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再生不良性貧血ってどんな病気?

再生不良性貧血についてです。

どんな病気?

再生不良性貧血は骨髄中の血球を作る細胞が減り、血球が減ってくる疾患です。イメージは骨髄が空っぽになる感じです。

白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などは、血液のがんで悪性疾患ですが、再生不良性貧血は良性疾患にあたります。

ですので、悪性疾患と異なり、再生不良性貧血では悪い細胞が増えて困るというようなことは基本的にはなく、もっぱら患者さんが困らされるのは血球が少ない事により起きてくる問題です。
また移植の前処置を除いて、抗がん剤を使用しないのも悪性疾患と異なる点です。

多くの場合、血球は血小板から下がってきます。その後、赤血球も減り貧血になり、白血球が減り感染を繰り返すようになります。

※薬剤が原因でなる再生不良性貧血や先天性の再生不良性貧血(Fanconi貧血、dyskeratosis congenita)などもありますが、ここでは特に原因なく起きた再生不良性貧血を扱います。

原因なく起きる特発性再生不良性貧血ですが、メカニズムとしては骨髄細胞自身の異常自身の免疫により細胞が減ってしまう異常が考えられています。

頻度

難病情報センターの情報によると、日本では年間1000人の人が発症するようです。

男女比は男 : 女=1 : 1.16と少し女性に多いです。10-20歳と70-80歳にピークがあります。

若い人も高齢者もなる病気です。

診断

血球減少から再生不良性貧血などの病気を疑います。診断を確定するには、血液検査、骨髄検査、骨のMRI検査、PNH血球、HLA検査などの精査を行います。(PNH血球については別の記事で書きます)

骨髄が空っぽになると書きましたが、典型的には骨髄検査をすると血球が少なく脂肪に置き換わっています。ただ難しいのが、骨髄の場所によっては血球が減ってないように見えることもあります。

また骨髄異形成症候群のように血球の異形成が見えることもあります。

ですので、診断確定が難しい場合があります。それゆえ骨髄検査だけでなく、MRIやPNH血球を調べたりして診断をします。

また他の病気から移行したり、他の病気に変わったりということもあります。

たとえば、子どもの時に特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と言われていたが、血小板以外の血球も下がってきて、再生不良性貧血と言われた。
再生不良性貧血として治療してきたが、骨髄異形成症候群に変わったなど、そういうことがあります。

重症度

これら血球の数や、輸血が必要かどうかで、重症度が決まります。貧血は網赤血球という赤血球の赤ちゃんの数で見ています。好中球は白血球の一種です。

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(再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版より)

このように重症度が決められ、重症度に基づいて治療方針を決めていきます。

医療費(指定難病)

治療にはお金がかかりますから、費用面のことも大事ですね。

再生不良性貧血は「指定難病」にあたります。

申請を行うことで、医療費の自己負担が軽減されます。

基本的にはstage2以上が対象とされています。

軽症の治療(stage1-2)

悪性疾患ではないので、血球減少が軽度であれば、治療をせずに経過観察をしていても生活に支障はありません。

私の持っている教科書にもstage1-2では原則無治療経過観察であると書かれています。

しかし、発症から時間が経つと治療が効きにくくなるために、最近では軽症であっても早期から治療をするか考慮されるようになってきています。

stage1-2では基本は免疫抑制療法による治療になります。シクロスポリンやサイモグロブリン(ATG。ウサギから作られている)といった薬を使います。

最近ではレボレード(飲み薬)やロミプレート(注射)といった血球を増やす薬を併用して使うこともあります。

重症の治療(stage3-5)

良性疾患ではありますが、血球減少が強いと色々な問題が起き、場合によっては命に関わる問題に発展します。

貧血が強く赤血球輸血を繰り返していると、赤血球に含まれている鉄が体に溜まり、鉄過剰になります。

好中球が少なくなってくると、感染を起こしやすくなります。好中球が少ない時の感染症は重症になりやすく、危険です。

こうなってくると、どこかでこれらの問題が重大になってしまい、輸血だけでは長期生きることは難しくなってきます。

重症の方の治療は年齢で大きく分けます。40歳未満では同種造血幹細胞移植が勧められます。40歳以上では免疫抑制療法が勧められます。

40歳以上でも移植の合併症が少ないと考えられる人や、免疫抑制療法が効かなかった場合は、同種造血幹細胞移植を勧めることがあります。

良性疾患ですので、悪性疾患とは移植戦略が異なります。
移植後の予後も、悪性疾患と比べて良いです。ただやはり、移植の合併症による死亡というのはあり得ますので、なかなか怖い治療ではあります。

鉄過剰になると移植後生着不全が増えますので、重症な方は行えるのであれば速やかな骨髄移植が良いでしょう。

下の記事でも再生不良性貧血に対する移植について書いていますので、参照してください。

予後・治療成績

以下は詳しく予後について知りたい方向けです。

まずは移植成績についてです。年齢別に見ていきます。
基本的には若いほど成績は良いです。

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