好きが大事
楽器を買った人の話って、聞いていると面白いですね~。
「もうさ~、楽器屋に入ったら、おれのことずっと見てるんだもん!(楽器が)」とか(笑、
「だって、叩いてって言ってたんだもん!(楽器が)」とかね。
挙句の果てには
「恋に落ちたんだよね・・・(遠い目)」
などと言いだす始末。つまり、いかにその楽器との出会いが運命的なものだったか。みなさん罪悪感を振り切るように力説するわけであります。
まぁまぁ落ち着いて(笑)とクールダウンさせる反面、自分にも心当たりがあったりして。いい年した大人でも、楽器購入はなんだか胸躍るものがあるのです。
仕事柄、楽器購入について相談を受けることもあります。
「あのスネアどう思います?」
「うちのバンドに向いてますかね?」
尋ねられた手前、自分の意見は言いますが・・・恋愛相談のような感じ(笑)。結局は自分の答えを確認しに来てるだけ。みなさん、自分が恋した楽器を買うのです。
ただこちらとしては、相談に来た時点で、健気に思うわけでして・・・「ならば、経験談だけどね? 実は一見地味だがポテンシャルの高いアレを、いたずらに高価なものより低予算で楽しめるコレを、買った方が将来的に良いと思うよ〜。余ったお金はCD買って、映画見て、ディズニーランドで遊んで来ればいいじゃないか!」
まさに娘を想う父親のような心境になってしまうのです。
ただ、話していくうちにだんだんわかってきます。娘の心の中には実は既に決まった相手(楽器)がいて、そいつは噂の○○だったり、高価な○○○だったりするってことが。。。
お父さんとしては面白くない!
音楽の中で楽器が求められるファクター(要素)は際限がない。ツッコミを入れようと思えば、いくらでも出来ます。
「そのフープじゃないほうがいいんじゃないの?(お節介)」
「音量小さいor大きすぎるから、セットバランスが難しいんじゃない?(お節介)」
「あのメーカーはパーツの供給がイマイチよ~(大きなお世話)」
娘可愛さに言っているのですが、逆に〈好き〉に油を注いでしまう。・・・「だって、好きなんだもん!」とほっぺを膨らませられると、お父さん、おしまいなのです。
〈好き〉にはかなわない。
・・・そもそも、人間の考え方には順番があって、最初に「好きか嫌いか」「やりたいか、やりたくないか」が来て、最後に「良いか、悪いか」が来る仕組みなのです。
恋愛も音楽も、初期衝動、じゃないですか。好きかどうか、やりたいかどうか、という考えと相性がいいのです。いいか悪いかといった客観性はまずは説得力がないのですね。
振り返ってみれば自分自身も、まさに好き好き人生です。相談受けたら、聞いてあげて、「好きなの買いなよ(にっこり)」で良いのですね。
〈好き〉が大事。
だから、売り手はそう思われれば、勝ち!
あなたの音は、プレイは、あなたの音楽は〈好き〉って思われていますか?