23/0819:約6年ぐらいユンギペンしてるユンギ沼の住人が見た『SUGA|Agust D TOUR ‘D-DAY’FINAL』のはなし。
(前記事:メンバー編)
何から話そうか。
そういう小説のような出だしが似合うぐらいには彼の人生の軌跡はドラマティックだ。しかしこれらは運命ではなく、彼が彼である為に彼自身が精いっぱい創作・表現・努力して生み重ねてきたものであり、その道筋を振り返りながら、今ここに一応の集約と終結を見せた。
オタクとしては、そんな気持ちである。
本来ならJAPAN公演に来た記事の時に書こうと思っていたものもまとめてここに書こうと思う。例のジミンペンの友人と来ていたライビュで一人泣いた事も、ここに。
先に言っておきますが
長くなります!!!!!!!!!!!!
■「ミンユンギ」と「Agust D」
今回のユンギのライブをより良く楽しむには、予め彼の過去を知る必要があった。そうでないと恐らく「??どういうこと??」というVCRから始まるからだ。
VCR『フィルムを再生するような音の後、遠雷の音と降り続く雨。土砂降りの中バイクと共に倒れているのはユンギ。走馬灯のように巻き戻っていくこれまでの意識、記憶、過去の映像の中、こちらを見つめてくる「彼」。あの日、「Agust D」が生まれた』
ユンギについての大筋はここに載っていますが、「Agust D」はユンギがBTSとしてデビューし世間的認知度が高まりファンダムが組まれるようになってくるより以前の部分が、わりと重要なので軽く触れていきます。
■ユンギは大邱で生まれたミン家の次男。
超割愛して書きますが、ミンユンギは小学生でラップを知り音楽に憧れて中学でMIDIに触れながら作曲開始、高校時代に大邱の音楽スタジオでバイトをしながら機材や作曲のノウハウを学び、既に自作の曲を作りながら「Gloss」名義で作曲家、PD兼ラッパーとして地元の大邱で活動。
18歳の頃に反対する親や周囲の者を押し切り(唯一兄だけは応援してくれていたという)音楽がしたいという夢の為にソウルに上京。2010年に現事務所のオーディションに合格して入所する。が、依然親は反対している為自身で学費を賄うべく事務所に内緒で宅配のアルバイトを行っていた。拘束時間の長い練習生としての活動とバイトと学業という寝食を惜しむ日々が続く。
2012年、バイト中にバイク事故に合う。事務所に内緒でバイトをしていた為バレるとクビにされると思いひた隠しにした(当時は階段から落ちた事にしていた。のちに事務所からは「言ってくれたらよかったのに」と言われ学費を払ってくれたそうだが、当時の絶望感と焦燥感は察するに余りある。)その頃から2020年の再手術に踏み切るまで肩に違和感や痛みが何度も生じていた。恐らく十分に治療せず我慢を重ね、時間の経過と共にどうにか治したせいもあるだろう。当時はとにかくお金が無く病院へ行く事すらままならなかったと思う。
元々裏方のプロデューサー志望であったにもかかわらず、パンシヒョクPDに説得され防弾少年団の一員としてデビューする方向になる。やった事の無いダンスも練習する事になり尚更多忙を極める(しかもご存知の通りバンタンのダンスパフォーマンスはレベルが高い・・・・・)
2013年、苦労してようやくデビューを果たすが、今度は“アイドルラッパー”と激しく中傷される。純然たる真摯な気持ちで音楽と向き合い続けてきたし、本来は不服であろうアイドルとして有名になろうと一生懸命活動しても、大手事務所が優遇される時代だった当時、小さな無名事務所立ち上げと共に生まれた小さなグループは世間的に全く見向きもされず、努力に対しての成績は振るわない。
(めちゃくちゃ余談ですが2016年の時点でこんな事も言っているミンユンギ)
推す以外ない。
閑話休題
そうした怒り、報われない憤り、絶望感、そういう負の感情が「Agust D」というもう一人のミンユンギを生み出したように思う。
「生」による強烈なまでのエナジーの吐露。
Agust D最初のミックステープ「Agust D」にはそれらが盛り込まれている。「僕が作る曲は、よく怒っていますよね」と今回のJAPAN公演で彼は言った。
ユンギはミクテを大衆性を考えなくていい自分がやりたい音楽としている為、Agust Dとはそういう赤裸々で隠さない本心を楽曲に昇華している物と思われる。赤裸々さでいうとアルバム『Agust D』の最後に収録されている『마지막』が最たるものだろう。誰にも言わなくてもいいはずの自身が発症した鬱や対人恐怖症で極限状態にあった過去や、PD・ラッパー・アイドルという自身の身の不安定さや、思いと乖離していく現実、それでも全てを振り切って自分を信じてくれる人に報いたいと足掻く姿。
心に灼熱を持ちながら、それでいて彼は”大切なもの”を一生懸命守ろうとする優しさも持ち合わせている。慈善活動に早い時期から関心があったり、これまでの自分の人生を踏まえた上で同じような轍を踏みそうな誰かの背に優しく触れ「大丈夫だ」とて囁いてくれるような曲も残している。
ミクテはミンユンギの、心。
それからのBTSの飛躍は語る必要もないので割愛。
努力が報われ始めみんなで幸せになるかと思いきや、とびきり高く孤独な場所に押し流されていく。またそれに苦悩する日々が来るのよね…
■「D-DAY」Come.
