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最新HIPHOPレビュー #34 「NAGAN SERVER / SILENT MADNESS」
今回の『日刊DiGG』は、静寂さの中に様々な感情を込めた作品を紹介します。
|NAGAN SERVER / SILENT MADNESS(Beats by dhrma)|
2021/01/29 公開
活動拠点を大阪から東京に移したことをきっかけに、自宅での制作環境を整えたコントラバスプレイヤー / ラッパー NAGAN SERVER 。
JAZZもHIPHOPもジャンルで分けることなく共通点を見出し、独自の表現を生み出している。
'20年9月から続けざまにシングルをリリース。9月2日に「YOU (feat. Jambo Lacquer)」、10月28日にAaron Choulaiとの共作「sign」、そして12月30日に今回紹介する「SILENT MADNESS」を発表し、今後もリリースが続くという。
「SILENT MADNESS」のタイトルにあるように、ささやきにも似た静けさあるラップスタイル。
HIPHOPではハスキーボイスで煙たさを演出するラッパーが多い中、NAGAN SERVERは声を奥まらせることで輪郭をあいまいにし、アブストラクトな表現によってリスナーのイメージを膨らませる。
「曖昧な世界にSMOKE
隠しきれない本音色濃く」
新雪を踏みしめて残った足跡が、新しい雪に消されるように、消え入りそうな言葉は、新しい言葉によって塗り替えられいく。
欲が消えることで、あなたに会いたい本音が浮かび上がる。なのにあなたがいないことで深まっていく孤独さ。
寂しさで押しつぶされそうな気持ちを、静寂さと共に表現しているのが発狂寸前に思えてならない。
映像は、クリエイティブチーム SKID(Matias Maehama & TAIGA)が制作。広い部屋で1人で座る姿、忍び寄る黒い影、燃やした手紙と燃えたレコード。この曲のイメージをさらに膨らませる演出が冴える。
▼HIPHOPをさらに聴きたい人へ
今回紹介した曲以外に、'21/1/16〜1/31までに公開された至極の30曲をセレクトしました。連続して聴けるので、作業をしながら、散歩しながら聴いてみて下さい。
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