
ほししいたけが松茸より高価だったって、本当?
松茸の美味しい季節になりました。しかし、松茸といえば高級食材。国産でなくとも、なかなか庶民が手を出せるお値段ではありません。
でも、ほししいたけの方が松茸よりも高価だった時代があったんですよ!以前ご紹介したように、天皇や将軍しか口にできなかったほししいたけが庶民の食卓にも上がるようになったのは、江戸時代。当時は当然「ほししいたけ=高級品」でしたが、そんな昔まで遡らずとも、昭和40年頃は松茸よりほししいたけの方が高価だったというデータがあるんです。
農林水産省の「令和4年特用林産物生産統計調査結果」によると、昭和40年(1965年)の1kgあたりの国内価格は、
*松茸=1,591円
*ほししいたけ=2,056円
確かにほししいたけの方が高いですよね。
しかし、10年後の昭和50年(1975年)になると
*松茸=8,413円
*ほししいたけ=3,381円
と逆転しています。
以降は松茸の方が高価な状態が続くのですが、たった10年で約5.3倍にもなった松茸の価格高騰っぷりにも驚きですね。

これほど価格差が出てしまう原因の一つには、松茸としいたけは同じきのこと言っても種類が異なるということが挙げられます。
しいたけやなめこ、舞茸などは「腐生菌」といって、倒木や切り株などに生えるきのこ。ゆえに、原木を使った人工栽培が可能となりました。一方、松茸は「菌根菌」といって、生きた樹木に発生するきのこ。なかなか人工栽培が難しいので、希少性も高く、お値段も高くなってしまうのですね。
他にも、松茸が発生するアカマツの木が減少していることも高騰の一因とされています。これについてはまたの機会にお話することにいたしましょう。
機会があれば松茸も楽しみたいところですが、この時期に流通する原木しいたけは、お吸い物にしても松茸に負けず劣らず美味しいのでおすすめですよ。