検索ビッグデータでリサーチをより手軽に。 〜裏付けの発見で増す説得力を誰にでも〜
こんにちは。データマーケティング本部の棚原です。
本日「お知らせ」でもご紹介していますが、
検索データなどのYahoo! JAPANのビッグデータをブラウザー上で調査・分析できるツール「DS.INSIGHT」に、月額2万円で検索ビッグデータをお手軽に活用できる新しいプラン「エントリープラン」が登場しました。11月1日(金)より提供を開始しますが、事前申し込みは本日10月8日(火)より可能です。
また、「エントリープラン」の提供に伴い、検索ビッグデータを活用する従来の「People」は、検索キーワードから人々の興味関心を分析できる「Basic」と検索行動を時系列で分析できる「Journey」に生まれ変わりました。
それに伴い、今回は新しくなったDS.INSIGHTについて、初めて弊社のビッグデータに触れる方や分析にチャレンジする方向けに、いくつかの事例を添えてサービスの紹介をさせて頂きます。
・検索ビッグデータを用いた分析とは?
まず、検索ビッグデータの分析というフレーズだけを聞いても、ピンとこない方が多いと思いますので、少し弊社が持つビッグデータについてご説明をさせて頂きます。
現在LINEヤフーでは、LINEやYahoo! JAPANをはじめとする各種サービスを一般消費者向けに提供しております。その各種サービスをご利用いただくことで生まれたデータが多くあり、日本最大級のユーザー数がいることも特徴の一つです。
これらのデータは、例えば、マーケティングファネル上位においての活用幅が広く、データ収集の範囲と幅が膨大になるシーンで、信憑性・信頼性の高いデータとしてご利用いただきやすいものになっています。
弊社のビッグデータは多様なサービスから形成されていますが、その中でもデータ量が最も多い「検索ビッグデータ」は、生活者の顕在・潜在ニーズを両面から補足できる手段の一つとして、昨今では職種や業種を問わず様々な分析シーンでの活用が浸透してきました。
※活用事例はこちらをご参照ください
本記事では、検索ビッグデータの分析を得意とするDS.INSIGHTを、
以下のシチュエーションのもとで機能紹介させていただきます。
[シチュエーション]
・担当者:
生活用品メーカー勤務3年目、商品企画とプロモーションを担当。
・現在の業務:
歯磨き粉の市場投下を計画しており、ニーズ調査している。
・業務上の課題:
商品企画の経験が薄く、アイデアの上申が上手くいかないことが多い。
・リサーチの課題:
社内にある過去の調査データやアンケート、売上げに関する情報は入手できたが、
市場流通している既存の商品をどのような人が手に取っているか不明で仮説立てに苦戦している。
調査設計のノウハウもないため、安易に調査会社への依頼もできない状況。
・実現したいこと:
自身の仮説や上申に対して、裏付けに相当する情報を安価で入手したい。
以降で、エントリープランで実施できる分析を中心に解説させていただきますが、
ぜひ皆様の感じている課題感を部分的にでも当てはめて、ご覧いただければと思います。
・DS.INSIGHT Basicでできること
DS.INSIGHTにはいくつかプロダクトがありますが、Basicには以下の3つの機能があります。
(探索・仮説立てで活用できる機能)
1. 共起キーワード … 特定のキーワードと一緒に検索されるキーワードの可視化
2. ランキング … 特定のキーワードを含むキーワードの可視化
※ランキング>共起キーワードの形でヒットする結果は多くなります
(観測・測定で活用できる機能)
3. キーワード比較 … 最大10個までのキーワードを、トレンドと属性情報を並べて比較
それでは、仮説立案のための1歩目として、
歯の悩みの代表ともいえる「虫歯」をベースに、各機能から得られる結果を考察します。
1. 共起キーワード
・「虫歯」の直近1週間の共起キーワード ※2024/9/2~2024/9/8
共起キーワードでは、女性の検索割合が高いキーワードが多く、子供に関する興味と治療を思わせるような関心の広がりが伺えます。
