黒人差別とアメリカ公民権運動 ―名もなき人々の戦いの記録ジェームス・M・バーダマン
1.海外赴任前に海外赴任セミナーで推薦図書とされていたのを見て購入。COVID-19を契機にした人種問題もあり読むことにした。自分が海外旅行する上で時に避けては通れないトピックであり、アメリカの歴史を深めたいと思い読むことにした。
2.著者の前知識はなかった。早稲田大学の教授。エピローグにあった。黒人差別に関連した曾祖父を持つ中、本書を執筆した気持ちが素晴らしい。本の概要は、特に今までスポットライトが当てられなかった人物たちにフォーカスし、黒人差別との闘いの歴史を論じている。
3.「リンチを行う者たちの目的は、ジム・クロウ法を破ったことのある特定の個人を罰することではなく、許容できる行動規範を超えればどうなるのかということを他のアフリカ系アメリカ人に伝えること」20世紀後半はこの差別に対抗することで最悪、命まで奪われるというリスクを負っていたのであれば、その当時の当事者の心情は想像を絶するものだろうと思う。
4.いかに自分のことと考えられるか。黒人差別にフォーカスすればそれは難しいだろう。白人には彼らの常識や正義があってその当時では普通のことが、本書の一文にあったように50年後には非常識になっていることがある。本書を読めば少なくとも前進していることが理解できる。しかし、差別が完全になくなることはないだろう。(20年前に黒人同士でも、奴隷として連れられた人と移民として移住した人で差別があると聞いたことがある。)だが、その差別が少しずつでも良いので前進することを望みたい。少なくとも2020年現在は後退しているように思えてならない。