プラネタリーヘルス・イニシアティブ発足
プラネタリーヘルスを日本のローカルから社会実装する【プラネタリーヘルス・イニシアティブ】を(公財)日本ヘルスケア協会の多大なるご支援のもとに同協会内に発足し(2023年7月)、2024年3月3日、記念シンポジウムを日比谷図書館にて開催しました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!
2015年、ベルリンの国際サミットで出会ったプラネタリーヘルスからイニシアティブ発足に至る流れをまとめました。
プラネタリーヘルスの世界的流れと経緯
私自身、2015年ベルリンで開かれたWorld Health Summitでこの考え方が発表された時にたまたまこの国際サミットに参加しており、これだ!と天啓を受けてからどこかでやらなければと思っていました。
さて、実装はどうするの?というのは国際的な課題で、何せ、全ての分野で全員が連携することを求められているので、世界的にもなかなか実装事例が出てきません。
国内先行事例「鳥取県江府町」プラネタリーヘルス連携協定
拙著『腸と森の「土」を育てる』は、プラネタリーヘルスの理論と日常でできる実践の書ですが、その中に書いてあるソニーコンピュータサイエンス研究所とガイナーレ鳥取との協生農法(シネコカルチャー)の実験圃場を開いたことをきっかけに、鳥取県西部にご縁ができ、その霊山・大山(だいせん)の水のご縁からつながった人口最少県人口最少町で、流域の上流にある鳥取県江府町で、国内初の地域における実践事例として、2022年11月、プラネタリーヘルス推進にかかる連携と協力の協定を締結して、町の遊休施設「せせらぎ公園」を研究開発と実装の拠点としてお借りして、日本初の社会実装へのチャレンジをスタートすることになりました。
2023年度の春から
・地域と連携しながら拡張生態系を構築する再生型農業
・環境土木による大山山麓の水源再生
・水車再生による水を資本としたエネルギーの実証実験
・道の駅奥大山と共に地産地消の食材を使ったプラネタリーヘルス・ダイエットメニューの開発
・プラネタリーヘルス・ツーリズムの試験運用
などを行ってきました。
歴史文化気候風土に基づいた土着のプラネタリーヘルス
プラネタリーヘルスにおいては、最新の科学、研究を踏まえながらも、先住民の知恵や古来からの伝統文化を踏まえて各セクターで行動することが提案されています。
とするならば、日本には日本の、しかも、古代から積層する土地の歴史文化・気候風土を踏まえたその土地土地の土着のプラネタリーヘルスの表現系があるはずです。
そんな訳で、コンテクストデザインを行うetupirkaと一緒にフィールドワークをして、土地の歴史書や文献、地域の知恵者の話を聴いて周りながら、古事記の物語の舞台となったこの地において、「素戔嗚」をモデルにした大山山麓における日野川斐伊川流域のプラネタリーヘルス大風呂敷マップをつくりました。
自然の原理と最新の科学技術により自然と共存共栄する文明をこの地に発展させた古代の神「素戔嗚(スサノオ)」の視座を獲得することをテーマに、この流域に古くて新しい文明を構築することを掲げています。
https://note.com/drlisakirimura/n/n80a3c76b2044
(公財)日本ヘルスケア協会にプラネタリーヘルス・イニシアティブ発足
この流れと並行して、2023年4月に、公益財団法人日本ヘルスケア協会の年次大会の基調講演に呼んで頂き、その中の土壌・野菜・お米で健康推進部会という3部会の魂ある皆様に共感いただき、プラネタリーヘルス・イニシアティブ(PHI)の発足に至りました。
プラネタリーヘルスの普及と実践的学び、社会実装のため、各分野、さらに分野を横断した連携により、全国の霊山を中心とした流域エリアにおいて、ローカルでのプラネタリーヘルスの推進を行っていきます。
設立記念シンポジウム
2024年3月3日、PHI発足のキックオフとなる記念シンポジウムを開催しました。
プラネタリーヘルス連携協定を日本ヘルスケア協会とも締結してローカルモデルを推進していく鳥取県江府町から白石祐治町長が挨拶に駆けつけて下さいました。
この日のために制作した楽曲「Planetary Symphony」を江府町のイメージガールで歌手のmARuが歌って会場を盛り上げました。
ユニット名は「Nichtöne(ニッヒテーネ)」
プラネタリーヘルスへの想いを綴った私の作詞に曲をつけ、アレンジは、wanpei。
ドイツ語でNichは否定系、töneは音。
ベートーヴェンの第九、歓喜の歌の冒頭の叫び「こんな音じゃない!」
それは、「こんな狂った音ではない!」もっと美しい調べがあるはずだ!という時代の叫びなのであります。
楽曲の動画は追って。まずは歌詞をご覧ください。これが私が考えるプラネタリーヘルスの世界観を表現しました。
基調講演にて「Planetary Healthと世界における日本の役割〜日本のローカルからはじめるプラネタリーヘルス〜」についてお話しさせて頂き、特別講演では立正大学 地球環境科学部 特任教授・横山和成氏が土壌微生物多様性活性解析とそれを応用した土壌微生物が奏でるシンフォニーを披露し感動を呼びました。
続くシンポジウムでは、京都府立大学客員教授ふじのくに地球環境史ミュージアム 館長・佐藤 洋一郎先生をファシリテーターに、医療法人仁善会田中クリニック院長・田中 善先生と日本ヘルスケア協会理事で野菜で健康推進部会の丹羽真清部会長が加わり、「医食農」連携の必要性や土地の歴史文化・気候風土。日本の精神性を踏まえたプラネタリーヘルスについて会場を巻き込んだ活発な議論となりました。
最後には、「日本からはじまるプラネタリーヘルス・アクション宣言」(全文掲載)を読み上げ、行動指針を掲げ、全員にアクションを呼びかけました。
VUCAの時代と呼ばれるこの不安定な時代に山積する健康課題、経済課題、政治課題、社会課題、環境課題を人の力で大転換(グレートトランジッション)し、分野を超えた越境人材の連携により、⼈が当たり前に⽣きることで、⼈と地球が再⽣する経済システム、社会システムの基盤をつくることを軸に、100年、1000年先も⼈類と地球がプラネタリー・シンフォニーを奏でる世界を目指し、その行動指針とする考えです。
日本からはじめるプラネタリーヘルス・アクション宣言(全文)
パートナー企業・団体募集
これを踏まえて、実践フィールドとなる江府町を中心とした山陰エリアにおいてプラネタリーヘルス・アクションを推進するパートナーとなる企業や団体を募集します。
2ヘクタールの公園内に古来からの水源をもつせせらぎ公園の管理棟をプラネタリーヘルスを推進するための企業やアカデミアの共創拠点、サテライトとして活用し、プラネタリーヘルスを実践する人材を育てる体験型プログラムやサービスを構築し、江府町を含む大山・日野川流域全体をフィールドにしていきます。
プレスリリース【国内初プラネタリーヘルス・イニシアティブ発足とパートナー募集】