏にあったと記録に残っています。義母からのプレッシャーの中、大家族を養い、完成度の高い絵画を描きながらも量産はできないので全然儲からない...。そして心労で若くして亡くなってしまうという、そんなフェルメールの人生がデルフトの町を歩いていると見えてきます。
たまのプロフィール
船橋にあるトラベルサロンの飼い猫で、親切な社長に拾ってもらいました。前職はヨーロッパのとある国の観光プロモーションの仕事を30年以上続けていた旅好き猫。ブログで旅日記を掲載中。