肉離れは「クセ」になる?を考える
肉離れはクセになる
都市伝説か? 真実か?
また”クセ”にならないためにすべきことはあるのか?
一度肉離れをしたらクセになる。
と言われます。
あながち間違いではないかもしれません。
肉離れの再受傷率はよく起こりやすいハム、下腿、太ももの表の直筋などで高いとされています。
つまり肉離れを繰り返してしまうということ。
その理由(危険因子)としてどの部位も過去の肉離れによるもの。が挙げられます。
その過去の肉離れによる瘢痕組織による影響が定説となっているのではないでしょうか?
肉離れの’名残’の組織のカサブタのような硬い組織。それがScar tissue瘢痕組織になります。
肉離れをすると組織の修復のために損傷した組織は炎症を経て組織の修復作業をします。
その結果として残るのが瘢痕組織です。
瘢痕形成は体が怪我をしてから機能するまでに重要な過程です。
瘢痕形成は怪我から戻るために’然るべき’反応です。
瘢痕形成前に競技復帰をしてしまうと組織は脆いままで再受傷の可能性も高くなります。
バネが脆い状態で伸び縮みしてしまうとバネは切れてしまうような感じです。
その瘢痕組織は元の筋肉よりも硬い状態で修復するとされています。
また瘢痕組織が伸張性や筋出力を妨げるという報告もあります。
ただ実際のところは完全には瘢痕組織が機能的に影響するということを明確に根拠立てる研究がないというのが現状ではないでしょうか?
実際に可動域や筋力は回復した状態で復帰をします。
脱線しますが競技復帰には面白いデータも有り、競技復帰時にMRIにて炎症サインの浮腫がある状態で復帰した被験選手が9割ほどいたという文献もあります。
さて、ではその瘢痕が再受傷の要因か?
これは未だに議論があり、復帰時には半数に瘢痕が見つからなかったというレビュー文献もあります。
現状では損傷した筋や組織の瘢痕組織自体は再受傷の要因となるかは確定した要因ではないでしょう。
それに伴う要因を排除していくことがクセにならないようにするために必要なことかと思います。
然るべき反応である炎症からの瘢痕形成で、炎症を助長されるように散らすといってゴリゴリマッサージをしたりするのはNGです。
線維の形成を複雑化してしまいます。
以前所属の機関でG-CSFという顆粒球コロニー刺激因子を注入することで瘢痕の線維形成を早めるという研究がなされていました。
これは特殊なケースでまずは炎症、疼痛、代謝コントロールが先決です。
https://note.com/drtko/n/n2a833d61d750
https://note.com/drtko/n/n9e7d42045905
上記にもありますように無理にゴリゴリせずに適切な関節運動が適切な組織修復を促します。
瘢痕組織を複雑化させないことがまずは大事です。
Scar tissue瘢痕組織は分解することができるか?
未だに幻想を持っている方も多いですし、そう言ってしまう健康医療従事者もいます。
実際には可能性があるといわれる衝撃波も明確な答えは出ていませんし、IASTMによる金属で刺激を与えるのは組織自体を分解するものではないと団体自体が発表しました。
ですので瘢痕は残ります。損傷度によって瘢痕が残らない状態もありますが、グレードの高い場合は悲しいかな残ります。
以下のような肉離れ後に石灰化をするケースも稀ではありますが起こります。
ただこの動画は硬い組織が周囲の筋線維にどのような影響を与えるか?というのを見るのにわかりやすいです。
瘢痕を中心に組織の伸張性が妨げられています。
筋全体で考えるとその他の線維で補填し伸張され可動域や筋力は戻る。ただ局所として制限は残る。
できることはその局所の周りの環境を整えてやること。
筋なり中間腱、なり腱膜なり、その周囲には疎性結合組織といわれる潤滑に飛んだ組織があります。(IASTM金属ツールケアはその潤滑を変えるのが目的としています)
硬い局所はあってもその周りを滑らかにすることで組織の伸張の感覚を取り戻ることは可能かと考えうると思います。
機械刺激、伸張刺激はその滑らかさを促すとされるので適度な刺激、伸張を加え、感覚が低下しないように維持することがクセにならないための一つの鍵かなというのが個人的見解です。
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