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育休とリスキリング①

2023年の年初め、当時の岸田首相が育休中のリスキリングを推奨したことが話題となった。「育児中などさまざまな状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押しします」という答弁に対して、「育休は休みではなく、学び直しをする時間なんかない」「現実の育児を知らないから、そんな発言ができる」「育児を舐めるな」という意見が世間からあがった。当時は報道番組でも活発にこの様子が取り上げられ、僕の頭の隅の方にも一連の炎上騒動は記憶に残っていた。

その後1年半ほどして、2024年5月に娘が生まれ、僕も育児休暇を取る身となったとき、果たして育休中にリスキリングはできるのか、実際に試してみようと思い立った。
リスキリングとは現在または将来の職業に役立つ、新しい分野の能力を習得することを指し、2010年頃から提唱され始めた概念であるが、新しい資格を取る、TOEFLの勉強をするといった勉学に関わるものから、魚を捌けるようになる、ベンチプレスを上げるなどの今までの自分にはなかった新たなことに挑戦することも含めていいのではないかと個人的に思っている。

さて、期間は最短6ヶ月、最長1年程度ある。果たして何を勉強し、何に挑戦するのか。自分が今まで関わってこなかった分野で、どうせならば何か形に残るものがいいだろうと考えた結果、昨今のAI隆盛の事情もあって、AI・プログラミングの勉強をして、アプリケーションの作成をすることに目標を定めることとした。

僕は以前にC言語の基礎を少しだけ触ったことがあったが、HTML、CSSなどでWebサイトを作成したことはなく、JavascriptやPythonなどもよくわかっていないプログラミングど素人である。
この状態から一体どんなものができていくのか想像できないが、以下の(勝手に敬愛している)清水さんの記事にもあるように、GPTが使えるようになった今、プログラミング学習やアプリケーション開発は一般人のすぐ側にまで降りてきている。

GPTと会話を重ねることで、自分にも育児の片手間で何かできるのではないかと勇気づけられ、僕の育休中リスキリングはスタートした。ただし、出産直後や育児に慣れるまではさける時間もなく、結局手をつけ始めたのは生後2ヶ月頃からだったように思う。

リスキリングの一環としてまず僕がしたことはOutlierという会社のリモートワークだった。
OutlierはLLMの性能向上のため、AIの返答を精査し、人の手で修正していく仕事を請け負っている。国によって言葉も違えば、文化も異なるので、同じ質問(Prompt)に対しても地域によって回答が異なる場合があるため、世界各国で募集があった。
仕事のタスク1つは20分程度で終わるので、生後2ヶ月くらいで、こちらにも余裕が出てくると隙間時間で少しずつ進めることができた。

しばらくAIの返答を修正していると、自分のPCでもLLMを動かしたくなってくるもので、次に僕がしたことはPythonの基礎本を1冊読んだ後、OpenAIのAPI keyを取得し、text to speechやembeddingなどをチュートリアルに沿って試してみることであった。

しかしここで問題になってくることは自分が何を作りたいかまだ分からないということであった。
エンジニアの中島聡さんが何度もブログでおっしゃっていることだが、プログラミング言語や技術の勉強が先にあるのではなく、作りたいものが先にあって、その都度必要なことを勉強、習得していくことが肝心である。
それからしばらくは育児をしながら何を作りたいか自分に問いかける日々が続いた。
そんな折、娘が生まれて初めて風邪をひき、一家に風邪が蔓延した。


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