見出し画像

【ポケポケ】ミュウツーexミラーを考察 対面操作を極めろ


0.はじめに

「幻のいる島」環境が始動し、「ミュウツーex」はTier1の有力候補として注目を集めている。
 今弾でのミュウツーの主な強化ポイントは二つ。「ミュウex」による不利対面の克服「幻の石板」によるギミック完成速度向上である。他にもミラーの駆け引きに絡む「グリーン」、逃げ不可への回答になる「かけだし調査員」など、ミュウツー関連のプールは今弾でかなり充実した。
 しかしこの新生ミュウツーデッキ、ミラー戦がなかなか難しい。今までは単純にサイコドライブの打ち合いになることが多かったミュウツーミラーだが、サイコドライブを止められる「グリーン」やミュウツーを倒せる「ゲノムハック」がゲームを複雑にさせている。
 前期のピカミラーよりも遥かに盤面・状況が複雑化しやすく、構築とプレイ両方への理解が勝率を変えると感じた。
 今回はミュウツーミラーに焦点を絞り、デッキ構築や立ち回りの指針を考えていく。環境開始まもないため私見が中心にはなってしまうが、プレイングを考える一助になれば幸い。

1.前提知識編

 詳細な部分を詰める前に、現時点でのミュウツーミラーがどのような構図になっているかを知る必要がある。この項では、サンプルリストを基にミュウツーミラーがどのような駆け引きになっているかを考える。

1-1.サンプルリスト

 現時点ではまだ環境が定まりきっていないところも多いため、一旦は以下のリストを前提としていく。

石板フル投入

 石板フル投でギミック速度に構築を寄せたミュウツー。パーツを集めつつ、ミュウツーやミュウを育てていく。
「シンボラー」の不採用は、このリストが遺伝子環境のミュウツーを踏襲している部分が大きい。ミュウexは非exの「ミュウツー」と同じ役割を果たせるカードのため、採用しても前弾からのデッキ指針を大きく歪めない。
 逃げエネ軽減は「リーフ」ではなく「スピーダー」を採用しているが、ミラーでは1エネのアド差が重要なためリーフも強い。「博士の研究」から引いて即打ちできる・「ナツメ」と同ターンに使えるという強みをどの程度重く見るかが重要。

1-2.採用カード同士の打ち合い

 このミラーで重要なのは、誰が誰を倒せるのか頭に入れておくことである。基本的には下図のような相関が成立している。

筆者はパワポをもっとしっかりすべきである

 この相関からも分かるように、ミュウツーは先手さえ取れれば確実に相手を排除できるカードだ。つまり、相手のミュウツーに対し先手を取り、かつ自分のミュウツーには触らせないことがミュウツーミラーでは重要になる。これをもう少し噛み砕くと、ミュウでミュウツーを倒してミュウツーでラス1を詰めるのが基本ということになる。

1-2-1.ミラーの勝ちパターン

 ミラーにおける勝ちパターンは主に三通りあると言える。

  • 相手の非exたねを狩って1-2

  • ミュウでミュウツーを倒し、裏のミュウツーでラス1撃破

  • ミュウツー2体のドライブ連打で押し切り

 ミラーではこの三つを拒否しながら動く必要があり、これらから意識が逸れると負ける。サンプルリストにシンボラーが無いのも、うっかり倒されて1P先取されることが非常に重いという側面が大きい(そもそも「ニャース」の時もそうだが、サナを揃えるために1エネと1ポイントを損失していては本末転倒に思える)。

1-3.トレーナーズの役割と関係

 ここでは、ミラーで存在感のあるトレーナーズのみ取り上げる。

1-3-1.グリーン・サカキ

 ミュウツーミラーにおいて特に存在感があるのが「グリーン」である。グリーンは、まだポイントが0:0の状況でミュウツーを繰り出す際に非常に強力な役割を果たす。
 たとえば、互いのバトル場にミュウ、ベンチにミュウツー・サナが1体ずつというありがちなお見合い。この状況においては、先にグリーンを打ってミュウツーのドライブで殴った側が圧倒的に有利である。
 グリーンを打たれた側は「サカキ」で貫通可能だが、サカキを使えばグリーンを使えない = 後続のキルを拒否できない。そのため、お見合い状況でグリーンから入られると基本負け確になってしまう。
「ナツメ」も相手のプランを崩しやすい札だが、場合によってはサナを差し出したりすれば十分に間に合う。それに対し、グリーンはサカキを強要しつつサカキを打たれても大体勝ちというミラーにおける特攻札である。
 自分のミュウツーに触らせないというセオリーを破壊できる唯一のカードだと思っていて、ミラーでの評価は個人的に最も高い。

