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パーティーの事業継承

はい皆様こんにちはDee-Sです。今回はようやくDJ生活のなかで生きているうちに必ずやりたかった事の一つが出来たので、書き記していこうと思います。DJ兼オーガナイザーの方なら「え?マジで?」と驚くかもしれませんが、自分が主宰しているパーティーをそのまま次世代へ引き継ぎを行いました。いわば世代交代です。ぶっちゃけ完全に引き継いだ訳ではありませんが、暫くは次世代のパーティー運営を見守りつつ困った事があったらサポートするよ、必要ならばDJもするよ、という立ち位置になりました。クラブのパーティーで言ってみれば「事業継承」をやったのは、なかなか類を見ない流れなんじゃないかな?なんて思っています。

2025年で7周年を迎える「ほのぼのレイヴ」

ほのぼのレイヴ フライヤー

皆様はSNSで上記画像のパーティー告知をご覧になられたことは有りますでしょうか?「見たことないよ」という方は、この機会に興味を持っていただけたら幸いです。自分のようなオッサン世代でパーティー名を考えて決めるのは非常に頭を悩ませるのですが、オーガナイザーなら誰でも考えるパクりネタで消費者金融の「ほのぼのレイク」をもじって「ほのぼのレイヴ」というパーティー名で毎年1月、4月、7月、10月の計4回ペースで開催しております。個人的には1回ネタ的に開催出来れば御の字、と思っていたのですが、結局として来年で7周年という老舗パーティーになりました。

この「ほのぼのレイヴ」は1987年にUKで起きたAcid House Movementの流れを汲み、89年から94年にUKで社会現象ともなったRaveに焦点を充て、当時Raveで使用されるポピュラーな音楽ジャンルでNew Beat , Chicago House , Detroit Techno ,Hardcore Techno , Breakbeats , Jungle , Madchester Beatなどを中心とした音楽をResident DJ、お客様、お店のスタッフと一つになって、和気あいあいと楽しむパーティーとして立ち上げました。令和のこのご時世でジュリアナ東京系ともまた違い、かと言って昨今若者がやっているようなレイヴサウンドともまた違います。

「ほのぼのレイヴ」のコンセプト

実は私、ココ日本での「Rave」の世間的認知や扱いが実に雑で当時から頭に来てました。表層的なところのみを搔い摘み、80年代後半から94年辺りまでUKで起きていたRave Movementという社会現象が全く別のモノとして認識されてきたからです。音楽的な評価も勿論低く、中古レコード屋では10枚500円で売られているのは、まだマシなレベルで酷い話になると在庫過多を避けるため燃えないゴミで捨てられていた、という事も日常茶飯事。まぁ確かに本当にどうしようもない曲も少なくは無いんですが、流石に酷い扱いだなぁ、なんて思うこともあります。

また、よくよく皆様考えてみてください。Rave Movementがどんどん社会に浸透し、それを脅威と感じたイギリス政府と警察は反復するビートに対する規制法「Criminal Justice Act」が94年に可決、って音楽の歴史から見ても歴史的事件だった筈ではないでしょうか? 言ってみれば主催者が勝手に場所を占拠して開催していたパーティーで音楽を流し、そのパーティーに勝手にお客様がなだれ込んでバカ騒ぎして楽しむという行為、そこで使われた音楽や催事に国が法律を変えたって他にありますか? 歴史的事件ではないですか?(厳密にいえば、Raveで蔓延していたドラッグで通称エクスタシー「MDMA」への規制も含まれますが)

この80年代後半から94年のCriminal Justice ActまでのUK Rave黄金期の雰囲気をそのままに違法なドラッグを一切排除して、みんなで仲良く遊ぼう、というのが「ほのぼのレイヴ」のコンセプトです。

Raveの精神性

Raveというと、やはり音楽の部分をクローズアップしがちですが、源流を辿るとそこにはヒッピーカルチャーとリンクしていきます。1960年代のアメリカの若者たちによるカウンターカルチャーで旧来の価値観への反抗、精神の開放、愛、自由、平和を求めた市民運動が時代を経て形を変え海を渡りイギリスに漂着、ゆえにRave Movementは「セカンドサマー・オブ・ラブ」と称されるようになりました。勃興当初は非商業主義で参加者主導のDIY精神、そして連帯感と開放感が当時の閉塞感漂うイギリスには無かった生活スタイルが当時の若者を虜にしたのです。ほのぼのレイヴもまた、この旧来の価値観への反抗、精神の開放、愛、自由、平和を継承し、参加者主導のDIY精神を大事にしています。古のアンダーグラウンド・クラブカルチャーも同様に人種・性別・身分を問わず誰もが自由で開放的な空間で音楽を共有し、見ず知らずの方々と連帯感、一体感、多幸感を共有するのは一緒です。この先人が残した新たな価値観(今となっては旧来かもしれませんが)、今の時代SNSが浸透したことによって過去のものとして忘れ去られてはいませんか?