一方で男性の場合は、「自力」「治す」・「歯医者」「料金」の検索割合が高く、虫歯に対するコストを避けたがっているような印象があり、この結果上は女性と比較した際に検索意図がわかりやすく表れていると思います。
例えば、このような形で仮説立てに役立つ情報が得られます。
2. ランキング
次に、ランキングの機能を使い、同じキーワードと期間を見るとこちらになります。
・「虫歯」を含む直近1週間のキーワード ※2024/9/2~2024/9/8、性別特徴度:男性
上位10件のみになりますが、4、8位は男性割合が他と比べて高く、共起キーワードで見えた特徴も考慮すると、既に虫歯があるのはわかっているが、治療には至っていない可能性を示していると言えるのではないでしょうか。
ここまでの流れで、キーワードに属性データが重なることで、得られる情報の厚みが増すことを感じて頂けたかと思います。
3. キーワード比較
次に、悩み別で属性の違いをキーワード比較で可視化してみます。
※抽出期間:2023/09/04〜2024/09/08
これらの結果から、ポピュラーな「歯周病」「虫歯」「知覚過敏」を並べると、以下のような考察ができます。
・性別での有意差はあまりない
・性別×年代では、虫歯と知覚過敏が若年層を含め幅広く検索されていることを示し、歯周病は40代以降の割合が多くなっている
あくまで仮説ですが、虫歯と知覚過敏は、ともに歯の神経に何らかの影響を及ぼす状況を作るため、痛みの性質が似ており検索者の特徴が似ていると思われます。
例えばこういった情報の整理から、実は虫歯に悩んでいる人だけではなく知覚過敏に悩んでいる人も狙え得るターゲットであることに気づくことができます。
自分一人の整理や調査を目的とした初歩の段階であれば、ここまでの機能でも十分活用の幅はありますが、次に説明するDS.INSIGHT Journeyでは、さらにこれらの結果に対して信ぴょう性を持たせた分析や考察が可能になります。
・DS.INSIGHT Journeyでできること
DS.INSIGHT Journeyでは、時系列キーワードという機能をご利用いただけます。
機能の名前の通り、特定キーワード検索者が過去にそれ以外のどのようなキーワードをどのタイミングで検索していたか、統計的に可視化することができます。
先ほどまでの仮説に対し、裏付けをするための情報を、時系列キーワードで探索してみます。
仮説:
虫歯検索者と知覚過敏検索者は似ていて、ターゲットとして両方一緒に狙うことができる
裏付けするために必要な情報:
・虫歯検索者が知覚過敏で悩んでいることが示せる、あるいはその逆
・売り込みをかけたい、歯磨き粉に対する興味が同時にあるとなお良い
探索的にデータを観測する手間は多少ありますが、
実際の「虫歯」検索者の時系列キーワードでは、以下のような結果が得られました。
DS.INSIGHT Basic の共起キーワードでは、子供への興味が多く表れている中に、仮説に挙げていた知覚過敏に関する検索が出現しました。その一方で、実際に症状を抱えているかどうかまでは不明ですが、この表では「虫歯」を検索した同日頃に上から順に検索ボリュームが多いキーワードが可視化されています。
また、キーワードの列挙以外にも、予め検索ビッグデータの中で定義されているカテゴリ条件で絞り込みをかけることで、もう少し違ったデータを得ることもできます。
以下は、「製品・商品」カテゴリで絞り込んだ時系列キーワードの結果です。
※モノの名前で絞り込まれているとしてご覧ください
虫歯自体が歯に関することなので、歯磨き粉はヒットして当然ではありますが、注目頂きたいのは検索が始まったタイミングです。
左側の-19日ごろに、知覚過敏の薬に関する検索がここで表れ、約1か月後に「虫歯」と検索しているので、冒頭のランキングに表れた「虫歯 放置」などとも結びつく行動がここで観測できます。
後者の放置に関する発見は、包み隠さず言うと調査の中で偶然見つかったのですが、時系列キーワードを使った深堀をすると、このように深みのある意外な気づきへ繋がることが多々あります。
・エントリープランについて
詳細は以下にて、ご案内しております。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。