インボイス制度が始まって感じたこと(経理の独り言)
こんにちは。
DSSで助手を務めている松山と申します。よろしくお願いいたします。
適格請求書保存方式(インボイス制度)の開始から約2カ月が経ちました。
今回は経理の現場の立場から、制度開始後に感じたことを綴ってみようと思います。
因みに私が所属する事業会社は小規模企業でインボイス発行事業者です。また弊社の取引先・仕入先も、ほとんどがインボイス発行事業者なので仕入税額控除に関わる影響はありません。
実際にインボイス対応の経理処理を行い、感じたことを列挙してみました。
1.業務量は増加した。
2.会計処理が複雑になった。
3.社内外からの問い合わせが増えた
4.自社の収益には寄与しない
5.個人評価も特に変わらない
6.業務上の混乱はない(決算業務は未知数)
経営に直接影響するようなダメージはないものの、計測できない負荷やコストは増えたよね、という印象です。
業務量に関しては準備期間も含めて増えたといえます。従来の経理業務にインボイス処理が加わるので、単純に作業工数は増えることになりました。
準備段階では、会計及び請求ソフトの導入や発行書類の様式変更、スタッフへの教育、取引先への案内等々、当日以降の混乱がないように様々なケースを想定しました。大変だったのは正解が解らないまま制度設計をしなければならないということでした。新制度に関することを税務署に聞いても明確な回答をもらえないことが多く、想像力を働かせて業務ルールを調整することが多かったと思います。
会計処理に関しては、インボイス制度で求められる請求書上等での消費税表記と、仕訳入力における消費税計算の考え方が違うので、税額を再計算する必要がある場合があり「面倒くさく」なりました。取引先や社内の各セクションからの問い合わせ窓口とならなくてはならないのも負担増となりました。
また、この制度対応が自社の売上に貢献することはなく、自分の人事評価や処遇に寄与することもないというのも少し悲しいです。インボイス制度は自社のコストセンターに関わることなので仕方ないのかもしれませんが…。経営者様、機会があれば御社の経理担当者に一言、ねぎらいの言葉を掛けていただければ幸いです。縁の下の力持ちとして頑張っていますので。
一方で、インボイス制度の運用開始で良かったことを考えてみます。
まずは日常業務で重大なトラブルは発生していないという点です。まだ、どこの企業も様子見なところはあると思いますが、今のところ大きな混乱はありません。これは良かった点というよりホッとしたことかもしれませんが。
制度開始と共に、業務ルールをある程度改定できたこともメリットとして挙げたいと思います。例えば請求書の発行・送付ルールの変更などは取引先や社内に対しても理解を求めるのが手間だったりしますが、法改正に合わせて進めれば楽でした。インボイス制度は業務フローの改善にかなり役立ったと思います(思うようにします)。
以上の2点ですが、ちょっと苦しいかな。
今後、色々な評価が下されるインボイス制度ですが、経理の立場としては開始した以上、一刻も早く日常業務になじませるのが目標です。
弊社はまもなく今年度の決算期を迎えます。加えて年末調整と株主への報告、来期の計画作成、やること盛りだくさんの中で、さらに想定外の業務が発生しないことを祈りながら年末進行に突入します。
頼みますよ、インボイス制度。トラブル発生しませんように。お頼み申し上げます。
インボイス対応といえば、先日申請したIT導入補助金は無事採択されました。
補助率は約70%、少額ですが25万円ほどになります。
10月に実績報告したのですが提出資料の不備とのこと。指示を受けて再提出し、現在審査中です。長い道のりになりそうです。