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ほししいたけって、いつ頃から日本で食べられているの?

 ほししいたけって、けっこう昔から食べられているイメージありますよね。しかも和食のイメージも強いので日本発祥と思われがちですが、実は外来。その上、日本に入ってきてから一般的に食べられるようになるまで約800年もかかったという、ちょっとユニークな食材なんです。

 ルーツは、中国。一説では「9世紀の始めに唐(中国)から帰国した弘法大師が伝えた」と言われていますが、諸説があり、はっきりとは分からないそうです。

 確実に文献で確認できるのは、13世紀に入ってから。曹洞宗の大本山・永平寺の開祖、道元が1237年に著した「典座教訓(てんぞきょうくん)」の中に登場します。
 ちなみに “典座”とは、禅寺で「食」を司る重責を担う役職のこと。「典座教訓」は、道元が宋(中国)での自身の経験や見聞きした禅寺の様子などを通して、“典座”の重要性や修行僧の心構えを説いた本です。
 しかし、当時の日本では、ほししいたけは輸出がメイン。質の良い日本のほししいたけは中国で歓迎され、優秀な貿易品だったため、国内では殆ど流通していませんでした。

 「食べる」記録が登場するのは、さらに時代が進んだ15世紀の室町時代以降。「足利将軍へ献上」という記録が見つかっているように高価な貴重品だったようです。16世紀になると様々な料理書に登場し始めますが、この頃もまだ上流階級のごちそうでした。

 ようやく庶民の口に入るようになったのは、江戸時代。しいたけの人工栽培が可能になったことでほししいたけの生産量もグンと増え、市中にも一般に出回るようになったためと言われています。それでも、日常的に食べるというより、「ハレの日のごちそう」として汁物、煮物、五目寿司などで楽しまれていたようです。
21世紀の今は「ハレ」のイメージはあまりないかもしれませんが、お正月のおせちや桃の節句のちらし寿司などのめでたい席でほししいたけが欠かせないのは、ほししいたけが古くから珍重されてきたことの名残りかもしれませんね。

#ほししいたけ #原木ほししいたけ #典座教訓 #弘法大師

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