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物流ドローンの実証実験に地元が反対!(イギリス)

今夏、イギリスのワイト島で行われる予定だったドローン物流の大型実証実験が、地元住民の懸念によりたびたび延期されていることを、イギリス国営メディアのBBCが報じています。

【ニュースの要点】

  • イギリス南部に位置するワイト島で、2024年8月7日から予定していたドローン配送試験がたびたび延期になっている。

  • 実証実験はドローンを活用した物流ソリューションやドローンポートを開発するイギリスのInteliports社により、「Inteliports Drone Trial」と名付けられた、6ヶ月にわたって検証を行う大型プロジェクト。

  • Inteliports社の事前のアセスメントによって、駐車場を離発着拠点に選んだ。しかしながら、実証試験期間中の駐車場の閉鎖について地元住民から懸念が示され、開始時期を1週間延期することを余儀なくされた。

  • さらに追い打ちをかけるように、ドローン運用時の安全性と住民のプライバシー保護が担保されるのかを地元住民が問題視し始め、実証開始がさらに遅れている。

  • この実証試験は、大型ドローン、自律型ドローンポート、持続可能なマイクロモビリティを活用したマルチモーダルな共同物流チェーンをテストし、商業用途を含むさまざまな場面でドローンを活用することを目的としており、イギリス全土でのドローン商業化に向けた重要なステップとされている。

  • ワイト島議会はプロジェクトが物流の脱炭素化を目指すと説明している。

  • 今後、住民の懸念を解消するために、追加の安全対策やプライバシー保護策を検討し、住民とのコミュニケーションを強化しながら、透明性を持ってプロジェクトを進行することが求められる。

【元しゃちょーのインサイト】
ドローン配送は、物流の効率化と環境負荷の軽減を目指す革新的な技術ではあるものの、地域住民からはドローンで物が効率よく届く受益よりも、リスクやプライバシーなどの問題意識が先行しがち。技術イノベーションと合わせて、社会受容性の醸成も大切にしなくてはいけない一例ですね。

日本においてはドローンの物流事業を行うエアロネクスト社が、人口がわずか700人程度の山梨県小菅村にて地元密着型の実証を繰り返しています。ここでの成功を踏まえて、地方自治体の首長とともに「全国新スマート物流推進協議会」を発足して、官民が足並みを揃えた展開に注力しているのが特徴的です。

問題の舞台となっているワイト島は、島とは言いつつも山形県山形市と同じ程度の大きさがあり、人口も13万人を誇る大きな自治体です。住民の合意形成をとるには、もう少し小さなところからスタートするのが良いように思います。

【会社情報】
Inteliports:
2021年にイギリスで設立されたスタートアップで、迅速かつ環境に優しい配送システムを構築することを目指している。CEOのDavid Majoe氏はもともと都市設計のプロで、サウジアラビアのNEOMプロジェクトなどにも参画していた経験がある。ドローンの機体開発よりも、持続可能な都市設計や次世代の輸送システムの開発に強い関心を持ち、都市計画、建築設計、ロボティクスの専門家からなる多分野にわたるチームを擁している。同社は「Inteliport GO」という移動型ドローンポートを開発しており、これは都市や地方のさまざまな場所に設置できるモジュール型のプラットフォームです。このプラットフォームは、ドローンの発着、充電、荷物の積み下ろしをすべて自動で行うことが可能で、将来的には物流業界に革命をもたらすことが期待されています。


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