『週刊DiGG』#5 -最新HIPHOP紹介('20/9/19〜9/26)-
HIPHOPのレビューをTwitterに毎日投稿しているドラム師匠です。活動を2年10ヶ月続けていたので、レビューが1000本を超えました。
覆面レスラーのミル・マスカラスが、“1000の顔を持つ男”と呼ばれていたので、私もキャッチコピーを“1000のレビューを持つ男”にしようと思ったのですが、訳がわからないのでやめましたwww
さて、『週刊DiGG』も今回で5号目。毎週火曜日に発行する予定でしたが、筆が進んでしまい日曜日にアップできました。今週は'20/9/19〜9/26に公開されたMV7本を紹介。意図した訳ではないですが、REMIX曲が多く取り上げています。
さらに今回、京都のビートメーカーBoNTCH SWiNGAさんが、制作時のエピソードを教えてくれたので、コメントとして掲載しています。制作者の想いが伝わると、楽曲に対してより親近感が湧くので、ぜひ読んでみてください。
それでは、HIPHOPの最前線をご一緒にどうぞ。
※ 歌詞=リリック、サビ=HOOK、ラップをしているパート=Verse
とHIPHOP用語で表記しています。
※ アーティスト名に下線がある場合、TwitterまたはInstagramとリンクしています。
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1|OZworld / Vivide-feat.重盛さと美|
2020/09/25 公開
88risingに所属するRich Brianが出発点となり、STAY HOME時に名だたるラッパー達がビートジャックした「TOKYO DRIFT FREESTYLE」。
その中でNo.1の再生回数を叩き出したのは、なんと 重盛さと美 でした。(現在1800万回再生!)
そんな彼女をいち早く客演オファーしたのは、沖縄のラッパーOZworld。身のこなしの早さは、「波に乗っちゃってる」と曲に勢いをつけており、彼の好調さと遊び心を感じさせてくれます。
重盛さと美は、やる気があるのか、ないのか分からないほどの脱力系ラップを披露。おバカキャラなんだけど、ビー玉みたいに澄んだ目のキレイさ。つかめそうでつかめない不思議な魅力が、OZworld独自の世界観に違和感なく溶け込んでいます。
「ラップが下手」と言いながら、「もっとちゃんとしたカッコイイ曲 歌いたいよー」と注文をつけているあたりも笑えますね。
事務所に内緒でノリでラップしたら世界的にバズり、本物のラッパーにフィーチャーされる。なんて楽しいHIPHOPゲームでしょう。いちげんさん、もっとHIPHOPにいらっしゃいませ!
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2|LEX / HAPPY (feat. Young Dalu) |
2020/09/25 公開
メロディアスな曲を軸とし、バライティに富んだ曲で構成された3rdアルバム『LiFE』をリリースしたラッパーLEX 。アルバムの1曲目「SEXY」に続いて流れるのがこの「HAPPY」。
ハードな生い立ちから、一度は自殺を図るほどの絶望を味わったからこそ、今は愛のある人になりたいという。
「You Can Make Me Happy」
言葉を最小限にとどめ、このワンフレーズに思いが込められていてます。浮遊感あるCloud Rapが、ドリーミーな多幸感を演出しています。
客演は、Normcore Boyzの Young Dalu もう笑顔がズルいほど素敵でそれだけでHAPPY。
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3|SIGEMARU / 文学 Remix feat. Meiso & DJ REiZ|
2020/09/23 公開
曽我部恵一が全編ラップをし、ボサノバをサンプリングするなど、生粋のHIPHOPとは違った文脈からのアプローチが新鮮だったアルバム『ヘブン』。
そのアルバム収録曲であった「文学」という曲を、トラックそのままに、MGFのメンバー& SIGEMARU が、バイリンガルラッパーMeiso とDJ REiZを客演に迎え、REMIXとして新たな息吹を吹き込んだ作品。
「己」をテーマに静かでスゴみあるラップするSIGEMARUと、身近な物に真理を見出し、壮大なスケールでラップするMeiso。2人がまくし立てるVerse3は、異なるラップスタイルがぶつかっており、緊張感にゾクゾクします。
さらにDJ REiZによる荒ぶるスクラッチがかぶさり、物語はクライマックスへ。途中から「文学」が「BoomBap」としか聴こえなくなって面白いです。
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4|NF Zessho, JIVA Nel MONDO & Mid-S / Mypace (Remix)|
2020/09/19 公開
東京中野で定期的に開催されているヒップホップイベント「Oll Korrect(オールコレクト)」を冠したコンピレーションEPに収録された1曲。
