ドローンを使った刑務所密輸事件が急増中!酒にタバコに大麻と、やりたい放題で大問題(アメリカ)
アメリカのミズーリ州ジャスパー郡で、保安官が捜査した車両から大型ドローンと併せて大麻やタバコ、携帯電話などが押収され、容疑者が刑務所内部の仲間へドローン配送を実施しようとしていた模様
【ニュースの要点】
ジャスパー郡保安官事務所が8月4日午前6時頃、不審な2機のドローンが同郡リッジランド刑務所の上空を飛んでいると通報を受けたため、付近のパトロールを開始。
現場に駆けつけた保安官代理が2人の男性を発見し、取り締まろうとしたところ、容疑者は車で逃走を図りカーチェイスに発展。
容疑者が車を乗り捨てて森の中へ逃走。押収した車両からは大型ドローンの他、99グラムのマリファナ、タバコ12本、手巻きタバコ用のペーパー、ライター、携帯電話、新品のAirPodsが発見された。
容疑者はこれらの物品をドローンを使って刑務所内の受刑者に届けようとしていたと見られる。
事件は現在も捜査中であり、保安官事務所は情報提供を求めている。
【元しゃちょーのインサイト】
日本人にとっては衝撃的な事件ですが、実際には世界中でドローンを使った刑務所受刑者への違法物資輸送が多発しています。2016年9月に発表されたアメリカの論文には、「ブラジル、ロシア、オーストラリア、タイ、ギリシャ、イギリスの刑務所でも、ドローンを使って密輸品を運ぼうとする動きが活発化しており、その対応に苦慮している。」という記載が既にあります。
アメリカで初めてドローンが刑務所へ違法に物資を運んだことが確認されたのは、2015年のカリフォルニアの刑務所でした。以来、ドローンの普及に伴い、同様の事件が急増。2020年には米国司法省が「無人航空機システムによる脅威から連邦刑務所施設を守るための司法省の取り組みに関する監査報告」(Audit of the Department of Justice’s Efforts to Protect Federal Bureau of Prisons Facilities Against Threats Posed by Unmanned Aircraft Systems)を発表しています。一般公開されている報告書には黒塗り部分が目立ちますが、司法省や刑務所がいかに不審なドローンへの対応に苦慮しているかが記されています。
押収された記録からは、ほとんどの場合に刑務所内部へ違法に持ち込まれようとした物は、タバコや麻薬、アルコールなどの嗜好品から、外部と連絡を取る手段の携帯電話などが目立ちます。しかし、ドローンが大型ペイロードに対応できるようになってきている昨今、銃火器などのより危険なものを運ぶ可能性もあることは真剣に考えなくてはいけません。
ドローン検知システムやカウンタードローン技術も過去に議論されていましたが、2024年の現在でも同様の犯罪が後を絶たないのは、これらの違法行為がまだ完全に防ぎきれていないことの表れと考えられます。
ドローン技術の進化は多くの産業に利益をもたらしていますが、同時にその悪用を防ぐための規制や監視技術の開発も急務であることを改めて浮き彫りにしたニュースだと思います。
【参考資料】
「刑務所・拘置所職員が新たな試練に直面: 密輸に使われるドローン」(Prison Legal News 2016年9月2日)
https://www.prisonlegalnews.org/news/2016/sep/2/prison-and-jail-officials-face-new-challenge-drones-used-smuggle-contraband/
Audit of the Department of Justice’s Efforts to Protect Federal Bureau of Prisons Facilities Against Threats Posed by Unmanned Aircraft Systems(2020年9月)
https://oig.justice.gov/sites/default/files/reports/20-104.pdf
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