夏はおもらしゲームが作りたくなる……

 夏はおもらしゲームが作りたくなる……。

 言っておくが俺は本気だ。本気と書いてマジだ。月の空と書いて膣だ。


 今年の1月にPCをMacからWindowsに乗り換えたのだって、最初からそれが目的だった。後進のために忠告しておくと、そもそもMacはおもらしゲームを作るのに適していない。


せーのっ。



全員「「「適していない……」」」


 Macに出来るのは、おもらしゲームが作れなくて悲しみに暮れる人の涙をそっと拭ってやることだけだ。おもらしゲームを作るなら断然Windows。ビル・ゲイツはおもらしに対する造詣が誰よりも深い。きっと、やってたんだと思う。そうじゃなきゃ、これほどおもらしゲームの制作に特化したオペレーティングシステムは作り出せない。リーナスもデニスもトイレじゃないところでおしっこするのは憚られる性分だったのだろう。


 作ると決めたはいいけれど、問題はジャンルの選定だ。一言におもらしゲームといってもジャンルは多岐にわたる、アクション、RPG、ノベル、アドベンチャー、シミュレーション、パズル、sex、sex……。俺はゲーム制作の経験はほぼない。高専生時代に部活で画面右から次々出てくるアンパンマンの顔を撃墜するシューティングゲームを作ったのが最後だ(こちらの作品はこのダイレクト終了後、爆破いたします。)


 また同様に絵心もないため、イラストが描けない。小学生の頃は高山辰雄ジュニア美術展に入選するほどのイラストセンスを持っていた俺も、自由帳に迷路とビーダマンとコイルばかり描いていたらその時のままで画力が固定されてしまった。あのまま研鑽を続けていれば今頃5000フォロワーに到達していたかも知れないと思うと慚愧に堪えない。



 そんな俺でもそれなりのものを飽きずに作りきれるジャンルとなると、もうこれはシミュレーション一択だ。キャラクターの尿意、膀胱の貯尿量などを数値としてモニタリングしつつ、食事や行動を選択して偶発的なおもらしに導くシミュレーションゲームだ。そこにはイラストもストーリーも一切ない。俺と同じくデータでシコるアナリストであればたちどころに満足できる逸品としてお届けする予定だ。ウソ。一般に公開するつもりはない。俺だけが楽しむ、俺だけのものだ。俺のブプッ・パ・ドゥップは誰にも渡しはしない。

 当然、ストーリーやイラストがあったほうが断然シコりやすい。けれども、想像力を働かせる手間を惜しみ、与えられるものだけにリビドーを仮託していれば、一方で気づかぬ間に指の隙間から大事なものがこぼれ落ちてしまわないだろうか?

 昨今、この性癖を持つ者にとっては厳しい時代になりつつある。ブログ文化が衰退し、ネット利用者のリテラシーが向上した結果、真に迫ったリアリティある体験談を得づらい状況だ。Youtubeで「おもらし」と検索しても出てくるのは東海オンエアがオムツを履いて漏らすまでのスピードを競う動画とかばかり。だからYoutuberの中で東海オンエアが一番嫌いだ。しかしこの件について東海オンエアには一切責任はなく、誰が愚かしいかといえばYoutubeでオカズを探そうとしているこの俺が一番愚かしい。同様に書籍検索で「おもらし」と検索すると佐藤二朗のエッセイ「心のおもらし」がヒットする。だから俳優の中で佐藤二朗が一番嫌いだ。やっぱYoutuberならフィッシャーズだし、俳優なら松重豊が最も推せる。両者ともおもらしをオモチャにしていないという点で非常に好感が持てる。人間、かくあるべし。見習わなければなるまい。


 少々、宴がたけなわすぎてしまったが、要するに何が言いたいかっていうと、何が言いたいんだろうか?

 俺には「おもらしゲームを作る」以外の手札はない。高専を出て、ネット小説を書いて、ライターとして活動してきたこれまでの右往左往、汗もかいたし恥もかいた、それらの日々全てがこのおもらしゲームの完成に収束していく。そんな予感がひしひし伝わるのだ。先程も言ったように、おかずを得られる機会は年々減少していく中、これは!というような1本のゲームを確立することができればまず俺自身にとって何よりの喜びとなる。


 その決意を忘れないためにも、ここにテキストとして残しておく。



 夏はおもらしゲームの季節なんだと。


前に進む理由をくれ