デザインフェスティバル「Featured Projects 2023」で思い巡らせたデザインのこと
こんにちは!DSCL Inc.の大竹です。DSCLでは、要件定義フェーズでのファシリテーション支援、自社の組織開発や広報などを行っております。
少し前になりますが、4月に開催されたデザインフェスティバル「Featured Projects 2023」がとても良かったので、行ってみた感想と、そこで思い巡らせたデザインのことを書いてみようと思います。
Featured Projects 2023とは
デザイナー・クリエイターのためのデザインフェスティバル
「Featured Projects 2023(フィーチャード・プロジェクツ)」は「よいものづくりは、明日を拓く」をコンセプトに開催された、デザイナー・クリエイターのためのデザインフェスティバルです。2023年4月8日(土)〜9日(日)の2日間で開催されていました。
イベント内容は、デザインに関するトークプログラム、クリエイターズマーケット、作品展示、ワークショップなど盛りだくさんで、とても盛り上がっていました!
公式サイト:https://www.featuredprojects.jp/
ものづくりへの探求心を体感できるイベントサイト
まず、このイベントについて大きく話題になっていたのが、イベントサイトの仕掛けです。このサイトは、ブラウザ上で落書きをしたりステッカーを貼れたりするんです。
公開当初DSCL社内でも話題になっていて、遊び心のあるアイデアにみんなで注目していました。まだまだ新しいことを生み出せるという探究心を体感できる表現に引き込まれました!
行ってみた!
「AIに作れないものってなんだろう」考えながら巡ったクリエイターズマーケット
会場に着いてまず目に入るのは、総勢47組のクリエイターが出店しているクリエイターズマーケットの盛り上がりです。
私が特に気になったのが、人生の出来事をワッペンにした「HAVE A GOOD DAY」。このワッペンは、作者の方の日常での些細な気づき、自身の性格や好きなもの、人生の記念すべき出来事などをもとに作られた「人生の出来事を綴ったワッペンダイアリー」だそうです。一つ一つに短い日記のようなエッセイのようなテキストがついています。
最初は「かわいいワッペンだな〜」と思って手に取ったのですが、テキストを読むと、子供の自分と大人の自分が違うこと、友達とのまったりとした時間、どきどきした瞬間などを想像して、「そういうのっていいよね〜」とか「そんなもんだよな〜」とか思ったりしながら見ていました。
ここ数ヶ月、AIの日常への普及が目まぐるしく進む中で、「AIに作れないものってなんだろう?」と頭の片隅で考えていたところでした。そんな中でこのワッペンを見て、作り手が自分自身の人生をフィルタにして出来事を解釈して、そこから作られる作品って人間の面白いところが詰まっててめちゃくちゃ魅力的だな〜〜と改めて感じました。
アウトプットグラフィックだけであればAIでも作れるのかもしれませんが、その背景にあるストーリーを作り出すことは容易にはできないのではないでしょうか。(見た人が勝手に想像することはできそうですが。)
作品そのものに加えて、どんな人がどんな経験からどんなことを見つけたのかを、今よりもっと注目するようになるのかな、など考えながら「休日は半日くらい寝ています」という、犬が描かれたワッペンを買いました。
「感性ってどこから来るんだろう」考えながら聞いてみたトークイベント
トークイベントもどれもとても気になるものばかり!私もいくつかのトークイベントに参加してみました。ひとつ目は「暮らしを更新するデザインとテクノロジー」。
トークの中で、プロダクトデザイナー・柴田文江さんがおっしゃっていた「私たちデザイナーは、心地よいとか使いやすいとかについて、数ミリの違いや細かいこだわりに気づくセンサーを持っている。」というような言葉が印象的でした。
最近「感性ってなに?どこから来るの?」と頭の片隅で考えていたので、それについての考えが深まるような言葉だなと感じました。
私が所属しているDSCLでは「DSCL METHOD CARD」という、誰もがデザインの力を使えるようになることを目指したメソッドカードを作っています。このカードは、プロジェクトの中にデザインプロセスを取り入れることで、デザイナーのような洞察力や構想力を発揮しやすくしようというものです。
このメソッドの目的は、チームの創造性を高めることにあるのですが、そもそも創造性ってどういう要素に分解できるのでしょうか。試しにChat GTPで質問してみると、「創造性には多くの要素がありますが、以下に代表的な要素を挙げてみます。」という答えの中に「感性」についてのテキストがありました。
他の要素は「アイデアの発散」「問題解決能力」など、ある程度能力を高めるやり方がありそうなものでしたが、感性だけは高め方があいまいな感じがしました。そんな中でこのトークで出てきた「数ミリの違いや細かいこだわりに気づくセンサー」はひとつのヒントになりそうです。
心地よさや使いやすさ、美しさに向いているデザイナーのセンサーは、酒造りの杜氏が気温や湿度の微細な違いに気づいたり、水族館の飼育員がペンギンの個体を見分けられることに近いのかもしれません。一人ひとりが持っているセンサーを、「美しいものや魅力的なもの」に向けてみると、デザイナーの感性と言われるようなものが理解しやすくなるのかも。
「課題解決ってなんだろう」考えながら聞いてみた哲学対話
哲学対話については本やpodcastで少し知っていたのですが「実際にはどのようなものなんだろう」「その場でしか引き出されないような言葉が聞けたらいいな」と思い参加してみました。会場では、聞いている人もテキスト投稿形式で対話に参加できるようになっていて、一緒に考えている感触のある場になっていたのが新鮮でした。
対話の中では、スピーカー・哲学ネーム「おのたん」さんの「私はものをつくりたいという目的のために、課題解決を手段にしている。そっちのほうが自分らしいなと思う。」という発言には、考えさせられるものがありました。
さらに対話は「課題解決って良いことなんだっけ?」というテーマに移り変わり、「課題だと思っていたものはそのままなのに、人に話を聞いてもらっただけで課題じゃなくなってることってあるよね」「解決って、課題が消えることじゃなくて解きほぐされることなのかも」などの話が続きました。
最後に、モデレーター・永井さんの「さて、時間になったので終わります。哲学対話は、まとめなどはなく突然終わるんです。」という声とともに対話は突然終わり、薄いもやもやを抱えたまま、我々参加者は会場を後にしました。
「デザインは課題解決だ」といわれていますが、この哲学対話を通して、仕事をする中でも「デザインとは課題解決の側面しかないのか」「解決とはなんなのか」という視点を、しばらく頭の片隅に置いておきたいと思いました。
よいものづくりってなんだろう?
マーケットやトークの他にも、作品展示、ワークショップ、「あなたにとって良いものづくりとは?」という問いに対してみんなで答えを貼っていける参加型の壁面展示など、さまざまな視点からものづくりについて考えることができるコンテンツがたくさんあり、イベント全体を通して「よいものづくりってなんだろう?」と考えるための材料に出会うことができました。
そして、会場の装飾や什器、スタッフ方々の服装など、細かいところまでこだわりが感じられ、制作・運営チームのものづくりへの熱い想いを直に体感することができました。会場には多くの方が来場していましたが、雰囲気がとても良く、スタッフの方々も丁寧に対応してくださり、安心して楽しい時間を過ごすことができました!
次回があればまた参加してみたいです。
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