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Afro Houseの絶妙な立ち位置

はい皆様こんにちはDee-Sです。今回は2024年のIbizaで遂にトレンド入りして爆発的な人気を博したAfro Houseについて触れてみようと思います。このAfro Houseというサブジャンルについてですが、特別新しい音楽、という訳ではなく90年代から脈々と引き継がれてきたDeep Houseの流れを汲む音なのですが、2010年代から一気にリリース量も増えテイストも時代を追うごとに変化し現在に至ります。では何故2024年に一気に爆発的な人気を博すサブジャンルへと昇華したのか?その理由について少し触れていきます。

1.スピリチュアル路線から離れて、シンセ音にも重きを置いた

筆者の私、2010年代からコツコツと買い集めていたのですが、第一の変化として、それまでスピリチュアル色が強かったAfro系の音が所謂Lead系のシンセで展開を作る、とかミニマルなシーケンスで徐々にビルドアップしていくような展開の曲が増え、他のサブジャンルと相性が良かったDeep HouseやSoulful路線に加え、Progressive HouseやMelodic Houseとのアクセスが容易になり、グッと世界観が広くなったのが理由ではないか?というのが筆者の私の考察です。要はビートもメインの要素なんですが少し控えめになって、その代わりシンセ音での展開主体へと変化した結果、他のサブジャンルとの境界線が薄まったことでDJの表現のバリエーションが増え、より聴きやすくなったのは、かなり大きな革命だと思います。

2. Amapianoの流行が起爆剤となった

2024年のIbizaシーズンの特徴として、やはり南アフリカ起源のAmapianoのテイストが他のサブジャンルへも浸食していったのも大きな理由の一つではないか?とも考えられます。2024年のトレンドを観察した限り、欧米主体のわかりやすい音というよりは南アフリカ系のゴージャスかつシックな曲調のものが多く、どことなく郷愁へと誘う展開が多くの人の心を掴んだのではないかな?と思います。私も好きな曲調の路線がこの路線なので、日を追うごとに購入する曲の量が増えて今ではこの路線だけでワンナイトを組み立てられるくらいになりました。また、House系のDJなら誰もが知っているであろう販売サイトTraxsourceへのアクセス数、南アフリカからのアクセスが2010年代から爆発的に増加したというデータもあるので、南アフリカでは以前からメインストリームの音楽としてその地位を確固たるものにしていたものが、遂にヨーロッパで花開いたという事でしょう。

3. メジャー系も続々とAfro路線のリリースが増えた

2024年のリリースを見ていると、往年のヒットメイカーが続々とAfro路線を取り入れた楽曲が数多くリリースされ、そのどれもがIbizaヒット作品へとなりました。レーベルでもアンダーグラウンド路線ならDefected、Toolroomをはじめ、PositivaやArmada等の以前はEDM作品をリリースしていたレーベルですらAfro路線へのアプローチがありました。この辺りも非常に大きな起爆剤。筆者の私の持論で「メジャーとアンダーグラウンドの境界線が曖昧になった音楽は必ず流行る」の法則が発動していました。この法則は90年代からダンスミュージックを追いかけてきた方ならおおよその人が理解しているであろう法則で、過去にもTrance、Progressive House、Electro Houseなんかもこの法則が当てはまる流れを汲んできています。

この3つの理由で爆発的な人気となったのが現在のAfro Houseだと個人的に感じています。

2024年のヒット作品を振り返る


ここで未だ2024年統括をするのは少し気が早いかもしれませんが、世間ではもうすぐIbizaシーズンも終わりを迎えるので、今年バズった楽曲を抜粋していきます。

Antdot, Maz, Letícia Fialho - Corpo e Canção

筆者の私もお気に入りの曲。郷愁感にドップリ浸れるピアノと薄っすら鳴っているミニマルなクリック系シンセ音、そして控えめなAfro Beatが絶妙に絡み合う2024年のDeep Afro House傑作のひとつ。踊るもよし、浸るもよし、何一つ邪魔な音が無く、これ以上音を足しても引いても困るという素晴らしさ。没入度も半端なく涙腺もしっかり刺激してきます。

Jakatta - American Dream (PROFF Interpretation)

これは完全にアイデアの勝利。Jakatta - American Dreamを昨今のAfro Houseテイストにアレンジし、更に往年のTrance感も加えたことで他のサブジャンルへのシフトを示唆させるナイスアレンジ作品。控えめでズンドコし過ぎないAfro Beatは完全に2024年のトレンドを押さえていてブレイクの陶酔感からのDropも完璧。

Low Steppa & Crusy - Bullerengue (Extended Mix)

House好きな方でこの路線が苦手な人、果たして居るのかな?という位のピークタイムで使う曲。このズンドコ加減は昨今のトレンドと比較するとズンドコ感マシマシなんですけど、ここ一番のピークタイムど真ん中で使えばフロアのテンション爆上がりの「間違いないピークタイム王道」なヤツ。筆者の私が個人的にLow Steppa大好きなのもあるんですが全くスベらない曲で今年使いまくってます。

