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田中角栄を演じる西田敏行を見たかった。

西田敏行さんが亡くなった。虚血性心疾患だという。この病気は日本の三大死因のひとつ。数日前まで人の前に出る仕事があり、亡くなっていることが発見された当日も仕事の予定が入っていたとのことで、本人も亡くなっていることが未だに信じられない状況なのかもしれない。

…と西田さんについて記事を書いているが、基本的に映画やドラマを見る方とはとても言えない自分は、西田さんと言えばこの役柄!というようなものはない。

もちろん、『西遊記』だとか『池中玄太80キロ』だとか『釣りバカ日誌』だとか三谷幸喜の映画群だとかに出演しているのは知っているが、映像そのものをこれらはほとんど見ていない。西田さんがこれらに出ていることが、そこかしこで話題に挙げられていて、そうした「話」として知っているという方が正しい。

ただ、いろいろな映像作品に重要な役割で出演しているのを目にしていて、役者としての素晴らしさというのは十分感じる。もちろん、彼の本当の役者としての凄さがわかっているわけではないだろうが、それでも素人ながらに彼の演技によってその作品がより良くなっているのだなぁと思うものはたくさんあったような気がする。

そんなほとんど語るものを持っていないにも関わらず、記事を書こうと思ったのは、たまたま見た今日のお昼の『徹子の部屋』の西田さんの回の再放送の番組最後に彼が「田中角栄を演じたい」と言っていたのを聞いて、なんとなく「あー、わかるな」と根拠もなく思ったから。

もちろん「わかる」というのは、「みんな演じたいよね」という意味でも、「僕も俳優だったらそう思うだろう」ということではもちろんなくて、純粋に「西田さんが演じる田中角栄」は見ていてきっと腑に落ちるなとおもったから。

これを書く前にググっているとこんな記事があった。

この中に次のようなスポニチでのインタビュー記事が引かれている。

「日本人って、あの手のおやじに一種の憧憬の気持ちを持ってますよね。清廉なおやじもいいけど、清濁併せのむようなおやじに引かれる。角栄さんを功罪合わせて演じてみたい」

Yahoo!ニュース

「豊臣秀吉や角栄さんのような人たらしの才は、ちょっとは俺の中にもあるのかな、なんて思っちゃったりもするんですよ」

Yahoo!ニュース

そして『徹子の部屋』では、ドラマ『ドクターX』の蛭間重勝役を演じた際、少し田中角栄味を出していたのだといたずらっ子のように笑いながら話していた。

先のYahoo!の記事では西田さんの著書『役者人生、泣き笑い』からも引用がある。

ドキュメンタリー風でも、出世物語みたいに持ち上げる作品でもなく、大人の作品としてきっちりと角栄さんの存在感を描いたものに出られたらって、病室で何度も思いました。中国のトップレベルの俳優に周恩来役をやってもらって、腹心の二階堂進さんや金丸信さん、梶山静六さんなど個性のある議員には、誰それがって……想像というか妄想をふくらませましたね

Yahoo!ニュース(西田敏行『役者人生、泣き笑い』)

日中国交回復を基点として、総理退陣後のロッキード事件までを描いた作品にしたいと考えていたようで、《あの事件の前後の角栄さんの内面はどんなであったか。「今太閤」といわれたのに、面倒をみて育てた身内の議員からも次々裏切られていくわけですよね。あのころの精神的葛藤、焦燥感ってものすごいものだったろうし、まさに人間ドラマですよね。きちんと描けばすごいドラマになります》と、思いを綴っていた。

Yahoo!ニュース

今更ながら、見てみたかったなぁと思う構想。他の誰でもない、彼だからこその田中角栄は夢物語になってしまったけれど、西田さんの思いのようなことを他の俳優さんからもどこかで聞けるといいなぁと思う。

西田さん。安らかにお休みください。

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