フォード プローブ2.2GTが、"RX-7 FC3S"に(tips04)
クルマが楽しい時代だった。走りに明け暮れてた時代。
かくしてコスモ4HTは他人の手に渡っていきました。当時勤務先の会社に車好きがいました。クルマバブル真っ盛り、GT-Rもちろん、Z32、S13シルビアだの、三菱だとGTOやマツダもユーノスコスモ20Bロータリー、スバルもアルシオーネSVXなど、今では考えられないほど個性ある車が華々しくあった時代。そういえばNS-Xもありましたね。
ある日のお昼休み、車の話になり「何乗ってるの?」と。ある1人がスカイラインGT-R32の納車待ちだとか。まさかGT-Rを買う人が身近に居るなんてつゆ知らず。そして大阪の南港と言う場所が週末夜、0→400会場みたいになっており、自分も連れて行ってもらった事もあった。今ではあり得ない光景かも知れない。
そして何となく誘われて、借りたS13ノーマルで中山サーキットに。ウエットでスピンしかけたが、黒沢元治さんの助手席乗ったりと逆に刺激を受け、モータースポーツの世界へと進むのである。
その前に触れなければならない、フォードプローブ2.2 GTターボ 赤
本当はこの車を買っていたのです。RX-7を買う前に契約していた…。 個性ある車が好きな性格、発売された時から左ハンドルで素晴らしいデザイン、欲しいと思っていたのだが、たまたま雑誌で見つけ、現車も見ず契約。そしてローン組んでお金も振り込んだ。
しかしなかなか納車されないので何度も何度もお店に連絡し、やっと向こうが白状したのは「オーナーが名義変更できない人だったので売ることができなくなった、今オークション会場で探してるところ、もう少し待って欲しい。珍しい車なのでなかなか出てこないんです」
それはそうだろう左ハンドルでフォード、当時マツダとの協業車でタマは少ないはずだ。もう諦めて違う車にしようと決心、返金を求めた。当時の中古車店はかなりいい加減だった、何とか現金は戻ってきたが、、、
ロータリーエンジンに乗ろう、、、と思った。
プローブは諦めて…、しかし人とは違った車に乗りたい。レシプロのスポーツカーと思ったが、いや全然思わなかった。 デザイン的に優れたRX-7の"赤"と決めた。
これまた現車も見ず雑誌で、またもや東京の中古車店で買った。一般的な価格よりも少し安い、何故か、、、それは事故車であったから、、、。敬遠されていたが承知の上で買った。フロントメンバーが交換とか言われたが、きれいに直っていますと聞かされたのと全国保証だったので購入した。
その後はと言うと、、、ミッションが不具合、ガキっと入りづらい。リトラクタブルのヘッドライトが上がったまま。再度ミッションが入りづらい。ヘッドライトがまた下がらない。オイルクーラーの配管が破れてオイルが漏れたなどなど。
これだけの故障が発生したんだが、一応保証期間内だったので全て先方持ちで直してくれた。今考えると良心的なお店だったと思う。結構な費用がかかっているはずです。
陸送されてすぐに分かった、 これは事故を起こしやすい!
陸送業者が運んで来てくれて、現車とキーを手渡された。はじめの印象は「普通の車だな」と。しかし少し道が空いているところでアクセルを踏み込むとビューンと飛び出した。「これが13Bロータリーターボなのか」、事故率の高い訳を理解出来た。
ロータリーエンジンは低速がないと当時言われていた。ターボが効いてトルクが出てくるのは回転数がかなり上からなのである。つまり高回転でかつ高トルクが発生し、一気にスピードが出るのである。そう言えばロケットターボと当時言われていた。スピードコントロール出来なければガードレールに突っ込むだろう。
車が届いたその日のうちに、大阪は箕面の山に走りに行ったのが懐かしい。
質実剛健な改造、サーキット走行に酔いしれるとは、、、
いよいよサーキットデビューを果たした。当初はノーマルで走ったがパワーの割に足回りがついていかない、曲がれない、置いてきぼりになったことを覚えている。
そこから火がついて、足回り交換、ブレーキパッド強化、ハイフロータービン交換、ブローオフバルブ交換、マフラー交換、ブーストアップと。 インタークーラー交換、 シートもバケットに交換、リミッターカット、 質実剛健にスピードアップ、ライトチューンはおおよそDIYでやった。
ある日、中国道の大阪〜岡山間でポルシェと競争した事もあった。何か予感してスピードを落とした後、ポルシェが抜かして行ったがその数キロ先で覆面に捕まっていたりと。
またある日は、GT-Rを追っかけて走っていたら急ブレーキを踏まれたが、とある速度からのブレーキングはどこへ車体が飛んで行くか分からない恐怖を覚えたこともあった。今の高性能車はどうなんでしょうね。
普通に乗れてたロータリーエンジンでした。
壊れるかと言うとそうでもなかった。普通に街乗りも出来たし、高速を走ればリッター10km近くまでも走った。当時はロータリーエンジンは燃費が悪いと悪評ではあったがそんな感じもしなかった。ただし街乗りではリッター6km位で、サーキット走行はリッター3kmであったが。
ただし癖は確かにありました。とにかく一旦ガスをかぶらせると中々エンジンはかからない、しかしその対処も口コミで教わったりして、知ってからは、ほとんど被らせる事もなかったです。
楽しかったRX-7との別れは、、、
他に不具合を起こすこともなかった。エアコンも壊れなかった。ただブローオフバルブが効かなくなりオイルを吹き出すことがあったが、はっきりした原因はわからなかった。加速その他に支障はなかった。雑誌の個人売買で知り合った整備士見習いの若い人に格安で譲った。好きな人かつ大切に乗ってくれる人に譲るのが最適だろうと思ったのである。
何年間かRX-7をいじり続けてきて、多少疲れてきた。走るたびに足回りを交換したりブレーキを交換したりとそういったことができなくなってきた。土日にいじれる時間が少なくなり、「ノーマルでゆったり乗るのも良いな」と思い始めたのである。気兼ねなく、キーを回せばエンジンがかかる。普通のことではあるが、こんなクルマに憧れ始めたのである。
車の展示場に出かけてポルシェ928を見た。心がときめいた。ATでゆったりと走れてかっこいい。何度かアクションしかけたが、恐るべき排気量だった。かつ高価、中古車は安いが修理費用もそれなりだろう。
それにしても、RX-7、FS3S、13Bロータリー、レッド、とても良い忘れられないクルマでした。
(終わり)