医の中の蛙(6) ちょっと待てぇぃの人
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ヤンデル「それにしても……今語って下さった3人の縁もすごいけど……それ以上に、たとえば『いいねの募金』で集まった人って1500人くらいでしたっけ?」
オグニン「1600人くらいですね」
藤マッツ「今もっと超えてるんじゃないかな」
ヤンデル「これだけ多くの人に縁を広げていってるってことも、すごいと思うなあ」
*
ヤンデル「ほむほむ先生そろそろしゃべんない?」
ほむ「気配消してたんだけどなあ」
ヤンデル「マイクミュートにしてるのは気づいてた(笑)」
ほむ「まずね、ぼく中島さんがおっしゃっていた、『あかるく・かるく・やわらかく』ってのでね、一人患者さんを思い出してたんですよね」
ヤンデル「おっまじか」
ほむ「すっごい明るいご家庭でね。今年もたのしい年賀状をいただきました。もう10年……くらいになるかな」
ヤンデル「ああ、お付き合いが長いんだね。小児科ならでは、かな」
ほむ「そういった意味で……小児科ってのは、さきほど中島さんがおっしゃっていた、『希望』の部分が見えやすい部分もあると思います」
ナオちゃん(うなずく)
ほむ「たとえば……小児急性リンパ性白血病って、1962年のセントジュード病院(St. Jude Children's research hospital)からの報告では、9%しか生きることができなかった、ってことになってます」
ヤンデル「……昔?」
ほむ「1962年」
ヤンデル「うん。よく年代まで覚えてるなあ」
けいゆう(堀向先生ってそういう人ですよね、っていう笑み)
ほむ「それがずいぶんよくなってきて、今は……同じセントジュード病院からの報告だったと思うんですけれど、2000~2005年のデータが出ていて、92%の方が生存できるようになった、という報告があります」
ヤンデル「えっ最初9%って言ってましたよね」
ほむ「そうです」
ヤンデル「それが92%?」
ほむ「完全に逆転したんですよね。そういった意味では……未来に希望が出てきた科ではある」
ヤンデル(医学研究ってすげえな……)
ほむ「一方でね。今、国民の2人に1人ががんになる、っていうけど、小児に限ると、がんになる小児ってのは10000人に1人なんですよ」
ヤンデル「ああ……」
ほむ「そもそも『小児』という概念自体も少数……人口に占める小児の割合って12%しかいらっしゃらないですからね」
ヤンデル「ああーそうか」
ほむ「となると、(小児がんの当事者が)声をあげても、なかなか届かない状況にはなっています。」
ヤンデル「だよねえ」
ほむ「多くの場合、がんの支援について語られるのは成人を対象とした話なんですね。でもぼくは子どもの味方だから、子どもの話をしたがる」
ヤンデル「フフッ」
ほむ「ぼくが末梢血を染色して診断をして、小児がんについて仕事をしていたのはもうずいぶん前の話なので……今はとても玄人とは言えない、だから小児がんについては、語る資格もないんじゃないかと思ってる」
ヤンデル(これ、堀向先生はほんとうにいつもよく言うんだよな)
※実際Twitterのタイムラインでもこのときのほむに反応した人は複数いた
ほむ「小児がんがきわめて珍しく、いわゆる『少数派』であることと関連して、ほかにも。たとえばAYA世代も含めて、」
ヤンデル「はいはい」
ナオちゃん(うなずく)
ほむ「”二次がん”の問題、生殖機能を温存できるかどうか……」
ヤ註: 小児期や、AYA世代(Adolescent and Young Adult=思春期・若年成人、15歳から39歳)のがん患者においては、がんをなんとか治したあとの人生でふたたびがんにかかったときのデータが少ないとか、がん治療によって生殖機能が低下する可能性を考慮しなければならないなど、一般的な成人・高齢者のがんとは違った問題点が存在し、ほむはそこを指摘している。
ほむ「なにより、人口のたった12%しかいない子どもの、さらに10000人に1人しかおこらないがん……国内で今、年間400人くらいだったかなあ。」
ヤンデル(リアルに少ないとみるか……いや、400人も苦しんでいるんだなあと考えるか)
ほむ「そのような人々のことにも、目を向けてほしいなあと思います」
