SBG 2021年3月期 第3四半期 決算
SoftBankとは?
恒例の謎掛けから始まった、SBGの決算発表ですが、今回は、SoftBankとは?という問い掛けでした。
そして、今回、孫氏が出した解答がSoftBank=金の卵の製造業というものでした。金の卵を生むガチョウの話は、7つの習慣(スティーブン・コヴィー著)に出てきます。それとは何か関係あるのでしょうか。
決算
20年度Q1-3で3兆552億円の純利益、もちろんファンドなので未実現利益含むですが、相当の巨額になっています。
気になるのはNAVがわずか1.2兆円の伸び、直近ではもう少し改善しているようですが、これはやはりアリババの株価が下落していたため。そして、その理由は突然の中国政府の締め付け。もちろん独禁法や金融規制はあって当然のものなのですが、それが中国は政府の意思決定が非常に不明瞭でかつ突然起きるので、そのリスクは依然としてあります。
また、NAVが低下し、しかしながらSBGの時価総額が20兆円を越えたことで、これまで指摘されていた、ディスカウントバリューが急激に縮小していることも分かります。今後の株価の伸びに対しては、マイナスとなる要因になり得ます。
LTVは15%で、多額の現金も保有していることから、今後さらなる攻めの投資を期待したいところです。
Arm-NVIDIA合併に関して
armの持つ技術と、GPU/DPUに強いnvidiaの技術を組み合わせ、最強のAI向けtipを作れるようになるという戦略。これは非常に楽しみ。
また、各地域の認可当局の審査がどうなるかが最大の焦点ですが、以下の2点から承認されるのどはないかと孫氏は述べています。
1. 合併後もarmの独立性と他社への供給性は維持される
2. armの事業領域とNVIDIAの事業領域がかぶらない
SVF
SVFは1(92社)と2(39社)と南米(33社)合わせて164社に投資しています。
第3四半期は1兆3557億円の利益で反転回復しています。
SVF1
SVF1では特に、DoordashとUberの利益額の大きさが目を引きます。Uberも上場後、長い期間苦労していましたが、最近になり、自動運転の思惑もあり、だいぶ株価も伸びています。
SVF2
SVF2では、やはり、Beikeの上昇が目に付きます。
未上場の注目企業としては、
VIPThinkという中国の幼児教育プラットフォーム。こちらもAIや少人数集団でのゲーム性をもたせたり、マーケットインの部分が非常によく練られている印象。
unacademyというインドの高等教育プラットフォーム。有料会員数も急成長中。
keepという中国のAI×フィットネスプラットフォーム。2億人のユーザーがおり、さらに毎月1000万人会員が増えているというお化けサービス。コンテンツから関連製品の販売まで、ユーザーとの接点、購入の入り口などを抑えており、収益も相当すごいのではないか。
SVFのシステム化
今期絶好調のSVF。このような金の卵をよりリズム良く生み出していくために、孫氏は現在システム作りに専念していると述べます。インセンティブの設計などにまで関わり、良い企業を発掘するシステムはだいぶ洗練されてきたとのこと。
AI革命
人類が生み出した最大の発明である、AIに全てを投じていくと決意を新たにされています。Amazonのジェフベゾスは経営の第一線から退きましたが、AI革命の実現のため、孫氏はまだまだ元気いっぱいという感じでした。
続いて質疑応答です。
中国リスクに関して🇨🇳
アリババやアントへの最近の中国政府の締め付けに関しての質問に対して、独禁法や金融規制の整備などは長期的には必要なことという見解を孫氏は述べました。
MBOに関して
これはいつも通り、ノーコメントでした。
アメリカ上場株投資に関して🇺🇸
時期により数千億円規模のマイナスまたはプラスになっており、いまだ実験段階とのこと。
まとめ
自社株買いの原資もまだまだ十分であり、守りの現金も多く保有。さらには今後来るAI革命へ、着々と関連企業を保有していることから、かなり盤石の体制を築いていると言えます。唯一不安な点は、中国政府のアリババ、アントなどのIT大手への過度で突然の締め付けなどでしょうか。