見出し画像

魔法少女はそこら中にいます

セラノスティックスのお話、興味深く拝見しました。前立腺癌についてはかなりいい結果が出ているのですね。

ぼく自身、これまで、PETという検査が、

がん細胞にだけくっついて、がんのいる場所を光らせる

ということまではぼんやりと知っていました。しかし、今や、

がん細胞にだけくっついて、がんだけを叩く

という抗体治療みたいな話も同時に行われているのですね。
なるほどなあ、と、目が開かれた思いです。


(骨転移症例でPETを用いて、がんの広がった範囲を診断しつつ、おまけに局所で放射線治療もしてくれるとなると、一見合理的でめちゃくちゃ良く効きそうですが、骨髄抑制とか大丈夫なのかなーと心配にもなります。そのあたりのバランス、どうなのかなーと、興味深いです。)


さて、タクさんのお手紙には

がん細胞だけがもつ特徴を的確に捉えなくてはいけません。
言うは易しですが、がん細胞は普通の細胞と概ねソックリなのでかなり難しい作業です。
日本中の中高校生の中から魔法少女を見つけるくらい難しいかもしれません。
彼女たちがきっと隠し持っているであろう、魔法のコンパクトとか、音の出るタクトとか、光の出るカスタネットとか、ソウルジェムといった、とても特徴的な何かを見つけ出さなくてはいけません。
そのような理想的ながん特異的標的薬(図中の◇)を見つけることが出来れば、次の段階に進めます。

と書かれていました。つまり、普通の人がもっていなくてがん細胞だけがもっている武器や道具や特徴的なアイテムを見つけ出すことが、PETを進化させていく上では重要なのでしょう。

ブドウ糖はあまりに汎用化したアイテムなので、もっと「がんだけが使うもの」とか「がんだけが持っているもの」を見つけるということですよね。

そして研究が進んでいるとなると、すでに見つかったものもあるんでしょうか。

それは、どんながんの、どんなアイテムだったのでしょう。

ぼくは病理医なので、がんと正常細胞の違いにはとても興味があり、日頃から仕事でその違いを見いだすことに人生を駆けているわけですが、核医学を研究されている方はどういう視点でがんとそれ以外を見分けているのか、大変興味があります。ぜひ教えてください。


そうそう、前回のお手紙、3回分くらいに分けてもいいくらいだと思いました。せっかくなので小出しにしてください。おいそがしい中、あまり長いものを書いて頂くのも胸が痛みます。

もうしばらく、PETのお話を聞いたあとは、ゆっくりと、「こういう専門用語を書く上でどのようなことを気にされたか」とか、「どういう読者を想定してキーボードを打ったか」みたいな話も、おうかがいしたいものです。

(2019.8.26 市原→タクさん)