内科学会セルトレ問題からの学び2024年

割引あり

こんにちは。
2024年度の日本内科学会セルフトレーニング問題、みなさんも解いていますでしょうか?
毎年毎年、解きながら勉強することでレベルアップしていける問題がいっぱいあります。
このnoteでは、問題そのものは記載できませんが、問題からの学びのエッセンスをまとめてみました。
総合内科専門医・内科専門医の試験対策や生涯学習として、ご参考にしていただければ幸いです。



循環器

急性心筋炎の診断

2023 年改訂版 心筋炎の診断・治療に関するガイドラインより

●症状
・先行する感冒様症状は,生検で心筋炎が証明された患者の 36 ~ 89% で報告されている
・前胸部痛を訴えることが多く,感冒様症状出現後 1 ~ 4週間以内に生じ,頻度は 32 ~ 95%と報告されている
・鋭い胸焼けのような痛みで,吸気や咳により 増悪し,座位前傾姿勢で軽減することが特徴である
・進行すると呼吸困難,起座呼吸など左心不全症状が出現する
・心房心室の期外収縮や頻脈性不整脈に起因する動悸や, 頻脈性不整脈や伝導障害に起因する失神がある.また,致死性不整脈により突然死をきたすことがある.
●聴診
・左心不全徴候としてのIII 音や IV 音の聴取(奔馬調律),湿性ラ音
・左心室や右心室の拡大に伴い,僧帽弁や三尖弁に機能的な逆流が生じた際には,収縮期逆流性雑音を聴取する
・炎症が心外膜に波及し心膜炎を合併した際は, 心膜摩擦音を聴取することがある
・心膜摩擦音は,聴診器の膜型面を胸骨左縁付近に当てたときにもっとも聴取される引っ掻き音や軋み音である
・心音の減弱を聴取する際は,心膜液の貯留や心機能の著しい低下(循環虚脱) を反映している可能性がある
●検査
・心電図:感度47 ~ 85%だけど大事です 

・血液検査:特異的なものはない
・心エコー:典型的な所見は,心筋の炎症部位に一致した壁肥厚と壁運動低下,心内腔の狭小化,心膜液貯留である

免疫チェックポイント阻害薬などの抗がん剤で心筋炎を起こすことがある。
抗がん剤NAVIより


肥大型心筋症

心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)

壁肥厚はエコーもしくはMRIで確認
ファブリー(Anderson-Fabry病)病が頻度としては最多
日本人の心肥大患者におけるファブリー病の頻度については1~3%の報告がある
X連鎖性遺伝性疾患で、男性では血漿,白血球α -ガラクトシダーゼ(α-Gal)活性を測定することで診断される.X連鎖性であるため女性ではヘテロ接合体となり,酵素活性だけでは診断ができない場合があり,家族歴や遺伝子検査などにより判断する
ニフェジピンを含むジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は血行動態が悪化する症例が報告され,肥大型心筋症に対する有用性は乏しいと考えられている
β遮断薬,カルシウム拮抗薬,あるいはそれらの併用によっても肺うっ血が高度で息切れが持続する場合には急性期および慢性期において,低用量利尿薬(ループ系あるいはサイアザイド)の併用が考慮される.ただし,過度の前負荷の減少に注意が必要であり,とくに閉塞性肥大型心筋症患者では前負荷減少による圧較差増大をもたらすため一般的に用いない
非閉塞性肥大型心筋症における ACE阻害薬/ARBの症状軽減作用や長期予後改善効果は確立されておらず,十分なエビデンスに乏しい.閉塞性肥大型心筋症では,ACE阻害薬やARBのように血管拡張作用を有する薬剤は左室流出路狭窄を増強させる可能性が高いことから,使用は望ましくない
PTSMA:経皮的中隔心筋焼灼術

肺塞栓症の検査所見

臨床医マニュアル 第5版
一般的には頻呼吸となるため、PaCO2は低下します
肺でのガス交換がうまくできなくなるのでA-aDO2は開大します

PCI後の抗血小板薬

2020 年 JCS ガイドライン フォーカスアップデート版 冠動脈疾患患者における抗血栓療法
要点を読むなら内科学会雑誌にあるat a glanceがよいでしょう
〔日内会誌 112:63~68,2023〕

腎血管性高血圧

日本内科学会雑誌 107 巻 9 号 腎血管性高血圧の診断と治療

1.腎血管性高血圧の診断に,ヨード剤を必要としないMRアンジオグラフィ超音波ドプラ法が有用である.
2.治療はACE阻害薬,ARBを中心に,降圧薬療法で腎機能の改善や保護を目指す.ただし,血清クレアチニン,Kが上昇することがあるため,降圧薬療法は入院のうえ開始する方が良い.
3.両側性の腎動脈狭窄を探すべきである.血漿レニン活性が高くないことがあるため,注意が必要である.両側性はACE阻害薬,ARBは原則禁忌であるため,まず片側の狭窄を拡張してステントを置き,その後にACE阻害薬,ARBを投与すると良い.
4.血管拡張+ステント術は,降圧効果や腎機能保護効果が降圧薬治療と同等であるため,あえて施行しなくてよい.しかし,若い女性に多い線維筋性異形成に対してはステント術が有効であるため,妊娠可能年齢の女性にACE阻害薬,ARBは禁忌であることもあり,早期に診断し,ステント術を行うべきである.
5.腎動脈狭窄度70%以上で,狭窄前後の圧較差20 mmHg以上の症例に適用すると,ステント術にて腎機能が改善する症例があるため,今後は症例を厳しく選ぶことにより,ステント術が降圧薬療法より効果的である症例がみられる可能性がある.

呼吸器

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