航空法改定によるドローン操縦士として免許が必要な理由と取得方法
ドローンを自分の仕事にしたい人はチャンスです!
2022年12月5日、航空法改正で無人航空機の国家資格制度(無人航空機操縦者技能証明等)が始まりました。
無人航空機、いわゆるドローン操縦士が国家資格になったのです。
今後、ドローンは様々な分野での発展が期待されています。
正式な資格となったので、フリーランスや関連会社へ就職の道も開けました。
将来に向けてドローン免許を取得して差別化を図る
これまでドローン人気は空撮が中心のホビー市場でした。
今回の航空法改正でドローンが産業用途で活躍する道が開けました。
経済産業省の外郭団体、デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)が2022年7月に発表した「自律移動モビリティに関するアーキテクチャの 検討経過の概要」によると、日本国内におけるドローンの特定のユースケースに関する市場規模は2030年代で1兆円、2040年代で3兆円に達すると報告されました。
農業で農薬散布や農作物育成調査、インフラ点検、警備に、医薬品やラストワンマイル物流の運搬です。
中でも、荷物や郵便物を家庭や会社に届けるラストワンマイル物流は2040年にはドローン市場全体の50%以上を占めると予想されています。
これだけドローンが普及すると、ドローン操縦士が不足するのは目に見えています。
今までも民間のスクールやドローンメーカーが独自の講習を行って、一等、二等の資格を付与していました。しかし、今回は国家資格です。
ドローンメーカーやサービサーが操縦士の求人する場合、国家資格者が優先されます。
特に、ドローンが伸びると思われる物流業界は今、2024年問題が目前となっています。
2024年4月1日から働き方改革関連法によって自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限は960時間に制限されます。
一見、トラックドライバーの労働環境改善と見えますが、配送業者にも影響が出ます。
収入が減ることで現状でも問題になっているドライバー不足に拍車がかかるでしょう。
人手不足を補うためにドローンによる配送が盛んになっていくので、ドローン操縦士の需要は高まります。
操縦士ライセンスの取り方
国家資格制度のランクは一等、二の2種類です。
一等保持者は無人航空機で「第三者上空の目視外飛行」(レベル4)が可能となる型式認証一種の機体を操縦できます。
二等保持者は「無人地帯の目視外飛行」(レベル3)ができる型式認証二種の機体を操縦でき、飛行前の許可承認はいりません。
資格を得るには学科試験、実施試験、身体検査があります。
現在、無人航空機操縦士試験は一般財団法人日本海事協会(東京都千代田区紀尾井町4番7号、電話050‐6861‐9700)で受け付けています。
国土交通省が2022年11月に公表した「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)」(国土交通省HPからダウンロード可能、https://www.mlit.go.jp/koku/license.html#anc01)が学科試験の教科書になります。
内容は無人航空機の操縦者が覚えなければならない安全管理スキル「クルー・リソース・マネジメント(CRM)」や気象、法規則、保安・運航体制、電波の専門知識、航空工学、ドローン飛行の許認可申請などが収められています。
CRMとはドローンを操縦する上で人為的エラーを無くすための教本で、まさしく有人航空機パイロットがヒューマンエラーを防ぐ工夫と同等のレベルが求められます。
気象は現象の発生要因、天候の変化する予測、地形から受ける影響など。
高度150m以下では有人航空機と無人航空機が混在する可能性もあり、有人航空機パイロットと同様の気象知識が求められます。
実地試験がどのように実施されるかは、先の国土交通省HPで「無人航空機操縦士技能証明実地試験実施基準」や「一等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」、「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」などがダウンロードできます。
受験者は目を通しておく必要があります。基本的には課題のルート、高度、終了までの時間を許容範囲内で安定した飛行が求められます。
おすすめのスクール
民間のスクールが実施している講習の内容が一定の基準を満たしている、と国が判断するとスクールは登録講習機関として認定されます。
高いレベルでの学科、実地講習を受けるので、講習者は国家資格受験の際に実施試験が免除され、学科試験だけで済みます。
自動車の運転免許試験制度と似ています。国から指定された民間の教習所で運転実地試験に合格すれば、運転免許試験場の学科試験だけでパスすれば免許を受けられる仕組みと同じです。
ドローンの場合も実地試験が免除されるメリットは大きいので、登録講習機関で受講するのがおすすめです。登録講習機関は現在続々増えています。
同じ国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/koku/license.html#anc01)に更新された最新情報の登録講習機関情報で受講しやすいスクールを探しましょう。
無人航空機の新制度
同じ2022年12月には、操縦ライセンスの他、機体認証制度、型式認証制度も開始されました。機体認証制度はドローンの購入者が登録するもので、型式認証は主にドローンメーカーが販売する機体に取得するものです。
自動車で言えば、機体認証は車検、型式認証はやはりメーカーが販売する自動車の型式を取得するのと同じになります。
まとめ
この数年でドローンをめぐる環境は劇的に変わっています。航空法改正による国家資格ライセンス制度はドローンがホビーから産業へと成長する窓を開いてくれました。
ドローンに興味を持っている人、面白そうだからやってみたかった人には朗報です。
男女問わず転職するために資格を取る感覚と同じでドローンを仕事にできるチャンスが今広がっています。