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001 The Gentlemen - Films & TV series filming in England (or UK)
The Gentlemen
2024
Inspired by The Gentlemen by Guy Ritchie
Story by Guy Ritchie, Matthew Read
”英国のクエンティン・タランティーノ”ことガイ・リッチー自身作の同名映画(The Gentlemen, 2019)をテレビシリーズ化したのもので、2024年にNETFLIXで公開された。キャスティングは一新されているが、映画版を観ていたら共通する点に気づけたりしてより一層楽しめると思う。
内容を簡単にいってしまうと、貴族の”副業”である”雑草”農場を廻る組織の縄張り争い、というところだけれど、ガイ・リッチー作品に馴染みのある方にはわかるように、予想外の事件が起きたり、勘違いがまた新たなドラマを生み、伏線を回収しながらブラックなジョークを加えつつ進むクライムサスペンス、といったところだろうか。タランティーノ同様、色々な映画からのインスピレーションを感じる造りにもなっているし、くだらない会話や、ぶっ飛んだキャラクターの登場人物などなど、シニカルな笑いを忘れていないガイ・リッチーらしさを存分に楽しめる作品。
この作品に限らず、英国式の英語を勉強したい人、英国の発音などが好きなひとにも進めたい映画のひとつ。フットボールのスタジアムで飛び交うような、かなり汚い罵り言葉が連発されるので、ご自身で使う際はくれぐれも気をつけて。
撮影の舞台もロンドンが多く、特に観光地として有名なところだけではなく、イーストやサウスの街並みがでてくるので、そのあたりで生活したことがある人にとっては、あ!ここ知ってる!というようなところも沢山あり、それも見所のひとつだ。そして、登場人物も「こういうヤツいるいる!」という感じにしっかり作り込まれていて、そこも楽しめるところだ。
念のため、ドラッグ、暴力、暴言がたっぷりなので、いまのご時世、耐性が無い人も多いかもしれないので、そういう方にはお薦めしない。
先日、仕事の打ち上げを兼ねるようなイベントがあり、そこで好きな映画の話になった。その時に、「ヒラノさんのオールタイムフェイバリットはなんですか?」と訊かれたので、「『Pulp Fiction』かなぁ、やっぱり。リアルタイムで若い時に観た衝撃は超えられない」と答えたが、公開は1994年なので、それ以来超えるものが無い、と言うのは少し寂しいなと、ふと思ったが、やはり感受性の強い若い頃にリアルタイムで観たり聴いたりしたものの影響は歳を重ねるごとに大きいと感じているのは確かだ。色々な先輩達が、若いうちに色々なものに触れろ、と言っていたのが、その通りだと改めて感じる。
『Pulp Fiction』がオールタイムフェイバリットだというと、アメリカのカルチャーにどっぷりだと思われるかもしれない。確かに90年代のベースはそうだったと思う。ファッション(カジュアルサイドの)のベースはアメカジ、アメリカ古着だったし、音楽、映画も基本的には同じだったと思う。
一部、ミニシアター系は当時フランス映画のリバイバルもあって欧州モノもカルト的人気を得ていはいたり、音楽は90年代半ばから後半くらいはBrit Popブームがあったり、終わり頃はDaft Punkを筆頭にフレンチタッチブームもあった。そういえば、雑誌も当時は『i-D』や『Days and Confused』や『FACE』なんかのイギリスのものも結構普通に買えたんだった。しかも円が強かったので、タワレコの洋書コーナーだと『i-D』なんて千円切っていた時期もあったくらいだ。
そう考えると、アメリカの影響が一番大きかったとは言え、今より色々な国のものがそのまま輸入されていて、多様性もあったのかもしれない。
話が少し逸れたが、『Pulp Fiction』といえばタランティーノだ。タランティーノ作品のベストは人によって様々だろうが、僕はやっぱり『Pulp Fiction』。もちろん『Reservoir Dogs』も好きだし、脚本や製作総指揮として関わっているものも含めたら『True Romance』や『Killing Zoe』も好きだけれど、最初に見たときのインパクトではどうしても『Pulp Fiction』を超えられない。
オープニングのインパクト、そこから続く選曲の妙、時間軸があっちこっち飛んだり、どうでもいい内容の会話が続くことが新鮮だったり、ピークを越えた俳優がしょぼい役どころにはまっている面白さ、ドキッとするくらい激しい暴力描写、馬鹿馬鹿しいのにクールだという不思議な魅力がある。
それは、リアルタイムで劇場で観たということも関係しているだろうし、『Reservoir Dogs』を『Pulp Fiction』の後で観てしまったということも影響しているだろう。とにかく自分の中ではいまだにこの映画が一番だと思う。
そんなアメリカ文化がスタンダードとしてあるなかで、個人的に好きな音楽はUKのものが多かった。90年代は60年代の再評価が大きく進んだ時代でもあったと思うのだけれど、当時は60年代の音源のリイシューが英米限らず多くされていて、かなりマイナーなものまで発掘されて「世界初CD化」みたいなのが多くあった。(先に少し触れたフランス映画、音楽のリバイバルもその流れだったと思う。ゴダールやゲンズブールの映画や音楽はかなり一般的なレベルで認知されていたはず。)
僕はFlippers GuitarやSex Pistolsなどから知ったネオアコや2TONEの周辺からそのルーツである60年代の音楽まで遡って、そのあたりを好んで掘って聴いていたこともあり、知らず知らずUKルーツのカルチャーに触れていたということもあるが、どこか影のあるイギリスものが好きになっていっていた。
ところが映画としてイギリスものという認識をもって観たのは『時計仕掛けのオレンジ』くらいしかなかったかもしれない。これも最初はキューブリックの代表作ということでビデオ屋で借りてきてどハマりしたが、英国らしさを理解して楽しんではいなかったと思う。映像が抜群に格好良く、クラシックがこんなにヴァイオレンス、狂気とはまるんだ、ということを強烈に感じたのを今でも覚えている。
そんな頃、Oasis × Blur対決によって渋谷?日本でもブリットポップブームが本格的に始まり、そのバブルの頂点をちょうど過ぎるかどうかのあたりにガイ・リッチーの『Lock, Stock and Two Smoking Barrels』が公開されて、衝撃を受けた。これは英国からのタランティーノへの回答だと。そしてそれだけではなく、イギリスものにしてはテンポがよく、『ユージュアル・サスペクツ』のような大どんでん返しのある展開にのめり込んだ。
それ以来、ガイ・リッチー作品はロンドンの風景と、ロンドン訛りを求めて、ことあるごとに観ている。ちなみに、この『The Gentlemen TV series』は、シーズン2が2025年中に撮影され、来年2026年には公開される予定だそうだ。リアルタイムで観る楽しさを享受したい。
※写真:著者撮影 2019
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