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すぐ実践! 利益がぐんぐん伸びる 稼げるFTA大全羽生田慶介

1.赴任先の米国会社で関税影響が無視できなかっため、知識習得の必要性を感じ、読むことにした。
2.著者は、前職の会計士上司から、著者は実務的に使える関税のシステムを作成したすごい人だという話を直接聞いたので前から興味をもっていた。本の概要は、通商ルールを理解し、関税の削減等で潜在的な会社の利益を掘り起こすことを提言している。
3-1.「関税3%は法人税30%に相当」
モノの輸入価格(例1,000円)が税引前利益(例100円)の10倍という前提にすると、関税の3%(例1,000円×3%=30円)は法人税の30%(例100円×30%=30円)に相当するという論理
3-2.「関税は損益計算書を見ても分からない」
売上原価に溶け込んでいる関税費用は確かに今まで意識したことがなかった。仮に製造原価明細書を開示でもしていればもう少し意識が高くなるのだろうか。大事なのは起こる前の事前対応(予知能力)。法人税等は経理部や財務部の守備範囲だが、売上原価は生産管理部門の守備範囲というのはその通り。そして、生産管理部門に関税を管理業務とするのも酷な話。現状は両部門でボールのお見合いをしているのが実態か。本書では経営層の関与を進めているが、関税にフォーカスするもしくは関心を持つ経営層がいるかというと疑問。
4.関税を売り手に吸収してもらえるのであれば、あまりフォーカスしなくてもいいのかもしれないけど、そんな優しい顧客は少数で、自助努力で関税コスト増を吸収する企業がほとんどのはず。例えば、米国通商拡大法232条(S232)の鉄鋼関税率は25%。これを自社で全て吸収って業種によって色々あると思うけど難しいのでは。この本1冊読んですぐ実践は難しいと感じたが、活発な海外進出に対して海外での経営手法が未整備という課題を抱える日系企業は多いと感じているだけに、通商問題によるリスク、潜在的な関税削減余地ならびに新たなビジネスチャンスがあるということが認識できただけでも有用な情報だった。

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