長い前書きになりましたが、周囲のアレコレに病みながら身体も壊しつつ(デビューしてからも虫垂炎で入院したりして)苦労してきた男、ミンユンギ。そこから生まれた本心達がミクテ「Agust D」名義の作品達という訳です。
では、ライブの話に戻ります!!!!!!
テーマは『解放』
<SUGA | Agust D TOUR 'D-DAY' Set List>
・解禁・打ち鳴らせ鐘を、王の登場である
1. 해금(Haegeum) 2. 대취타(大吹打)
・これが名刺であり、原点
3. Agust D 4. give it to me
・想いを抱きながら優しく歌う別れ
5. Seesaw (Acoustic Ver.)
・過ぎた日や愛を、ああ…ぼんやりと思い浮かべる瞬間
6. SDL 7. People 8. People Pt.2
中盤。
・徐々に溢れる感情、孤独・世間への憎悪・攻撃的なまでの怒り・Dis
9. Moonlight 10. Burn It
11. Interlude : Shadow
12. Cypher Pt.3: Killer 13. Cypher Pt.4
14. UGH! 15. 땡(DDAENG) 16. HUH?!
・目を開いて見る世界。綺麗なだけではない世界に込める祈り・願い
17. Life Goes On 18. Snooze
(19. Polar Night)
・心が震える、記憶
(19. Dear my friend) 20. AMYGDALA
アンコール。
・その日は、来る
21. D-DAY
・ミンユンギであるということ
22. Never Mind 23. 마지막(The Last)
ざざっとこんな区分けにしましたが、
以降エモについて語りたいところだけ語るユンギのオタクです。
2016~2023になったね、ユンギや。
こんなに長くその姿を見られて、オタクは幸せだよ。
■このライブで『Moonlight』が好きになる。
あまり気にしてなかったけど、演出と曲のノリがとてもライブ映えしてめちゃくちゃ良い!!!何この曲!!!と思った。化け曲。
気持ちよさそうに超絶叫してますがSibalはちょっとあかんスラングですからね!でもDのライブだし!多用されがち!でもOKOK!!