「もっと人と人がつながりあう、連帯感と一体感を大事にしませんか?」

「ほのぼのレイヴ」はこの精神性に重きを置いています。ただ皆で集まってワイワイ騒ぐ空間もそれはそれで楽しいのですが、自分がイギリスで体験したRaveは正にそれまでの価値観がぶっ壊れてライフスタイルも変化したターニングポイントだったのです。自分にとっては素晴らしい体験(社会的にみて素晴らしいかはさておき)、やっぱり次世代に残したいと思うじゃないですか。またそれを見た次世代の若者がその精神を引き継ぎつつ新しい価値観を産み出して共有する、というのを自分が死ぬまでに見たいと思うじゃないですか。そのタイミングが今だと思い、自分は裏方のサポートに回ろうと思いました。

「ほのぼのレイヴ」の主要レジデントDJ紹介

ここで2024年現在で「ほのぼのレイヴ」に関わる方々をサラッとご紹介したいと思います。主にパーティーの運営決定権はTotsumal & ボニボニアのB2Bユニットに移管しました。第1回開催から参加しており、元々Totsumalはインドネシアのダンスミュージック"Funkot"を得意とするDJで、ボニボニアはRave黎明期のダンスミュージック愛好家。この2人が旧来のサウンドと現在進行形のレイヴサウンドを融合させるスタイルで演出します。

裏方に回る私Dee-Sは元々Discoをルーツに持つDJで今はNu Disco/Afro House/Progressive House/Melodic Houseを融合させたスタイルのDJでRave黎明期当時のイギリスを目撃してきた「当時勢」、New Beat、House、Hardcore Techno、Jungleをその日の気分で。

日本が誇る7inch ArchiverことDJフクタケは当然Rave黎明期の曲を全て7inchでプレイ、「こんな曲に7inchあったの?」というネタもキッチリ抑えてフロアを毎回沸かせる策士。自分も毎回DJフクタケさんが所有する7inchのジャケットを見て感心しています。

Ichiro Sは元々同世代、西麻布Yellow繋がりでほのぼのレイヴでは自分の補佐役として就任。ほのぼのレイヴ立ち上げ夜明け前ともいえるイベント「アシッドびょんびょーんの会」で私がDJで呼ばれて、その時のノリと勢いで「ほのぼのレイヴやるか!」と話して現在に至ります。都内小箱で様々なスタイルのパーティーを仕掛ける振り幅の広いベテラン。

DJ HOMMAは高円寺yakusyuの老舗パーティー「Pop Scine」主催、UK Rockを得意とするDJで特にほのぼのレイヴではMadchester BeatやBreakbeats音源をレコードでプレイするスタイル。彼が居ることでUK Rave黎明期で重要な役割を担う伝説のクラブ「The Haçienda」の空気感を演出します。

LALAは自分と同じ「Rave黎明期当初にイギリスに居た当時勢」で元々はメタル系を得意とするDJで、ほのぼのレイヴではMegamix的なスタイルでHardcore TechnoもHouse的なアプローチもこなす面白い存在。

立ち上げ当初からはメンバーの入れ替えが若干ありましたが、殆どのDJは第1回から参加しており、メンバー変動が極端に少ないのが特徴です。また私が運営していた時期はGuest DJも殆ど呼ばない「いつメン」なスタイルでしたが今後Totsumal & ボニボニアの新体制になったら変動の可能性は十分にありますので、今後のアナウンスをご期待ください。

次世代に期待する新たな「価値観」

ここ最近、この「ほのぼのレイヴ」も以前は当時勢が集結するようなパーティーだったのですが、ここ最近は主に20代の若者が集まるようになりました。また、「前から遊びに来たかった」という声も多く聞くようになり、当時勢の自分としては「ようやく次の世代が!」という気持ちでいっぱいです。オジサンが長年踏ん張ってきて何とか次世代に繋げたい、と思っていたパーティーで遂に自分の役割を終えて世代交代の期は熟した、と。ホントに小規模ながらもコツコツやってきてよかったです。また新生「ほのぼのレイヴ」の顔となるTotsumal & ボニボニアが今後どのようにして新しい風を吹かせてくれるのか非常に楽しみです。自分はRaveの精神性とほのぼのレイヴという遺伝子を後世に託しました。これだけでも自分にはかけがいのない財産で人生においても大きな出来事です。これまで遊びに来て頂いた皆様、この記事を読まれて興味を持たれた方は、是非ほのぼのレイヴで一緒に遊びましょう。日程詳細についてはSNSの告知をご確認いただければ幸いです。

それでは。

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