ここで小国さんが身を乗り出した。
オグニン「去年の deleteC HOPEでは……まさにその小児がんの研究に寄付をさせていただきまして」
ヤンデル「おっなるほど?」
ナオちゃん「はい……(小児の)患者さんひとりひとりを救う希望を探すための……ゲノム検査を研究していらっしゃる先生に、送らせていただきました」
ヤンデル「あの……
今の話、さらっと説明されてましたけれど、
この世界、中島さんが『deleteCの代表理事をされているから知っていて当然』なんて簡単に言えるような話じゃ、ぜんぜんなくて、
今、中島さんは、去年は小児がんの研究にお金を出したんですよって話だけじゃなく、どういう研究に対してお金を渡しましたってのをちゃんと把握されてるのって本当にすごいことだなあと思いますよ」
オグニン(うなずく)
ナオちゃん(なんか止まってる)
ヤンデル「いやほんと、(deleteCが)これだけの規模になって、しかもこれだけ医療が細分化されている中で、ここまで中島さんが目配りされているというのが……すばらしいなあと」
ナオちゃん「いえいえ……(と手をふる)」
*
ヤンデル「けいゆう先生どう?」
けいゆう「そうですね……ほむほむ先生はね、いつもね、『ちょっと待て待てぇい、小児のこと忘れるなッ』っていう役回りなんですよ」
みんな「ドッ」
けいゆう「やっぱりがんというと中高年の患者が中心で、ぼくだって消化器外科が専門ですけれど、たとえば大腸がんだと、年齢の中央値は60代……あるいはそれ以降」
ヤンデル「うんうん」
けいゆう「となると……やっぱり我々、がんの話というと、無意識に『そっちの(高齢者よりの)話』をしてるんですよね」
ヤンデル「うん」
けいゆう「だから……でも……そうじゃなくて……これは、割合とかいう問題じゃなくて、患者さんにとっては、たった一人の子どもだったり、たった一人の存在なわけで……」
いいなあ。
今、ぼくらは #いどばた で、
井戸のまわりにあつまって、
「ときどき、井の中の蛙になってるから、気を付けよう」
って話をしてるんだ。
飛び出さないといけないよな。
*
時計をみたら残り時間があと15分しかない。
よし、ここはもう、最後の話題にいかないと。
ぼくは少し考えて……
そういえばぼく今日ぜんぜんしゃべってないな、と思った。
よし、ここで一発、ぼくっぽくしゃべっとくか。
(※ここからちょっとだけノーカットでお楽しみ下さい。)
ヤンデル「視聴者の皆さんにもご出演者の皆さんにもはっきり言っておきますけど普通こういう企画って言うと最後に『これからどうしたいですかあ?』なんてのをやるんだけどぼくそういうの嫌いなんですよ\ドッ/なんでかって言うとこれからも何もずーーーーっとやり続けてきたものを見てください!で十分なはずなんで、(番組の)最後に2分くらいで一言、みなさんどうですかってふりますけど、そんな言葉数はいらないんで、みなさんはね、がんばります! だけでいいんで、だからあと15分くらいはもうテーマ(3)『メディアの立場からできること』に使っていいと思うんですよ、で中島さんも小国さんも、ほむほむ先生はほらマイクミュートにしてる場合じゃないから\ドッ/、どんどん入って来ていいからね、いいんだけどここはひとつ角度によっては櫻井翔に似ている藤松翔太郎さんにバシッとこう、ちょっと、メディアの話をやっぱりしてほしいなあと思った、で、ちょっと、ぼく、ぼくしゃべっていい? 20秒くらいにするけど、あの、中島さんの熱意と人の縁で、っていうけどね、その人の縁の先にプロの医療者がいたのはでかいかもしれないけど、ちゃんと反応してくれた人の数が多いってことがぼくは一番大事だったって思ってて、もっと言うと『メディア』がそこに入ってくれたってことに、もうね、拍手しかないわけ、だからもう、藤松さんってね、むだに顔かっこいいし、変な仕事俺にばんばんふってくるからあんまり好きな人じゃないんだけどね\ドッ/、ほんと、しゃべってほしい、しゃべってほしいんだ、このひとね、もう、表だって俺になんも言わないんだけどさあFacebookのメッセージで次から次へと今度あれやりますみたいなの教えてくる人、どうですかそろそろ藤松さん!」
藤マッツ「ぼくは……」
(続く。)
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