お気づきの通り、マルチのあらゆる角度からミンユンギを見つめるのがヘキなので毎回絶対にマルチアングルです。定点カメラの3番で見るイケすぎているスクリーン映像もとても好き。
■12~16のラップゾーン、最高最高最高の最高うううううううううう
BTSとして出してる曲の自分のターンの所だけしか歌わないんですが、ミンユンギのラップで香港へ送られまくっている者なのでこんなオール詰め合わせみたいなものを連続でかまされてぶち上がらないわけがないんですよ。
かっこ良すぎて死ぬ。いっそ殺してくれ、、、、でもまだ見届けていたい、、、、、ミンユンギ、、すきだ、、、、、
■紫の光の海で気持ちよさそうに泳ぐ
「Life Goes Onは自分のパターンの方が好き」といつか言っていた。
これまでのライブでLGOを披露してきたユンギの姿が映し出されるモニター。たくさんのファンの前で披露してきてくれたんだなと思うと同時にオーラスという現実が一気に押し寄せてきて、ユンギのこの姿も見納めかと、急に切なくなった。
私は「D-DAY」のアルバムの中でこの曲が1~2を争う好き加減かもしれない。とてもミンユンギismを感じる。
■――愛していた 、今でも忘れられない、恋しい
個人的にユンギは「人付き合いの範囲は狭くとても深く」の人で、でも心を許した人の事はずっと大好きなような、用心深いけど愛情深いねこだと思っているのでFINAL公演で急にセトリに組み込まれてきた『Dear my friend』が流れてきた瞬間、
「!!!!!!?????オオオオ、、、え、ッ、、大丈夫!!???この曲を声に出して歌って、、、ユンギ泣かない!????」
と心配した。なんか、なんていうんだろうな……
Agust Dのどの曲もミンユンギの代弁歌なんだけど、ここまで曲にするのか、と思うような「言わなくても良いようなこと」を曲に昇華して教えてくれるというか、私の中ではこの曲もそういうカテゴリ曲(最たるものは『마지막』)の中に分類されていたので、いくらライブテーマが『解放』だからって、大丈夫なのか、これは…、、、と思っていた。
ユンギのオタクは、ユンギがデビュー前に懇意にしていた人物の存在を知っている。いや、ユンギのオタクではなくても、『First Love』はご存じだろう。
あんなにもユンギを励まし、慰め、側に居たのに、薬物に手を染めてしまい、友人ではいられなくなってしまった人。だからユンギは他の曲でも自分たちにヘイトを向けてくる奴らの他に、薬中の人間にもとても厳しい。
今だからこそ作れる曲というのもあると思う。トラウマとあえて向き合い噛みしめていく事で自己を安らぎに向けて開放していく方法という物もあるが、気の遠くなるような忍耐力がいるだろう。あえてそれを題材にし吐きだす事で認めていく作業。それをある程度の時間を経たことで、この曲が生まれたのかな、とも。
曲中では過去の二人を思い出し、お前が憎いと歌う。きっとユンギ自身何度もしたであろう自問自答、救ってくれたのに救えなかった自責の念、どうする事も出来なかった過去の自分への歯がゆさ。記憶を全部噛みしめて、現在から振り返り、残るたった一つの想い
――本当は今でもお前が恋しい、と叫ぶ。
後悔と未練と、今なお残る恋しさ。
歌にもなり、ユンギの心に留まり続け、今なおユンギに想い好かれているこの人羨ましすぎんか????と正直思うけれど、こういう経験も踏まえての、用心深さと元々持ち合わせている愛情深さが今のミンユンギを作っているんだな…。最愛の家族”7”がいつまでもユンギと共にある事を切に願う………推しよ、どうか痛まないで…ㅠㅠ
初日、目を潤ませて途中で歌うのをやめたが、何事もないように振る舞って歌いきった。
2日目、何度も途中で声を詰まらせる。時折宙を見上げて涙を堪えるように、サビは全力で声を出して。
3日目は前曲『Snooze』の時から目元を涙で濡らして唇を食いしばり、曲間で「上手くできるか、分かりません…」と少し照れながら笑んだ。
曲が始まると歌いだしからじっと動かなくなり、それから目を閉じたり泳がせたりして。きっと目を開いていても、閉じていても、この曲と共に浮かんでくるのはその人の事なのだろう。何度も堪えた分の熱い息を吐く。
それでも想いを届けようと頬に光るものを伝わせながらマイクを握り、想いを、恋しさを、音に乗せる―――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
書いてて悲しくなってきた………
歌が終わると同時にその人との関係や思いが終わるわけでもないのに。きっとこれでまた、ひとつの区切りになったんだろうなと思う。
