【しろくろ】高校サッカーの功罪
日本特有のサッカー教育「高校サッカー」。
本来教育の一環として行われる部活動という場で、サッカーのプロを生み出すという。
はっきり言って相当おかしな環境で日本サッカーは後進教育をしてきた。
もちろん、名実ともにプロ養成所であるクラブユースの方がプロ輩出の実績は多い。
多くの未来ある若者たちはよっぽどの展望と理由がない限りはクラブユースを目指し、そこに漏れた人たちが高校サッカーの門戸を叩く。
そして高校サッカーの立ち位置が上がるほどに、教育の一環としては考えられない高等なサッカー指導環境が整えられる高校が多くなった。
2011年に設立された高体連とクラブユースが同大会で争う「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ」では、高体連の星である青森山田高校サッカー部がサンフレッチェ広島ユースの3回に次ぐ2回の優勝を勝ち取っている。
では、高校サッカーの良いところはどこなのか。サッカー教育に重点を置き考察する。
結果から言うと、論理的な長所はほとんどない。
優秀な指導者のもとで指導を受けられるという点はあるが、であればその指導者をクラブユースに迎え入れてサッカー教育に集中させた方が有意義だ。
大前提として時間もお金も環境も、高校サッカーと比べ物にならないくらいクラブユースは整っている。
精神面などがあげられることもあるが、クラブユースの選手はサッカーにフォーカスした精鋭の集まりだ。その上でチームとして結果を出さなければならない。そのプレッシャーが高校サッカーに負けているという論拠はどこにもない。
では、高校サッカーの長所はどこにあるのか。
考えられるのは体格に恵まれない選手の育成だ。
クラブユースでは、少なからずフィジカル面で選考を行うことがある。非常に聞こえるかもしれないが、サッカーのプレーにフィジカルを用いない選手は1人もいない。あるに越したことはないし、高校でフィジカルが出来上がってからプレースタイルが好転する選手も多い。つまりは当然の選考基準なのだ。
そしてそういったフィジカルが16歳から成長してプレースタイルが好転した選手のプロへの道を切り開いてくれるのが、高校サッカーなのだ。
今となっては伝統も含めて日本サッカーの特色のひとつになっているが、やはり高校サッカーの長所は少ない。難しい問題にはなるが、日本サッカーの未来を考えるなら、ここにメスを入れるのもひとつの手かもしれない。