原曲は、2016年に発表された“JIVA Nel MONDO✖️Sweet William”のコラボALBUM『MONDO CREATE』に収録されており、「Mypace」というタイトル通り、自分のペースで自由にやっていくというラッパーJIVA Nel MONDOの活動スタンスを語る曲でした。
しかし、このREMIXでは、同じビートを使用しているにも関わらず、緊張感がまったく異なります。NF Zessho, Mid-Sというラッパー2人が新たに参加しただけでなく、JIVA Nel MONDOもリリックを書き直しています。
3人が共通して語っているのは、ペースを上げていこうということ。
その象徴として、コンピレーションEPを作成し、言い訳できない状況に自らを追い込んで、意思表示しているように感じます。
原曲と音なのに、ラッパーの気持ち一つでベース音が荒ぶって聴こえるから不思議です。
首振る前後 保つテンポ 遠慮なしのLast
差しにいくサラブレッド Mid-S on da set
All Betで結構 Do my best Let's go
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5|KOWREE / チャンプロード-REVENGE OF UNDERDOG pt.2-feat JAKE (BoNTCH SWiNGA REMIX)|
2020/09/19 公開
伝説の暴走族向け自動車雑誌・オートバイ雑誌『チャンプロード』をテーマに、ヤンキー魂を全開にした作品。(当時はツッパリとも呼ばれていた)
キャロルに代表されるように、若者のやるせない憤りを代弁していたロックが、今やHIPHOPにとって変わった令和時代。
ヤンキーたちは何を訴えようとしていたのか?という本質をとらえ、HIPHOPに再構築したのは、今だヤンキーカルチャーの残るであろう出雲のラッパーKOWREE(コーリー)と、鳥取のラッパーJAKE です。
「キャパオーバー寸前 ギリギリのサンケツ
挑まなきゃ生まれない 伝説やアンセム
前例や法則 偏見や盲目
すべて抜き去ってく 幻の六速」
原曲はchop the onionによるプロデュースで、太いドラムが腰にくる楽曲でした。そしてこのREMIXは京都のビートメーカー BoNTCH SWiNGA が手がけており、録音技術も確立してなかったガレージロックのノイズの多さをそのまま生かし、荒々しさと空虚感をそのまま曲に閉じ込めています。
子供の頃の感じたヤンキーお兄さんの怖さを思い出し、ドキドキします。
BoNTCH SWiNGA からのコメント
自分でもなかなかの力作で、作ってて本当に楽しかったんですよ。
当時憧れたバイクの音をサンプリングして、リリックを引き立てるタイミングと空間を考えて、
なによりオリジナルを聴いて、そのテーマを今歌うセンスに、おもしろさとか、懐かしさとかに心奪われて。
まずオリジナルに超リスペクトしてます。
で、オリジナルのラップがマジで2人共カッコいいんで、それに支えられて作ったリミックスです。
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6|Shiina / Compass|
2020/09/22 公開
大阪の23才、ラッパー/メイクアップアーティストでもあるShiina 。
Dubstep系ベースが先導するDeep Houseにのせ、安室奈美恵がストリート育ちだったら?と想像するほどの歌声。独特の符割り、緩急をつけたフローは、リリックを凝視しても見失ってしまいます。
MVのコメント欄にリリックが掲載されていますので、目で追いながら聴いて見てください。その意味がわかるはず。
これが1st shitとは末恐ろしい。セクシーさも武器になり、今後も目が離せそうにありません。早く次が聴きたい。
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7|ケンチンミン / HiDE IN DA HiGH feat.OLIVE OIL|
2020/09/19 公開
メロディを聴かせる作品が多い大分のラッパーケンチンミン から届けられた新曲は、突然第3の目が開いて覚醒したような鬼気迫る仕上がり。
ケンチンミンが以前から愛聴してたというOLIVE OIL の2008年発表の既発曲「Yellow Apple」のビート起用。息つくスキを与えぬほど鳴り止まぬ鍵盤。高所から突き落とされ制御できない感覚に、叫ばずにはいられません。
ダンサー・Lyosuke Saitohのダンスにも注目です。
「強烈な睡魔から目が開いた」
「空と地面がUpside Down」
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さらにHIPHOPを知りたい人へ
最新HIPHOPを7曲紹介してきました。皆さんのお気に入りアーティストは言いたでしょうか?また感想を教えて下さい。
『週刊DiGG』では、これからもHIPHOPを紹介していきます。毎週火曜日に投稿するので、見逃さないようフォローをお願いします。
またYouTubeでもHIPHOPを紹介しています。そちらもチェックしてもらえると嬉しいです。では次週お会いしましょう。
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