これはディレイ3日間をきっちり見た上での感想だが、あまりにも荒療治すぎんか…
同時に確かな事は、今でもユンギはその人の事を大切に思っているということ。
泣き顔の写真はさすがに載せるのかわいそうだからやめておく。彼の涙は、ライブを見た人たちの心の中に。。。
■満身創痍の身体と、血の滴る魂
『마지막』
2016年8月にリリースされた『Agust D』の最後に収録されている。
私が聞いたのはリリースよりもう少し後。しかしこれを聞いてユンギペン、ひいてはユンギ沼に招かれたと言っても過言ではない。
ユンギ自身は「一番嫌いな曲です」とかつて言っていた。それはそうだろうと思うし、そう思っている事実を知って、良かったと思った。
一番嫌いな曲なのにライブで披露してくれるなんて勿論めちゃくちゃ嬉しいけれど、あんなに綺麗なラストへの足場を作っておいてまさかこの曲を締めに持ってくるなんて誰が思おうか。さっきから誰が思おうか的な事をずっと言っているが、ユンギはそういうのが、とても、、、上手、、、ファン心理を分かっていると思う。全部手のひらの上……。そしておそらくAgust Dを好きな人の9割以上が『마지막』が好きであると勝手ながら思っている。この曲が嫌いな人がAgust Dのファンであるはずがない、とも。
どの歌詞を引用してくればいいのか、
引用なんて出来ない程、 全ての歌詞が ”彼の吐露” だ。
一行たりとも余白の無い血の文字がそこには綴られている。
どこまでも広がっているように見える終わりの分からない絶望。
やるしかないという強迫。やりたかった音楽は確かにやれている。だが想像していたものとはあまりにもかけ離れている。現実との乖離。殺さなければならない自我。悪い者、悪い誘い、ヘイト、Dis、過労、焦燥、落胆、有り余る抑圧。先にある微かな期待という光。しかしその光に手が届いた時にさらに強大なものが飲みこもうとしてくる。
だけどその中で叫ぶ
내 fan들아 떳떳이 고개들길
누가 나만큼 해
俺のファン達 堂々と顔を上げてくれ
誰が俺くらいやれんだよ
あまりにも・・・・・・、
あまりにも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、
ㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠㅠ
JAPAN公演のライビュ、前から2列目だったのだが、感謝とどこか祈るような気持ちで最初は見ていた。あらゆる角度からユンギを映した演出。まるで監視カメラだ。でもそこから逃げられないのではなく、逃げない。その中心にしっかりと立ち、まっすぐに言葉を吐いていく。
表示されている数字はどんどん進む。歌詞と共に時間が経過していく。
ユンギの声はとても力強かった。
曲として昇華はしても当時の事は一生忘れないだろう。
後半、曲調が変わる瞬間、無機質でどこか白々しく照らすだけの白色光が、その激しさに同調するように何度も点滅する。
ライビュ見ながら泣いた。歌ってくれてありがとう。元々思い入れのある曲なので、必要以上にエモくなっているという否定はしませんが、
魂が流した血で書かれた曲を本人が直接歌う日が来るなんて
そしてそれを見る事が出来る日がくるなんて
あの時は本当に思っていなかった。
弱さを隠さず、共に歩もうと近づいてきてくれる。
時には手をさしのべて、大丈夫だよ、と側にいてくれる。
怒れる物に中指を立て、音と遊びながら、
過去を晒し、現在を歌い、未来に沿って歩いていく。
それが私の推しの姿だ
■おわりに
大体何を書きたかったのか長くなるとすぐ忘れる(^o^)
SUGAでもありミンユンギでもある、Agust Dのライブ。
もう本当に、一生で最初で最後かもしれないと思って挑んだ。Agust D三部作自体は一応締めだが、今後もAgust Dは続けていくやるようなことを言ってくれてて、やった~の気持ち。なんとなくそれは「3人で1つ」だとも思っている。PDの顔を持ち、勿論PDした楽曲たちも好きだけど、移り変わっていく心や感情を記録にしてこの世にほんの少しだけ教えてくれる、
ミクテの存在は本当に素晴らしい。彼が音楽家で良かった。
ミンユンギと SUGAと Agust Dのファンだ。
見てくれ、こんなにも堂々と顔を上げている。
あなたのおかげで。
4-26 アメリカから8-06の母国FINAL追加公演まで
本当~~~~~~~~にお疲れ様でした!!!!!
2025年はきっと、すぐだよ
おまけ
今回の記事は6月4日の私のこの感想が主軸だった気がする
月日が経ちすぎぃ
おわり:)