みんな大好きDennis Ferrer - Hey HeyのDavid Guetta remixは「David GuettaのJack Back名義でリリースする作品、大体間違いない」の法則が発動していますね。原曲の素晴らしさは勿論、今更何も言う事は無いのですが、この控えめAfro感が絶妙にマッチした原曲リスペクト感がイイですね。というかこのremix曲をパスしたHouse DJは果たしてこの世に居るのかな?というレベルで完成度高いです。

Jack Back & THEMBA - Give Me Something To Hold

そしてJack Back名義でのリリースでもキッチリとAfro Houseのトレンドを押さえてくるのは流石です。筆者の私、この曲も今年はプレイしまくりましたねマジで。完全ピークタイム仕様でジワジワとビルドアップしてやり過ぎないピーク感も素晴らしく、フロア完全掌握可能な逸品。文句のつけようが無い作品で2024年を代表する曲のうちの一つかと思います。

MKL - You & Me (Pure Bliss Extended Club Mix)

こちらの曲は9月にリリースされた作品で個人的に刺さりまくってしまったのでご紹介。まずこのMKLというヴォーカリストの声質が良くて、その声質と歌いまわしが昨今のAfro Houseの郷愁感とぴったりとマッチしていると個人的に思いました。そしてこの曲も漏れなく昨今のAfro Houseの特徴である控えめビートと上品なシーケンス、新人ながらも良いじゃないですか。今後期待したいアーティストです。

HASKA - Wish I Didn't Miss You (Extended Mix)

これビックリすることにArmada Musicからのリリースなんですよ。Armada Musicって個人的にはEDMとかTrance作品のイメージが有って、買ってよくよく見たら「!?」と驚いた作品で、「コレ完璧じゃん!!」と歓喜してしまいました。何だかんだいってもやっぱり大手、抜かり無いですねトレンドの押さえ方は。Soulful路線に行ってもよし、更に深いDeep路線に行ってもよし、Organic路線にも行ってよし、の絶妙塩梅に舌鼓ですよねコレ。

Maz , Antdot - Run

ここ数年でメキメキと頭角を現してきて現在では間違いない鉄板アーティストとして筆者の私が定期観測しているアーティストMazの作品でも特に郷愁感強めでエモーショナルな作品がこの曲。グッと心の奥底に染み渡るピアノが特徴的で控えめAfro路線で使い勝手も良く、没入感もイイですね。日本のクラブでは週末のパーティーで使うのを躊躇うDJが多そうですが、Melodic House路線の早い時間でも使えますし、こういうのをガンガン使ってくれるDJが増えると東京の週末のHouse系パーティー、ガラッとオトナな雰囲気が出て良いと思うんだけどね。

Rivo & Armin van Buuren feat. Sharon Den Adel - In And Out Of Love(Extended Mix)

オリジナルのリリースは2008年、この作品も漏れなくAfro Houseアレンジになると、ビックリするくらいガラッと雰囲気が良くなって筆者の私もビックリして買いましたw 個人的な好みも有りますが全然原曲越えの最高なヤツに生まれ変わり、昨今のAfro HouseがTrance,Progressive,Melodic路線との相性が抜群に良いという証左になる代表曲ではないかと思います。こういう曲が増えるとジャンル横断が容易になってDJが表現したい世界がグッと拡がるので面白いですよね。

Djeff feat. Boule Mpanya - Lelo

2024年10月リリースの話題作。そもそもDjeffはMelodic House路線のアーティストで、これまでのリリース作品もナカナカ良い作品をリリースしていたんですが、コレでグッとブレイクスルーするんじゃないかなぁ?と個人的に感じています。セット終盤で活躍するであろうクライマックス感が素晴らしく、グッと拳に力が入る展開で涙腺刺激するわ思わず「うおおおおおおおやべぇぇぇ」って叫んでしまいそうなグイグイ来る感じ、間違いなく個人的に2024年下半期ベスト5に入ってくる代表作となりそうです。

こんな感じで様々なテイストの良曲を個人的主観で選んでみましたけど、皆様の琴線に触れる作品は有りましたでしょうか?自分も主催のパーティーでDeep House特集の回で昨今のAfro Houseを中心としたセットをやりまして、もう聴いていただいたお客様が「ヤバ過ぎて「ヤバい」しか言えなくなった」とか「没入度半端ない」とかコメントを頂きまして、このAfro Houseのトレンドは間違いないな、と感じています。もし、House系DJでこのAfro Houseを自分のセットに組み込んでいない方は、この記事を読んだことをキッカケに取り入れてみては如何でしょうか。グッと表現力が増す良き相棒となるかと思いますよ。

それでは。

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