フグ田君どうだいゴルフは
タクさん
函館山のはなし、あれわかりやすいですねえ。
ぼく今まで、そういう例えを使ったことありませんでした。
なるほどたしかに、昼間の函館山からみえる風景は、並び立つ建物や、海岸線や、山など、そこにある構造そのものです。つまり昼間の光景は「解剖画像」である。
これに対し、夜景は、「今明かりを付けている家だけがハイライトされる」……。今アクティブに人がいて何かをしているところが光っている。だからこれは「機能画像」。
なるほどなーこれって核医学(PETの専門家)たちはよく使う例えなんですか?
知らなかったなー勉強しとけばよかった。
このたとえ、病理医も使えるなー。
他分野の人が使う例え話って激烈におもしろいですねえ。
PETを極めた先に何があるのか、どういったことが可能になり始めているのか
このへんのお題が次回以降とのことなので、次のお手紙を楽しみにまちます。
お手紙を読んでふと自省したのですが、PETに使うFDGがフルオロデオキシグルコースの略だ、みたいなくだり、ぼくずーっと、中学、高校、大学、大学院のころ、理系少年だったころ、大好きだったんですよね。
ポリエチレンテレフタラート。
パラジクロロベンゼン。
スリジャヤワルダナプラコッテ。
コンデンエイネンシザイホウ。
こういうカタカナを、グッドリズムですっと発音できるの、快感でしたからね。
病理で使うHE染色はヘマトキシリン・エオジンの略である、なんて何度書いたかわからないし。
……けどぶっちゃけ、まったく知らない分野の話を今読もうとおもったとき、FDGの略がフルオロデオキシグルコースだろうが、富士山だんだんがんばってるだろうが、ふしぎな道具を出すジャイアンだろうが、なんだかどうでもよくなってるんですよ。ぼく。おじさんになったんだろうか。
いや、じゃあ、FDGの説明まったくせずに、PETの話を説明するのがいいのかって、そういうわけでもないんですよね。専門家が自分の使う武器についてきっちりと説明することを眺める安心感というものがあります。
たとえば、NHKきょうの健康あたりで出てくる用語って必ずしも素人向けに簡単にしてあるわけじゃないんですよね。
小説を読んでて、SFで小難しい設定をさぞ本物であるかのようにきっちりハードに解説されてたほうが、「なんかよくわからんけど転生したら勇者になりました」よりも信頼できる、という人はやっぱいると思うんですよ。
読む人によって様々だろうなーと思いました。受信するほうでも気づき、発信するほうでも気づく。そういうシーンが最近増えています。タクさんはとりあえずそのまま気楽に書いて送ってくださったらうれしいです。読み手は勝手に盛り上がりますので……。
(2019.8.12 市原→タクさん)