 ただ、サカキもまったく使えないカードというわけではない。エネで出遅れている時に生存お祈りでグリーンを切る場合があり、サカキがあればそのワンチャンを潰せる(もっとも、この場合は自分もグリーンを打てばいいことが多い気もする)。

1-3-2.ナツメ

 言わずと知れた干渉系トレーナーズであり、ミラーでは膠着前の崩しが一番強い。
 互いのミュウツーが未完成の内にナツメで引きずり出し、先にダメージを入れておく運用が使いやすい。これをしておくことで、ミュウツー同士の打ち合いでグリーンが腐る。ミュウの20点ですら「キズぐすり」との合わせ持ちでないと受からなくなる。
 シンプルにラス1の押し込みにもなるため、1枚はあっていい認識。相手の逃げ軽減とトレードできるのもミラーなら十分な仕事量。

1-3-3.リーフ・スピーダー

 際どい場面で勝敗を分ける1枚。
 シンプルに1~2エネ先行できるため、相手の計算をずらせる。
 スピーダー使いながらグリーンも切って出てこられると大体勝てないので、個人的にはスピーダーがかなり強い。
 ただ、リーフとスピーダーを両採用している構築もあり、どちらかを切らねばならないわけではないという点には留意すべき。

2.構築編

2-1.必須パーツ

 おそらく環境が進んでも差し替えが発生しないであろうカードのみ抜粋。
 ミュウツー(サナミュウ)の必須パーツは以下の13枚である。

  • ミュウツーex  :2枚

  • ミュウex    :1枚

  • サーナイト   :2枚

  • キルリア    :2枚

  • ラルトス    :2枚

  • 博士の研究   :2枚

  • モンスターボール:2枚

 また、化石採用が流行した際に「ラルトス」をピンにする構築があったが、ミュウを使う現行リストでそうする必要性は低い。2固定で考えていいだろう。
 これらを必須とした場合、自由枠は7枠となる。この7枠でどの対面を見ていくかが構築の鍵となる。

2-2.自由枠のパーツ群

・グリーン
 先述した通り、ミラーでは勝ち確レベルの状況を作りうるカード。
 地味にベンチにもダメカがかかるため、ナツメを打たれても首の皮一枚で耐えることが稀にある。
 ミラーの打ち合いではクリティカルなカードだが、それ以外の対面ではキズぐすりの方が丸いため0~1になりがち。

・サカキ
 グリーン貫通や序盤のダメージレースで使う。
 今の環境でねんどうだん + サカキの60ラインに大きな優位性が無く、目立った役割を与えづらい。ただ、ミュウツーメタで流行しつつある「ペンドラー」のたねポケ「フシデ」が60なので、ワンチャンを生み出すために採用意義はある。

・ナツメ
 最速ムーヴの妨害や状況打開など。
 ミュウツーがワンパンできないカードというのはほとんど無く、環境でのライバルになる「セレビィex」などに効き目が薄いため採用が抑えられつつある。個人的にはデッキの対応力を補うカードとして1~2枚欲しいが、枠との相談になっているのが現状。今の環境はコンボの速度比べが非常に多いため、ナツメでは歯止めがきかないのは実際あると思う。

・リーフ・スピーダー
 逃げエネ軽減族の2種。
 サポートと併用できるスピーダーの方が奇襲性はあるが、リーフの方が単純なエネアドでは勝るためお見合い状況ではリーフが圧倒的。
 ミラーに限らずポケポケはエネアドのゲームであるため、必ず2枚は搭載しておきたい。枚数は2~4枚と、プレイヤーによって異なる。

