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受けとセンス

東京女子プロレス(TJP)の6日の大会「ALL RISE '24」(後楽園ホール)を見た。基本的にTJPは追ってなくて、ほとんど知らないのだけれど、今大会には、里村明衣子がメインタッグ戦に出場するとのことで、基本その試合だけを見た。

先月末のセンダイガールズプロレスリング(仙女)の福岡大会で、里村の復帰戦を見て、彼女のプロレスの凄さを改めて目にして、今日の試合にも関心を持ったわけだけれど、里村ひとり少しレベルが違うなぁと改めて感心する試合だった。そしてここにでているTJPの選手、渡辺、山下、中島がトップどころとすれば、キャラクターなどはさておき、TJPが置かれた状況は、他の女子団体と比してなかなか厳しいような気もする。(もちろん瑞希や伊藤、辰巳はまた毛色が違うだろうけれど。)ノア推しとしてはサイバーグループは総じてもうひと踏ん張りがいるなとは思う。

先日の「拳王ちゃんねる」で拳王が山下を評して「若いときの里村さんにめっちゃにてる」と「里村2世」的な言い方をしていたのだけれど、もう11年目。里村が29年目で大きく違うが、里村同じ年次の頃、仙女を旗揚げする頃だ。

Wiki情報だと、長与千種の後継者指名を受け、その頃にはデビル雅美、ダイナマイト関西、尾崎魔弓、北斗晶、アジャコングなども撃破している。

一緒に見ていた相方が試合後半に里村が立て続けに攻撃を仕掛けているところを見て、「山下は受けられない。受けが弱い」と呟いていたのだけど、うーん、まさにそう。最後、スパッとスコーピオライジングでキレイに取られることすらできず(里村が膝に乗って踵を後頭部ら辺りに落とす直前に後ろに倒れるという酷さ。逃げたわけではないよう)、試合を成り立たせるために担ぎ上げて2度目のデスバレーでピン。

キレイに受けきって悔しさ混じりに、是非再戦を!と後頭部を押さえながら、詰め寄って「次!」となればわかりやすいのだけど、リングの上で里村が「東京女子、スタイルが違うと言われてるけど、リングに上がったら全員敵だよ。私は来年4月に引退します。あと6カ月あるんだよ。誰かもう1回、私の目の前に立つ奴、来いよ!」といった言葉には結局何も発せず、試合後に「シングルをやらせてほしい」とコメントする始末。んー、役者が違うのは仕方がないけれど、プロレスの試合も含め、「受け」が粗末すぎる…。

ちなみに上のYahoo!の記事の写真が、渡辺がジャイアントスイング(2回目のトライ)を回しているところなんだけれど、これも里村がとても上手に受けていた印象。

なお山下はXでもコメントしている。

「受け」というのは単に技を食らうだけではなく、それを含めて試合を作り、勝つ選手はそれらを受けきってなお勝つ。山下は勝ってもきちんと「受け」られていないという印象が強い。たぶん、なかなか変わらない、変わりにくい部分だと思うけれど、今後より後輩がチャレンジする対象であるはずの彼女のプロレスが素敵になればいいのになぁと思う。

なお、里村は半年後に本当に引退するのか?というぐらい体のキレが良くて、受けはもちろん、全体的に上手く強い。だいたい体が強い。説得力がある。この間の仙女の大会を見ていて、仙女の選手たちはきちんと里村の遺伝子を多かれ少なかれ引き継いでいて、彼女が本格的に指導者として動き出したとき、本当にスペシャル・ワンが生まれるのだろうなぁという気がする。橋本との一騎打ちはその意味でも楽しみで仕方がない(おそらく引退試合だろう)けれど、山下らTJP勢は本当にもう一回するのであれば、鎖国だの何だの言わず、他の団体とも絡みながら、修練する必要があるような気がするな。

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