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粉瘤と激痛

夜中に激痛で目を覚ました。
背中の出来物が腫れ上がり、熱まで出している。卵がそのまま入ってるんじゃないか?というぐらい固いし痛い。
仰向けで寝られないので仕方なくうつ伏せで眠る。
しばらく眠ると寝相か何かで仰向けに近い姿勢になり、激痛で起こされてしまう。

多分、粉瘤だ。

2日前くらいから軽くしこりがあって、ちょっとだけ背中が痛いなと思っていた。
もう少し痛くなるまでと様子見をしていたが、それがいけなかったかと後悔をする。

なんとか長い長い夜を越えて、朝になり会社に行く準備をする。
会社周辺の皮膚科を妻が調べてくれた。

素直にありがとう。

電車に乗ってつり革に掴まっていたが、もう何もしてなくてもこの出来物は痛みを発している。
激痛に加えて痛みの範囲も広がってきており、お腹とか内臓の痛みと勘違いしそうになる。

電車の移動時間が2倍くらいに感じられた。


これを極めれば時を止める事が出来るのでは?等とくだらない事を考えていた。

やれやれだぜ。



体調が悪いわけではないので、直接会社に行き上司に半休をおねだりした。
背中の出来物を触らせたらすぐオッケーが出た。

そーっと、そーっとお願いしますね!と言ったのに

つん!

っと触られて叫びそうになった。
※実際には「んぐぐ…」とくぐもった声が出た。

ゆっくり触ると言ったのに大人は嘘つきだ。
「昼からは絶対仕事に戻りますので」
会社に荷物を置いて、近くの病院に向かう。

が、診療開始時間が10:00からとなり2時間後だ。この2時間が長い事長い事。10〜15分進んだかな?と時計を見るたびに2〜5分しか進んでおらず、発狂しそうになる。
気を紛らわせる為に周辺を歩いてみたり、本を読んだりしたが時間の進みは遅いままだった。
何とか時間まで耐えたが予約が優先となるため、受付を終えてまた待つ。

診療前に看護師さんが出来物を見ると言うので、洋服を捲って見せた。

うわっ!と小声で言われた。

大きく、熱を持っており触られるとめちゃくちゃ痛い。状況はあまり良くないみたいだ。

お医者さんも診てすぐに、お待たせして本当にすいません。
地獄のような痛みだったでしょう?と言われた。

眠れなかった事や痛みの状況を伝えるとすぐに麻酔をして切ることを伝えられた。

ん………?切る…?


と思っていると麻酔しますよー、麻酔が一番痛いので少し我慢してくださいねーと言われた。
え、切るの?マジで?ちょ、まてまて心の準備が…。

ドス…!


心の中で叫んだ。
とんでもない痛みだ。痛みの種類は違うが、虫歯の痛みと同じで耐えきれない。
しかし私だって30代役職持ち。無様に叫んでたまるかぁ!

んぐぐ…!

※Part2(クソデカボイス)

んんぐぐぐ!

(クソデカボイス)

私の中では叫んではいないが、審判が集まって協議している様が脳裏によぎる。
誰だ、天高くコブシを突き上げてるやつは。
叫んだつもりはないぞ。私は。
などと妄想してると(麻酔)は終わりましたと言われた。

麻酔は…?


あんなに痛かったのにまだ終わってないの?

純粋な瞳でお医者さんを見つめながら、切るのってどのくらい痛いんですかね?と聞くと、麻酔の方が痛いので麻酔が効いてる時は痛くないですよと言われた。

そうか、まぁなら大丈夫かと思いながら手術に入る。

忘れていた。大人はうそつきなのだ。


うつ伏せで処置されてたがとんでもなく痛い。痛みで反射的に手が出ないようにベッドを抱きしめた。あまりの激痛に足が浮いてしまう。

しゃちほこ!

なんて一発芸が頭に思い浮かんだがすぐに

ツインテール!

※ウルトラマンの怪獣

と考え直した。
余裕は無いけど痛みに集中する事を避ける為に変な事を考えまくった。
膿を出す必要があるので痛みに耐える時間は麻酔より長い。

処置が終了し、会計を終えて会社に向かって歩いていたのだが痛い。

小説とかでよく、刺された痛みの表現として出る「燃えるような痛み」を味わう事になるとは思わなかった。
陳腐な表現だと思ってたがマジでそうなんだもん。

この後普通に仕事をする予定だった私は会社に戻って上司に真顔でこう言った

「本気で帰っていいですか?」


そう、私も(大人)嘘つきなのだ。
行きと違ってスカスカの電車に乗りながら私は思った。
粉瘤も嘘にならんかな(´;ω;`)ウッ…

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