・かけだし調査員
 逃げエネ軽減族の仲間的存在。
「キョウ」と同じ効果と言えば聞こえはいいが、あれはキョウではなく「マタドガス」が強いんだということを忘れてはならない。控えの「ドガース」にバウンスしたドガスを重ね直したり、毒付与から即座に引いて「ベノムショック」に繋げたり……。キョウはただ受けを回すだけのカードではなく、非常にアグレッシブなカードにもなれるのが強い。
 他方、調査員は基本的に受けを循環させるカードに過ぎず、繰り出しを早めるという意味でもスピーダーと大差ない。運用は明らかにキョウより狭く、ミュウツーの狭い枠を割くべきかは疑問が残る。
 とはいえ、壁を使い回せるギミック自体弱いはずもなく、逃げ不可からの脱出なども可能で固有の用途は存在する。アーボックや「デンチュラ」の採用が増えれば十分に強い一枚。
 とはいえ、どうしても逃げ軽減と比べてムラに繋がるため、採用も0~1となっている。

・キズぐすり
 ミラーでも出番はあるし、他対面でも何かとラインをずらせて便利。
 だがしかし枠が無い。7しか無い自由枠にフル投するのは大変辛い。グリーンと両引きしていると心強かったりするのだが、枠の問題でグリーンとは枠がトレードオフになりがちで両採用がしづらい。この辺りはデッキ20枚の弊害というか、絶妙な調整を感じる。
 グリーンと違って後引きも間に合っているし、スピーダーと同じく博士から引いても間に合う。ミラー以外では本当に優等生。

・幻の石板
 ミュウサナのパーツ集めを担う。このカードが来たことでミュウツーへの注目度が一層上がった。
 使ってみると分かるが、失敗した時の手札のすり減り方が顕著なため万能とも言い切れない。そもそもミュウツーは自由枠が決して多い方でなく、盤面のやり取りに使えないトレーナーズをフル投すべきかは疑問が残る。
 かなり好みで採用が分かれているカードであり、現行の採用枚数は0~2枚(ピン差しも相応に見られる)。ミュウサナの速度も重要ではあるが、ミュウツーさえ居ればなんとかなるという対面が増えるなら石板は不要かもしれない。

・レッドカード
 一応書いておく。
 レドカを弱いカードだと言うわけではないが、ことミュウツーミラーにおいては腐りやすいカードであると言わざるを得ない。それもこれも全て石板が悪い。
 まず、相手の石板が成功した場合。この場合は一応レドカで多少妨害可能だが、向こうは1枚分圧縮しているため今までより引き直しやすい。引き直した際に2枚目の石板を引かれてしまうこともある。
 他方、失敗した場合は相手の手札が3枚以下になりがちだ。こうなると最低限の1:1交換すら期待できなくなり、そもそもレドカが打てない。相手は止まっているがこちらも1ハンデスされているという状況になる。
 今後不利対面を意識して石板が抜ける可能性はあるものの、今の段階でレドカを使うのは相当無謀と言える。もっと周囲の構築が対応力に寄ったタイミングを狙い撃ちしていきたい。
 ……ただ、対応力が多少劣る程度で石板ミュウツーが絶滅するとは土台思えない。仮に大会での主流が石板不採用になっても、分布として石板採用は存在し続ける気がする。ミラーを見るならレドカはやめておくべき。石板入れてギミック先行を狙う方がよっぽど強い。

2-3.どこまでミラーに寄せるか?

 これは答えの無い問いだ。
 執筆時点でミュウツーの大会分布は40%をマークしており、環境での注目度はトップクラスに高い。そのため、ミラーに寄せていくのはある程度妥当だと言える。
 しかし、遺伝子環境の「ピカチュウex」と比べ、ミュウツーはメタデッキがしっかりキツい。最速ドライブしても割と怪しいというレベルで悪対面にビハインドがあるため、悪対面での勝率をマシにするためのトレーナーズ編成になっているかも意識する必要がある。ペンドラーや「マタドガス」を早期に落とすためのナツメ、打点ラインずらしのキズぐすりなどが典型的である。逃げ軽減4投の構築なども毒状態を拒否しやすく、悪対面で耐久できる時間が長い(しかしどう構築しても最速ペンドラーはキツい)
 今のミュウツーは狭い自由枠の競争が苛烈なので、ある程度環境読みをしてリアルタイムで変えていく必要があると感じる。

