歌と楽器の関係性① 「歌伴」
歌と楽器の関係性については、書きたいテーマが沢山あるのですが、
今回は伴奏者と歌の関係性、歌い手の心構えについて。
神奈川に移り住んで以降、ギター弾き語りのソロスタイルを取ることが増えました。
でもそれは言わば「しゃーなし(仕方なく)」です。
出来ることならば信頼できる仲間、ピアニスト、ギタリスト、ベーシスト、ドラマーに
自分の声を委ねたい、一緒にライブを楽しみたいといつも思っています。
ですが、諸々の制約や手軽さから今のスタイルを選んでいます。しゃーない。
そもそも自分はギタリストという意識はかなり薄いです。
過去、ギターでの歌伴を依頼されたこともあるのですが、
当時ギターの技量に自信が無かったのとそもそも「自分はヴォーカリストだし」
という意識から避けてきました。今から思えば勿体なかったなぁ。
で、最近はギターで歌伴をする機会も少しずつ増えてきました。
アカペラ(a cappella)というジャンルもありますが、
基本的に単音しか出ない人の声(ソロ)だけで中々ステージは成立しません。
だから必然的に歌い手は伴奏者を求めます。一人で弾き語る、という手段もありますが、
単純な話、どうしても「声(歌詞)」と「指(コード)」に意識がある程度は分散されてしまいます。
ヴォーカリストが本当に良いパフォーマンスを発揮するためには、
如何に歌に専念できる環境に持っていくか。
その為には伴奏者と良い関係を築くことから始まります。
自分が歌伴をする立場になって分かったこともあります。
以下は自戒と反省も込めて。過去の共演者さんゴメンなさい。
ヴォーカリストはヴォーカリストの思考で動いています。自分なりにステージを良くしようと
セットリストの順番をステージ前に急遽変更したり、曲自体を変更することは「あるある」なのですが、
余程のツーカーの仲でない限り、直前のセトリ変更はするべきではないでしょう。
直前の調性の変更は「自分の声域とキーぐらい把握しとけよー」って思われても仕方ありません。
私は幸運なことに自分の声域と、所謂スタンダードな調性(黒本キー)が概ね一致しているので、
直前の調性変更で迷惑をかけることはありませんが、
女性ジャズシンガーは原曲キーに対して移調ありきだと思うので、
特に駆け出しの頃、自分のキーを把握するまでは要注意です。
ギターやベースなどの所謂「竿もの」はまだ比較的、移調は容易いのですが、
鍵盤や管楽器の場合(その人の技量や調性によっては)演奏者の負担です。譜面の変更はもっと大変です。
伴奏者は事故の無いように、歌い手が心地よく歌えるように事前に譜面を追ったり、
ややこしい箇所を練習してくれているかも知れません。
サラッと移調出来ているように見えるかもですが、
ミスをするリスクも増えますし、演奏直前の諸々の変更は
避けるのが吉です。自戒と反省として。
大切なのは「相手を知ること」と存じます。
音楽活動に限ったことではありませんが。共演者(仕事仲間)への敬意と感謝、そして
楽器(仕事内容)への理解が大切だと思います。
例え楽器や音楽理論など詳しくなかったとしても、関心を持つことは大切だと思うのですね。
(続く)