街風 episode.18.4 〜そよ風と猫〜
「ほら、あの人だよ。」
タマは私に撫でられて喉をゴロゴロと鳴らしながら、寝転がったまま声を出した。全く、本当に私の友は呑気なんだから。自分から私に願い事をしたのに、依頼主はお気に入りの場所でゴロゴロと寛いでいるだけ。猫が飼い主を自分の下僕だと思っていると人間達は言っているが、それはあながち間違っていないのかもしれないな。私は、タマを撫でていた手を止めて斜め後ろを振り返った。
やっぱりダイスケくんだった。タマにお願いされた時から分かっていたけれど、改めて自分でも実際に