3.立ち回り編

 ここからは、サンプルリストを前提にミラーの立ち回りを考えていく。

3-1.「ミュウツー以外で受ける」を理想とする

 このミラーで重要なのは、迂闊にミュウツーを削らせないことだと思っている。
 先述したように、ミュウツーミラーは無傷のミュウツー + グリーンで確度の高いリーサルが可能である。そのため、ミュウツーは基本的に無傷のものを1体残して使うのが理想だ(グリーン不採用ならまた話が変わるが)。
 ミュウツー以外のポケモンのみを前で動かすと考えた時、盤面の総合HPは130 + 110 * 2 = 350。ポイントの損失にも気を付けながら、この350ライフで序盤の捌き合いを乗り切る必要がある(もちろん、逃げ軽減が手札に無い場合はエネアドの観点からミュウツーを動かすこともある)。
 ここで重要なのは、誤ってポイントを失わないことである。ラルトスをねんどうだん + サカキなどで取らせてはならないし、「キルリア」やサナをドライブの的にしてもいけない。ポイントは絶対に取らせず、かつミュウツーは無傷で動かすことを基本と考えて立ち回る。まあ、いつでもそれができれば苦労はしないのだけど……。
 なので、ラルトスはナツメを打たれた際に差し出したり、キルリアを重ねてから前に出したりと、落とされない状況で壁にしていくことが肝要。
 ミラーは1-2と2-2の形が頻発するのだが、1-2させてしまった時の勝率は目に見えて低い(最後のドライブの打ち合いで一手不利を背負うため)。可能な限り2-2を目指すべきと言える。

3-2.お見合い中にプランを立てる

 上記のような事情や逃げエネの安さなどから、ミュウツーミラーはミュウ同士をお見合いさせる期間が長い。この間に自分と相手の手札を判断・推測し、ゲームプランを明確にしていくことが重要である。
 自分の方がサナ成立が早いなら、エネ差を活かして確実な詰めを狙うことが考えられる。しかし、相手の方がサナの完成が早い、盤面の構築ができているという状況では、ある程度割り切って攻めていく必要がある。
 ミュウ同士が睨み合う2~3ターンの期間を利用して、可能な限り情報を取ることが重要だ。

3-3.サーナイトは動かすべき?

 これに加えて重要になってくるのが、サーナイトを前に出すかどうかである。
 1-2の項でも触れたように、サーナイトは基本的に打ち合いでは勝てないカードだ。そのため、ミラーでサナにエネをつける行為は裏目に繋がりがちである。
 しかし、エネアド面で優位を取れているならば、サーナイトに1エネつけておく動きはある程度有効と言える。
 ナツメを打たれてもサナはサナで殴れますよ、という状況にすれば相手の動きは制限されるし、相手のミュウをサナで殴り始めれば逃げるかゲノムハックを使って倒すかの択に持ち込める。サナ不在時に1~2エネのミュウが殴られてしまうのはそこそこ重く、ミュウツーにエネを集中させて切り返す目が潰れる。有利状況をより有利にする行動選択として、サナへエネをつける択も頭に入れておくのが良い。

4.総括

 普段からテキスト中心でnoteを書いているのだが、今回は9割テキストになってしまった。もう少しレイアウトを工夫したいなと最近は常々。
 ミュウツーミラーは今の環境においてかなり「深い」ゲームだと思う。もちろんサナの成立スピードなどでドロー差は出るのだが、構築に沿ったプレイをすることでドロー差が覆しやすい。
 今回はグリーン採用を前提にしてしまったが、グリーン不採用やキズぐすり採用、逃げ軽減フル投などではまた理想の動きが変わってくる。単一のデッキタイプでここまで回し方が変わるのはなかなか無いので、ミュウツーミラーを全力で楽しんでいこう。

 ……まあその前にペンドラーどうやって倒すかって話な気がするけどな!

以上

いいなと思ったら応援しよう!